大垣山岳協会

<徳山の森の行方> ⑧ 県も共有者

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2012年9月(No.370)

<徳山の森の行方> ⑧ 県も共有者

 ダム上流の民有林を公有地にして保全する公有地化事業は買収取得率76%余で停止状態だが、それでも、県はあくまで、全民有林100%の買収を目指す姿勢を変えていない。事業の基本デザインが完全買収を基にしているので、方向転換は難しいのだ。だが、もともと広大な民有林を全部買収できるなんて、どだい無理な話だ。売りたくない人が出てくるのは当たり前だろう。

 一定の買収率に達したら、買収を打ち切らざるを得ない。この点では、県の担当者も「100%取得は無理だと承知している。どこかで、打ち切ることになろうが、今はその段階ではない」と言っている。その場合、未買収者が残る旧集落の共有林内では人工林の天然林化の施業やそのための作業道開設が極めて難しくなる。前途は多難である。

 ただ、共有林の完全買収が出来なくても、県が最大の持ち分権限を保有する共有林が生まれたので、少なくとも民間業者による乱開発を封じ込めることができる。県担当者はそう言うが、それだけでは寂しい。広葉樹林復活への具体的な施業を忘れないで欲しい。

(鈴木 正昭)


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