月報「わっぱ」 2012年7月(No.368)
<徳山の森の行方> ⑦ 二次林の将来
トラックのエンジン音とチェーンソウの音が響き、上空には丸太をぶらさげた索道ケーブルが行き交う。材木を満載したトラックが土煙を上げて終日走り回る。
王子製紙、木原造林、千頭木材。昭和40年前後から、大手企業が徳山村全域で立木を買いパルプ用材などとして皆伐した。ブナ、ミズナラなどの広葉樹の大木が茂る原生林の多くは消えた。2240㌶の門入国有林ではほぼ無傷で残ったが、民有林では尾根の上部や奥地斜面のごく一部にしか残らなかった。後に残ったのは皆伐後自然に再生した出来た広大な広葉樹二次林だ。それも、50年ほどの歳月を経た。たくましいブナの若木が再生している所もあるが、一方で細木が密集しヤブ化している地点も多い。
公有地化事業では二次林は樹林保護事業の対象にしていない。県では、二次林の現状は災害につながるような不良林はなく、良好に生育中だ、という見方だ。ただ、放置して元の天然の美林に再生するとは言えない、と専門家は言う。
広大な広葉樹二次林を所有するに至った岐阜県は人工林部分だけでなく、二次林の天然美林への再生に向けて有効な施策を考えて欲しいものだ。そのために、林業家や専門学者との連携により森林の実態把握のための調査研究活動が欠かせないであろう。
(鈴木 正昭)
<徳山の森の行方> ⑦ 二次林の将来
ご覧のページです。
コメント