月報「わっぱ」 2015年7月(No.404)
どうするアシストスーツ時代
先日、テレビで「アシストスーツ」の紹介をしていた。機械を体に装着して、バッテリーの力を借りて重い荷物を持ち上げるものだ。近い将来、工事現場に導入して、若者の現場離れを食い止める策の一つにするらしい。林業の分野でも、重い荷物を持ち斜面を登るためのスーツも研究中だという。いずれこんなものが、登山界の中に浸透して来るのも、遠い話しではないだろう。
登山口で、クライミングアシストスーツを装着して、いざ出発。すれ違う登山者からは「新型スーツですか……羨ましい。」などと声を掛けられ、「プロトタイプが、読者モニターで入手できまして…」なんて答える自分がいる。急斜面だって息切れなく、汗も流れず、足の痙攣だって心配することはない。そしてノンストップで山頂へ到着。 便利だぁ~。しかし冷静に考えてみると、山頂で飲むビールは、今ほど旨くはないだろうなぁ。これじゃあ、ヘリコプターで山頂まで運んでもらうのと、大差ない。「突然の雨によりスーツ装着者が感電死 !」とか、「無謀登山者!スーツのバッテリー切れで遭難騒ぎ」といった新聞の小見出しが想像できる。
こんなスーツにお世話になるくらいだったら、潔く登山靴をぬぎ捨てるべきだろう。そんな時が来るまでは、自力で登れる体力を維持する為のトレーニングに、せっせと励むことが肝要だろう。
(吉田 秀樹)
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