大垣山岳協会

<徳山の森の行方> ⑥ 人工林

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2012年6月(No.367)

<徳山の森の行方> ⑥ 人工林

 ダム上流域の私有林公有地化事業の柱である人工林の天然林への転換が進んでいないことは先に触れた。600㌶と言われる私有林の中には、共有林内に持ち分を持つ個人が植林した林野がかなりある。手入れ不足の不良林も多く、将来斜面崩壊の原因になりかねない。

 県は土地買収と同時に、これらのスギやヒノキの立木資産の買収を進めている。しかし個人の植林地を裏付ける記録や文書を残していない集落もある。徳山の山林所有制度は古くからの私的所有観念の薄い伝統的な形が最近まで維持されてきた。

 植林の事実を集落の自治組織の口頭で伝え、認められるとそれで済んだ。文書なしでも紛争は少なかった。だが、それが現代では通じなかった。県は二重買収のトラブルもあったので、立木権の買収は進んでいないようだ。

 人工林は全体ではわずかだが、全面伐採とする基本計画には、異論を示す人もいる。手入れされ立派に育っていて土砂崩壊を起こす危険性のない所もある。全面伐採は無駄とならないか。今は外材に押されっぱなしの国産スギ、ヒノキが市場性を取り戻す日が来ることもあろう。択伐による、広葉樹との混交林でよいではないかと。私も理解できる意見だ。

(M・S)


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