月報「わっぱ」 2022年11月(No.492)
「奥美濃の山」登山小史(6) - 昭和から平成、令和へ 編(2) - SK
2008年(平成20年)徳山ダム湖出現によりその西岸は林道が水没し、アプローチが極端に困難になった山がある反面、東岸に付け替えられた国道417号は改良が進み、冠山や金草岳などのアプローチは格段に良くなりました。そして、戦後福井県から岐阜県に編入された、かつて僻遠の地だった石徹白周辺は、2008年東海北陸自動車道の開通で、日帰りでも残雪登山ができる人気のエリアになっています。
また、1970年代に皆伐された揖斐川源流部の山々は、半世紀近い時を経て、再び自然に還る途上にあり、むしろ『樹林の山旅』当時の秘境の趣きを取り戻しつつあるともいえます。
われわれ大垣山岳協会は、このような変貌を受けとめながら、奥美濃の山に登り続け、創立60周年記念事業として2021年(令和3年)『美濃の三角点全店踏査の記録(Ⅰ)』、2022年『同(Ⅱ)』(自費出版)を刊行。そのうちⅡ巻は奥美濃の三等以上の全三角点の情報を網羅しています。また、5年間の踏査に基づき2021年に刊行した拙著『岐阜百秀山』(ナカニシヤ出版)も奥美濃の最新情報を含みます。
過日、『岐阜百秀山』出版にあたり日本山岳会京都滋賀支部で講演させてもらう機会がありました。同支部も設立者は今西錦司で、その薫陶を受けた世代の会員たちは「以前は本当によく『奥美濃』に通ったものだけれど、徳山ダムが出来てからはまったく行っていないなぁ」とおっしゃっていました。ダムができ、奥美濃の魅力が失われたような誤解があるのかと残念で情報発信不足を感じました。
今回「奥美濃の山」登山小史をまとめてみると、先輩がたが奥美濃の魅力を積極的に発信してきたことに改めて気付かされます。今後、できるならば、従来まとめて紹介されたことのない「奥美濃の沢」など、今に即した魅力を発信していければと願う次第です。(敬称略、完)
「奥美濃の山」登山小史(6) - 昭和から平成、令和へ 編(2) -
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