大垣山岳協会

山 名 考( 宗教(仏教)にちなんだ山名Ⅱ )

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2022年3月(No.484)

山 名 考 ( 宗教(仏教)にちなんだ山名Ⅱ )

 先月「わっぱ」発送後に清水克宏氏よりメールがあり、乙妻山は十三虚空蔵とのことです。彼は2018年に登っていますが、私は1998年の記録を見て書きました。自分で登っているので記録に間違いはないと思いますが、参考までに深田久弥の「日本百名山」の高妻山の項を調べました。そこに以下のような記載がありました。

 『高妻山の頂上には阿弥陀如来がまつってあったそうである。そこから更に、十一阿閦(あしゅく)、十二大日を過ぎると乙妻山で、その頂上には虚空蔵菩薩があったという。』

 このようなことから、20年の間に表示が替えられたのだろうと思われます。

 ここに新たに2つの仏様が出てきました。それを探しましたが、さすがに阿閦如来のついた山は見当たりませんでした。虚空蔵菩薩は赤坂の「こくぞうさん(金生山)」は別にして、虚空蔵山(岳、森)が全部で20山。清水氏が電子国土Webで検索したところ33山あったということで、古い山名辞典はかなり少ないようです。

 不動明王、文殊菩薩、釈迦如来など仏様の名前の後ろ半分は明王、菩薩、如来がついています。それのついた山ですが、明王は福島県に明王山(1709m)があり、各務原アルプスにも明王山(380m)があります。菩薩は日本百名山の大菩薩嶺(2057m)が良く知られていますが、他には見当たりません。そして、如来は岐阜市にある一等三角点如来ヶ岳(276m)が日本で唯一のようです。このように見ていくと、前半分に比べ後ろ半分の名前の付いた山は極端に少ないようです。

(続く)

(堀 義博)


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