大垣山岳協会

山 名 考( 山の形からきた山名 Ⅲ )

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2021年11月(No.480)

山 名 考 ( 山の形からきた山名 Ⅲ )

 尖った山の名前を続けます。尖った状態を蕎麦の実に例えた名前として、県内では美濃の蕎麦粒山(1297m)と飛騨の蕎麦角山(1222m)がありますが、全国ではほかに4山あります。

 最後にかぶり物に例える例として、まず「冠」があります。我々にとってなじみ深い奥美濃の冠山(1257m)をはじめとして全国に冠山、冠(ヶ)岳が13山あります。

 そして何といっても「烏帽子」です。古来元服した男子のかぶり物で、階級や場面により色々な種類がありますが、山については尖った山につけられる場合がほとんどです。県内にも数多くあり、北アルプスにも(烏帽子岳、2628m) 中央アルプスにも(烏帽子岳、2195m) 南アルプスにも(烏帽子岳、2726m)あります。

 紀州の那智の滝の奥に、これぞ烏帽子という山があります。烏帽子山(910m)です。添付の地図を見れば皆さんお分かりと思いますが、どの方向からも100m以上立ち上がっています。

 この山の近くに私の山の友人がいました。残念ながら亡くなられましたが、彼はこの山に触発され全国の烏帽子名の山に登るのをライフワークにしていました。彼からもらった「烏帽子名の山々」というファイルには、北海道から鹿児島まで全国で185座をあげています。岐阜県では烏帽子岳(乗鞍)、烏帽子岳(明宝)、気良烏帽子、烏帽子山(藤橋)、母袋烏帽子、点名・烏帽子(中津川)の6座を上げていますが、上石津の烏帽子岳は入っていません。まだ登っていなかったためでしょうが、それを考えると全国にはさらに多くの烏帽子名の山があると思われます。

 山の形の最後は双耳峰です。東濃の二ツ森山(1224m)のほか双子山、二子山、二上山、二ツ山、二ツ森などは全国に60山以上あります。 双耳峰の二股を弓矢の矢を弓弦につがえる部分の矢筈に例えた矢筈山、矢筈岳も多く、全国で30山あります。

(続く)

(堀 義博)


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