月報「わっぱ」 2021年10月(No.479)
山 名 考 ( 山の形からきた山名 Ⅱ )
さらに台形の山については、人のかぶる菅笠に見立てた「笠ヶ岳」があります。飛騨の笠ヶ岳(2898m)はその代表ですが、志賀高原の笠ヶ岳(2076m)は日本300名山に入っており、尾瀬の笠ヶ岳や谷川連峰の笠ヶ岳も立派な山です。笠山も全国に9山あり、さらに丁寧に説明した編笠山も八ヶ岳と南アルプスにあります。
台形の山の特徴は見る角度によって全く違った形になることで、笠ヶ岳、恵那山、笠置山等でお分かりと思います。
平らな頂上の山には「平ヶ岳」または「平山」。山としては特定しにくいので数は全国で10未満ですが、日本百名山に選ばれている尾瀬の平ヶ岳(2140m)が有名です。深田久弥はその著「日本百名山」で「その独自な山容。長く平らな頂上は甚だ個性的である。」と表現しています。
当然ですが尖った山も数多くあります。ところが単純に尖山の命名は全国に2山だけです。尖った状態を他のものに例える場合が多いのです。刃物に例えた名前は以下のようなものです。
- 槍:槍ヶ岳(北アルプス)、鹿島槍ヶ岳(同)、等
- 奥美濃の槍ヶ先(966m)もそうです。
- 剣:剱岳(北アルプス)、宝剣岳(中央アルプス)。
- 他に富士山、御嶽山、乗鞍岳の最高峰が剣ヶ峰です。「剣ヶ峰に立つ」という言葉もあり、極まったという事で最高峰を指しますが、そのもとは剣のように尖った様子からきています。
- 鎌:鎌ヶ岳(鈴鹿、1161m)、鎌ヶ峰(大日ヶ岳の西、1666m)。
- なお、御岳と乗鞍の中間にある鎌ヶ峰(2121m)は実は釜ヶ峰で、釜を伏せたような台形からの命名です。又、槍ヶ岳から東、北、西に延びている鎌尾根も鎌のように細く鋭い様子から命名されたものです。
- 鋸:南アルプスの鋸岳(2685m)を代表に鋸岳、鋸山が全国に9山あります。
(堀 義博)
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