大垣山岳協会

山 名 考 ( 山の形からきた山名 Ⅰ )

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2021年9月(No.478)

山 名 考 ( 山の形からきた山名 Ⅰ )

 山の形をそのまま山名にした山は数多くあります。一番安直な命名は丸い山だから丸山または円山。日本山名辞典を見ると全国で91山ありますが、その内約半数の43山が北海道にあります。アイヌ語を除き山の命名の歴史が浅いため、手っ取り早く名前を付けたのだろうと思われます。県内では石徹白の丸山(1786m)があります。

 丸くてこんもりした山には飯盛山、飯森山が全国で20山。県内では揖斐の飯盛山(745m)、養老の飯盛山(505m)があり、いずれも納得できる形をしています。鉢伏山、鉢盛山、鉢森山も同じことで全国に16山あります。

 頂上が少し横長になると台形になります。そこから舟を伏せた形を連想して舟伏山。県内では山県市神崎(1040m)と岐阜市(262m)にあります。また、恵那山(2190m)は別名「舟覆山」、笠置山(1128m)は別名「舟伏山」です。今淵ヶ岳付近の稜線から東を見ると、恵那山と笠置山が殆んど同じ形で、笠置山が恵那山の中にすっぽり収まっているのを見ることが出来ます。ただ、舟伏山の名称は岐阜県以外には見当たりません。やはり美濃地方はアユ漁などで小型の川船になじみが深かったためと思われます。

 台形の山には、家形山(山形県・福島県)、四阿山(長野県)など家の形から連想した命名もあります。また、台形を袴の腰板に見立てた袴腰山(岳)が全国に20山あります。すべてが同じ命名理由か分かりませんが、富山県の袴腰山(1165m)はそのものズバリ袴の腰板の形です。

 なお、山の数は三省堂の「コンサイス日本山名辞典」によります。そこには養老の飯盛山は載っていませんから、他の名前も実際にはもっと多くあると思われます。

(続く)

(堀 義博)


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