月報「わっぱ」 2016年11月(No.420)
廃村後46年の集い
今年6月号の本欄にクラソ明神(1023m)下山後に訪れた白岩・熊野神社(山県市神崎)のことを書いた。46年も前に全戸離村した白岩集落だが、今も春秋の例祭には多くの氏子が参列すると聞いた。10月10日の秋の例祭に僭越ながら、参列させてもらった。
白岩谷沿いの道路から20mほど上がった広場に拝殿(写真①)がある。その板敷きに14人が座り、神主さんを迎え石段の上の社殿に向けて静かに拝礼した。参加の皆さんは何を神様に祈願したのだろうか。
参加者たちは口々に、子供の頃の通学に苦闘した想い出を語った。小学5年から中学まで、約8㎞南の神崎中心部の学校まで登校した。冬、時に一晩で2mも雪が積もった。深い雪を踏みながらの強烈な体験は、今59歳以下の人達は持たない。集落がなくなったからだ。弘之さんは当時の暮らしを知らない自分たちの子供世代に祭礼の存続や古里意識の維持を引き継げるのか悲観的だ。低山登山は麓の人びとの暮らしや風俗と一体化して魅力を生んでいる。長屋さんらの愛郷精神の引き継ぎがうまく行くことを願う。
(鈴木 正昭)
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