大垣山岳協会

銚子ヶ峰 ~ 願教寺山 2014.04.12-13

銚子ヶ峰

月報「わっぱ」 2014年5月(No.390)

【 雪上技術講習会 】  銚子ヶ峰 ( 1810m Ⅲ△ ) ~ 願教寺山 ( 1691m Ⅲ△ ) 竹森 せい子

  • 日程:2014年4月12日(土) ~ 13日(日)
  • 参加者:L.丹生統、SL.佐竹良、SL.杉本眞、SL.平木勤、西村洋、鈴木正、竹森せ、柴田悦、小林和、霜田光、林旬子、北川洋、後藤正、藤森ふ、初日日帰り参加 衣斐剛、後藤友
  • 行程:
    • 4月12日(土) 大垣5:00=東海北陸道・各務原IC=白鳥IC=石徹白・中居神社下駐車地6:50~7:20-初河谷出合8:05-美濃禅定道登山口9:00~15-石徹白大杉9:25-12:00神鳩避難小屋
    • 4月13日(日) 小屋6:15-銚子ヶ峰7:15~30-南西尾根分岐7:50-願教寺山9:15~10:10-願教寺谷渡渉11:10-笠羽谷出合11:50-禅定道登山口12:45~13:00-駐車地14:30=大垣
  • 地理院地図 2.5万図:二ノ峰・願教寺山

 昨年の薙刀山に続いて、白山美濃側の石徹白山系での雪上技術講習の山行となった。サクラ吹雪の大垣からつぼみ堅い白山中居神社に着き、大杉林道入り口にどっかと置かれたブルドーザーの脇を抜けて歩き出す。望みうる最高の天気。青空の下、石徹白川の谷間の奥には白い峰がのぞく。公園化した白山に向かう美濃禅定道古道登山口からの石段道は堅い雪で覆われ、急坂をキックステップで登っていくと、石徹白大杉が視界をふさいだ。樹齢1800年、幹周り14m。国の特別天然記念物。白い木肌を見て一瞬枯れかけていると思ったが、上を見ると青い葉をたっぷり付けた小振りな枝がたくさん伸びていた。

 厚い雪で覆われた急斜面を登りきり、標高1200mの尾根筋に上がると、東側への眺望が開けて、初河山や芦倉山、丸山がすぐ近くに白い峰をのぞかせた。重いザックが肩や腰にこたえるが、雪庇側の広い雪面を軽快に登り、昼には神鳩小屋に着いた。

 持てあますほどの時間があり、小屋前の雪面に雪のテーブルを設営して昼食と小宴。陽光の下で、白い山々を肴に食べて語り合う(写真①=正面芦倉山、その右手前は初河山)。間もなく、小屋到着後に母御石谷へスキー滑走に出かけていた平木さんが、同行した和歌山市のOさんと共に帰着し、宴に合流。さらに賑やかでかつ有益な席となった。

写真① 正面芦倉山、その右手前は初河山

 小屋の利用者は私たちの他は、Oさんだけ。所持したテントは不要となり、日帰り参加の二人に一部を担いで下りてもらった。ゆったりした小屋は堅固な造りで、暖かな一夜を過ごせた。

 13日、朝日が薄い雲の中から差し込んでいた。天気はよさそうだ。アイゼンを着け出発。別山谷を分ける主稜に出ると痩せ尾根となり、クラスト雪面。各所で雪面にひびが入っている。母御石手前の急斜面ではリーダーらからピッケルとアイゼンワークについてのアドバイスが飛ぶ。緊張して一歩一歩、確実に登り詰める。

 母御石から先は広大な平坦雪原。無雪期には「笹山三里」と呼ばれるササ原だそうだ。見え始めた別山や日照岳方面の白い連なりを眺めながら、ゆるい雪面を登りきると銚子ヶ峰。山頂を示す物はなにもない。あるはずの青銅製の方位盤などは雪の下だった。眼前の別山、その手前に並ぶ三ノ峰、二ノ峰、一ノ峰、これから向かう県境尾根上の願教寺山はこんもりとした突起のようで、やや地味な姿。

 1784mの尾根分岐を緩やかに西に向かって下りる。尾根の美濃側は絶壁の福井側とは反対の平坦な平原。ブナやミズナラが点在する雪原を軽快に下る。願教寺山の手前の大きなピークを左にトラバースし、やぶが少し出ている最低鞍部に達した。ここから空身で、鋭く立っている雪の痩せ尾根をピッケルで身体を支えながら小広い山頂に達した。

 降りていたガスはすぐ晴れ、360度の展望を楽しんだ。南側の眼下によも太郎山、日岸山、薙刀山が並び、右奥に荒島岳。その南奥には越美国境の両白山地の山々が遠くかすんで見えた(写真②)。

写真②

 鞍部に戻って休んだあと、東南尾根を軽やかに下った。尾根の末端で願教寺谷に突き当たる。先行する平木さんのスキー跡をたどりながら好適地を探す。例年より雪が少なく、むきだしの谷の渡渉はつらい。ただ、水量は意外に少なく、なんとか無事渡渉。さらに笠羽谷出合手前の渡渉も首尾良く終えて、谷にかかる林道橋を渡る。最後の難所であるカウレ大滝上の林道。例年大量に崩落する雪で滑り台のようになるが、雪が少なく全員付けたアイゼンも全く出番なし。

 あとは長い大杉林道歩き。雪解けの路傍にはフキノトウが顔を出し、みんな大きな
荷を傾けて摘み取りながら歩いた。春の日の日差しを受けて群れ咲くキクザキイチゲの紫の花も厳しかった山行の疲れを癒してくれた。

<ルート図>

ルート図

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