大垣山岳協会

厳しい様相を見せた別山 2018.05.03-05 / 05.06

別山

【春山山行】 別山 (2399.3m Ⅱ△)、大日ヶ岳(1709.0m Ⅰ△)  後藤正雄

  • 日程:2018年5月3日(木・祝)~5日(土・祝) / 5月6日(日)
  • 参加者:L.丹生統、清水克、平木勤、後藤正
  • 行程:後述
  • 地理院地図 2.5万図:石徹白(岐阜1-3)、二ノ峰(金沢4-4)、白山(金沢4-3)

5月3日(木・祝、雨)
大垣4:00=石徹白大杉駐車場6:40~7:00-神鳩ノ宮避難小屋9:10-銚子ヶ峰10:30~10:40-二ノ峰12:30~12:40-三ノ峰避難小屋13:30(泊)

 今年のGW後半の天気予報はあまり芳しくない。今日は午前中まで雨が残り、明日は寒気が入り込むため山は大荒れとのことだ。未明に雨が降るなか大垣を出発し、石徹白大杉駐車場に向かう。駐車場では我々のほかに人影はない。雨は本降りではないものの止む気配はない。雨具を身に着け、白山まで美濃禅定道19㎞の旅を始めた。

 先月の丸山山行時と比べ雪はかなり溶けていた。神鳩ノ宮避難小屋まできたが雨は止まず、ガスにまかれて展望は全くない。途中ところどころに現れる夏道を探しながら進み、ようやく銚子ヶ峰に到着。三角点の柱石が大きく見え一等ではとの声も上がるが、定規で測り三等三角点であることを確認。ガスの中での錯覚だろうとの結論。

 一ノ峰、二ノ峰へと進む。二ノ峰三角点は登山道から少し外れた藪の中、ザックをおろし空身で登る。さらに三ノ峰へと進んで行くが、途中で道を見失う。眼前はかなりの急斜面、キックステップで直登する。なんとか登り切り眼を凝らし進んでいくうちに避難小屋を見つけ、ホッとする。この区間、帰りは視界が開けていたので簡単にルートが分り、緩やかな道を降りることができた。同じ山でも天候により難易度はかなり違うことを改めて実感した。夕食は清水さんの食当によるすき焼き、小屋泊りだからできる贅沢だ。

 お腹を満たしお酒も進み、上機嫌でシュラフに入る。夜半に目を覚ますと、台風並みの風が吹いていた。

5月4日(金・祝、暴風雪のち曇)
起床4:00~避難小屋6:40-別山9:20~9:30-チブリ尾根分岐(撤退)10:00-三ノ峰避難小屋12:35(泊)

 風は強い。窓に雪が付着している。外を見ると結構積もっている。この天候では室堂までたどり着くのは無理と判断して、南竜馬場の冬季小屋を目指すことにした。完全冬山装備で小屋を出発したが、三ノ峰を過ぎたあたりから雪を伴い真横から強烈に吹き付け始めた。足元は当初10㎝ぐらいの積雪だったが、御手洗池あたりの吹き溜まりでは膝上のラッセル。また、広く雪原となっておりルートファインディングに困難を極めた。コンパス、GPSを頼りに真白いガスの中を突き進む。
別山山頂になんとか到着。

 写真だけ撮ってすぐに北へ進む。石室を見つけるも梁が折れ曲がり、全員入ることはできない。何とか小休止しすぐに歩きだす。少し進むとチブリ尾根分岐の道標があった。南竜山荘まで4.4kmとある。以前に室堂までのルートを通った経験のある清水さんから、この先大屏風のあたりが岩稜帯で樹木もなく険しいとのこと。天候の回復は見込めず、5m先さえ全く見通せない。ここでリーダ―から引き返すとの指示が下された。

 帰りの道もかなりきつかった。風がさらに増しているように思える。わずかながら残っているトレースを頼りに降りていく。アイゼンがすぐに雪団子の高下駄状態になり、引っ掛けないよう慎重に歩みを進める。

 三ノ峰手前のコルで小休止。シラビソ林が風を防いでくれようやく食べ物を口にすることができた。風は相変わらずきついものの、ガスが段々と晴れていき、雲の切れ間から一瞬光がさすようになってきた。行くときは全く視界がきかなかったが、三ノ峰山頂からは小屋が見えた。携帯電話の電波が弱いながらも届くようで、室堂の小屋にキャンセルの連絡を入れる。

 小屋に戻りうつらうつらとしていると28歳の2人組が入ってきた。彼らは明日室堂に行き、明後日には野谷荘司まで行くとのこと。2時半に起床して12時間の行動予定という強行軍を聞いて、ただ頑張ってと思うしかない。

5月5日(土・祝、快晴)
起床6:00~避難小屋7:50-銚子ヶ峰9:55~10:15-神鳩ノ宮避難小屋11:00~11:10-石徹白大杉駐車場13:00=満天の湯=いとしろ旅館(泊)

 今日は下山するだけなので遅めの起床。風はきついものの快晴で、周囲の山々が見渡せる。登りでは全く展望がなかったが、今日は360度の大パノラマが広がっている。やはり山はこうでなくては面白味がない。銚子ヶ峰につく頃には別山も姿を現し、昨日吹雪のなかよくあんなところまで行ったものだと感心した。登ってくるパーティも結構多く、半袖Tシャツの登山者もいた。昨日は吹雪で撤退してきたと話すと驚いていたのが印象的だ。

 昨晩、明日は桧峠から大日ヶ岳に登ることになり、下山後、清水さんの尽力により旅館に泊まる。温泉に浸かり、ビールを飲み、暖かい布団で寝ることができ至福の時を味わった。

5月6日(日、晴れ)
起床5:00=満天の湯駐車場6:40-水後山8:30-鎌ヶ峰9:00-大日ヶ岳9:55~10:30-水後山11:45-駐車場13:15-満天の湯=大垣中之江駐車場17:00

 満天の湯駐車場からゲレンデを登り、水後山、鎌ヶ峰のアップダウンを乗り越えて大日ヶ岳へ到着。初夏のような陽気の中、一昨日までの雪景色との大きなギャップを感じた。昨日までいた三ノ峰、別山をはじめ今日は白山も鮮やかに見える。山頂からは、御岳、乗鞍、穂高の山並みも見える。陽光に包まれ穏やかな一日だ。今回の春山は、吹雪の別山から汗ばむ陽気の大日ヶ岳まで天候の幅が大きな山行となり、とても思い出深いものになった。

 今回断念した美濃禅定道走破は別の機会に改めて挑戦したい。

石徹白の山々
<5/3-5 別山ルート図>
<5/6 大日ヶ岳 ルート図>

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