大垣山岳協会

高丸~三周ヶ岳縦走 2013.03.09-10

三周ヶ岳

月報「わっぱ」 2013年4月(No.377)

【 中級冬山縦走 】 高丸 ( 1316m Ⅲ△ )、三周ヶ岳 ( 1292m Ⅰ△ ) 久世 勝己

  • 日程:2013年3月9日(土)~ 10日(日)
  • 参加者:L.西村洋、佐竹良、丹生統、久世勝、竹森せ、宗宮眞、北川洋、後藤正
  • 行程:
    • 3月9日(土) 大垣5:00=揖斐川町坂内駐車地6:30~50-バイクランド7:30~40-尾根取り付き9:20-941m地点11:35-1114m地点12:30-テント場13:20
    • 3月10日(日) テント場6:40-ジャンクションピーク6:50-高丸7:25-三周ケ岳8:55~9:00-コル休憩地9:40~45-テント場11:30~12:30-林道出合15:00-バイクランド16:05-駐車地17:10~20=大垣18:20
  • 地理院地図 2.5万図:広野

3月9日(土)

 連日、天気予報では厳しい寒さと積雪の報道が続いているが、今日は生暖かい気温で雪崩注意報も出ている。坂内川上から夜叉が池への林道に入る。どこまで車で行けるか気になる。工事用土管置き場辺りまで入ることができ、当初予定より奥まで行けた。しかし、雪崩で林道を塞がれる恐れがあるので、車は安全域まで戻って駐車した。

 輪かんを装着して林道歩き。途中デブリに数カ所出くわしたが、慎重にトラバースする。林道から尾根への取付きをどこにするか。西村Lの下見時にはイビデン神岳ダム湖を越えてすぐ取り付いたというが、あまりに急な斜面。林道を少し進んで斜面に取り付いた。それでも急斜面に変わりはなく、汗だくの登りとなる。尾根に出て小休止。竹森さんが黄色いマンサクの花を見つけた。まず咲くということでマンサクの名が付いたそうだ。尾根筋は広いブナの二次林となり、無風状態の快適な登りだ。宗宮さんは暑いといって下着1枚になった。下山時に備えて、佐竹さん特製のペナントを付けながら登る。

 941m三角点近くまで登ると、展望が開け土蔵岳、天狗山、蕎麦山のどっしりした山塊、能郷白山も遠望できる。その後の痩せ尾根には樹齢400年近いと推測されるヒノキの巨木(地上1.3mで幹周り3m以上が一般的定義)が構えていた。厳しい風雪に耐えたからであろう、幹は太いが、背は低い。広い尾根に出ると幹周り1m位のブナが並ぶ。時間的な余裕もあるので、テント場予定地点からさらに進み、主稜線ジャンクションピークの直前の標高約1180mの平坦な雪原に設営地を決定。右手には烏帽子山が間近に見える位置で風も遮ることが出来る適地だ。

 テント設営中にイヌワシと思われるつがいの鳥が上空を旋回している。トンビとの声もあったが、イヌワシで落ち着いた。夜は冬の大三角形ほか星空が満天に輝いていた。

3月10日(日)

 朝起きると、昨夜とは打って変わり天候は下り坂。テントの張綱を締め直し、留守の間に吹き飛ばされないよう用心する。烏帽子岳と高丸のジャンクションピークから左に尾根を進む。登り詰めると高丸であった。山頂はなだらかで広い。積雪は2mほどか。曇っていて眺望は近くの山しか見えない。

 高丸を越えた辺りから雪庇が発達している上に、所々雪に割れ目が入っていた。丹生さんから雪庇に注意するよう指示が飛ぶ。かの有名な登山家ヘルマンブールもチョゴリザで雪庇を踏み抜いて死去したなどの喩えも出た。下ってコルを越えた辺りでブナの樹林の合間から三周ヶ岳が見えた。三周ヶ岳頂上手前で雨が降り出した。雪に変わった山頂で登頂万歳を素早く済ませすぐ下山開始。

 帰路は風速15mくらいの横殴りの吹雪となり身体がふらつく上に雪に頬を撃ちつけられ痛い。テントを出てから途中休憩は1回5分のみの厳しい行程となった。雪中、荒天となればこうした厳しい状況にもなる。日頃の鍛錬がものを言う。ただ、トレースがしっかり残っていたのは幸いだった。

 テントで1時間ほど休憩して身体を温めてやっと一息ついた。テント撤収後、下山したが、雪面を踏み抜くなど悪戦苦闘。林道に着くころには青空も見える天候に回復したものの、穏やかな前日と今日の厳しい冬山との落差を痛感する久しぶりに手応えのある山行であった。

<ルート図>

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