大垣山岳協会

山頂で待ち合わせ・高丸 2020.10.03

黒壁(高丸)

【 個人山行 】 高丸 ( 1316.3m Ⅲ等△ ) 丹生 統司


 今山行は入会3年ほどの方を対象に沢登りとヤブ山体験の二兎を追う欲張りな計画である。伸び盛りの方たちと高丸山頂に同時登頂して感激を分け合う予定である。

  • 日程:令和2(2020)年10月3日(土)晴れ後曇り
  • 参加者:
    • 沢コース L.伊藤正、小栗敦、佐藤大、中田英、平木勤、吉田千
    • 尾根コース L.丹生統、清水克、藤野一、宮沢健、村田美、山本千、+1名
  • 行程:
    • 尾根コースタイム 池ノ又林道終8:20-高丸山頂12:09~12:40-池ノ又林道終14:45
  • 地理院地図 2.5万図:広野・美濃川上

 夜叉ヶ池への登山口でもある池ノ又林道終点駐車場には既に4~5台の車が駐車していた。1時間は山頂で待っていただきたいと沢コースの伊藤Lにお願いして駐車地で別れた。以下は尾根コースの報告である。本音は先に着いて1時間待った、と言いたいのだが、

 「山火事注意」の幕を潜ると踏み跡が上に延びていた。古い目印も残されており藪は見通しが効いてこれは案外早く着きそうだ。取付きから高度で150mほどを一気に登った。駐車地が標高760mほどで山頂までの標高差は約550m、2時間半で山頂着と見積もったが・・・尾根組は2班に編成して前、後半に分かれ赤布目印付け作業をお願いした。藪漕ぎもルート選択の判断も当然目印付けで先頭に入る班が決める。トップを歩くものはメンバーを安全に最短で山頂に導かねばならない義務を負う。

 標高920mの所で最初の交信を沢組と行った。互いに同じような高度にいたが流石若手の強者(つわもの)である。沢で同じ標高に居るということはやはりスピードがある。我々は藪の抵抗が全く無くて此の位置で有るから山頂到着は負けると覚悟した。

 笹が現れたと思ったら急にスピードダウンとなった。笹が背丈を越えると全く先が見通せない。踏み跡も消えてしまって時折現れる古い目印がルートを踏み外していない確認となってホッとする。笹の中で株立ちの灌木があると避けて蛇行するがこれが下山でルートを踏み外す元凶となるので要注意である。必ず蛇行の中間に目印を付けておかないと真っ直ぐ下ってしまう。目印も朱色の赤が目立つ、これは雪山でも朱色が吹雪にも有効である。

 トップは背丈を越す藪との格闘中であるが後方はのんびりしていた。藪の中に漆の紅葉を見つけた。藪の中でカメラの出番はなかったが緑と赤の対比にシャッターを押した。

 藪との格闘に疲れて沢組に交信を入れると30分前に登頂して待っていると・・・我々はまだ1時間は脱出出来そうにない。1100mから1250mの間の藪は特に濃くて手持ちの目印を使い果たし私の非常用を回した。笹丈が幾分低くなり頭上の立ち木の小枝が薄くなって周りが明るくなると山頂が近く感じられ「ヤッホー」のコールを送ると返事が返って来た。

 点名・「高丸」に到着、沢組から遅れること1時間30分であった。待ちくたびれた彼らは寒くて防寒着を着ていた。汗びっしょりの我々とは対照的だ。さらにもう30分我々の昼食休憩を退屈だろうが待って戴いた。申し訳ない。

 三角点を囲み記念写真、この日は午後から雲が低く垂れて近くの烏帽子山も三周ヶ岳も見えなかった。周囲の木が大きくなったせいかもしれないが。

 2013年に中田君達と徳山側の根洞谷から小茂津谷経由で高丸の山頂に立ったが下山で大苦戦をした。下降路の尾根は南西の駐車地に向かい円弧を描くように下っているのだがこれが曲者で南に派生した支尾根に何度も騙されルートを踏み外した。修正に修正を重ねたがトイレ付近の法面に出た。30mザイルでは届かず、そこからの駐車地へのトラバースは沢泊装備で膨れたザックが立ち木や藪に引っ掛かりヘトヘトになった。

 今回はピストンで有り目印は場所によっては間隔が狭すぎと感じていたが訓練なので敢えて何も言わなかった。それがいざ下山となると分けて踏んだはずの笹が再び立ち上がっていて2度3度と踏み跡を外し目印を捜すこととなった。特に灌木に邪魔され直進出来ずに蛇行を余儀なくされた箇所は難儀をした。蛇行の始まり中間、抜け出しの3点の目印は手抜き禁止である。次の釈迦嶺でもう一度学習しよう。目印の回収は自分たちのグラウンドを大切にするために必要な義務である。守りましょう。

 清水さんの『美濃百秀山』出版に合わせてのNHK記者の取材は余りの藪の濃さにカメラが回せなかったようだ。これに懲りずにお付き合い願いたい。完

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