大垣山岳協会

湧谷山~蕎麦粒山 2013.02.09-10

湧谷山

月報「わっぱ」 2013年3月(No.376)

【 初級冬山縦走 】 湧谷山 ( 1078.7m Ⅲ△ )~ 蕎麦粒山 ( 1296.7m Ⅱ△ ) 大野 ひじり

  • 日程:2013年2月9日(土)~ 10日(日)
  • 参加者:L.佐竹良、SL.杉本眞、西村洋、鈴木正、竹森せ、衣斐剛、中田英、平木勤、藤森ふ、後藤正、北川洋、大野ひ 9日のみ 大橋辰、高橋美、林旬子
  • 行程:
    • 2月9日(土)  大垣6:00=揖斐町公民館駐車場6:15~6:30=遊らんどスキー場跡空き地駐車地7:40~8:00-丁字山(1011m)11:05~20-湧谷山12:00-約940m平坦地(テント場)13:55
    • 2月10日(日)  テント場7:55-尾根分岐ピーク(荷物デポ)8:30~45-1075m峰通過9:20-蕎麦粒山11:00~40-デポ地12:55~13:15-14:50大谷川渡渉─駐車地点15:30=揖斐川町公民館=大垣
  • 地理院地図 2.5万図:美濃広瀬

2月9日(日)
大垣6:00=揖斐町公民館駐車場6:15~6:30=遊らんどスキー場跡空き地駐車地7:40~8:00-丁字山(1011m)11:05~20-湧谷山12:00-約940m平坦地(テント場)13:55

 昨年2月の今回と同じコースの協会山行は大雪と悪天候のため、湧谷山のすぐ先で引き返したと聞いていた。今年はどうなるのか。雪山初心者の私は不安と期待で緊張して前夜、睡眠不足気味。総勢12人で揖斐川町広瀬の閉鎖されたスキー場ゲレンデ跡の雪原を登り始める。

 積雪50cmほど。すぐに、リーダーから、わっぱ装着の指示がでる。やや重めの体重のせいか、一歩ごとに膝まで埋まっていた私には大変うれしかった。でも、わっぱの装着方法の記憶はほとんど喪失状態。怒鳴られそうな事態だったが、先輩たちが懇切丁寧に教えてくれた。丁子山まで続く尾根に取り付き、人工林の中の尾根筋を進む。日帰り組3人が先行してラッセルしてくれたので、有り難かった。新雪は20cmほどで雪質もよく、昨年より2時間も早く丁子山に到着できた。

 できかけの雪庇を乗り越えて湧谷山山頂にでると、北に伸びる蕎麦粒山までの真っ白な稜線が眼前にあらわれた。どこまでも歩いていきたくなるような美しさだった。ここで、日帰り組に別れを告げて、稜線を下り始めると右手に小型の雪庇が続く。雪庇を見たのは初めてだ。振り返るとすでに湧谷山が遠くに見えた。

 前を行く先輩の歩き方を真似する。とにかく必死について行った。「ここテン場にいいな!」と声があがった。まるでキャンプ地のようなブナの木に囲まれた平坦な場所が948mの三角点西又の手前にあった。生まれて初めての整地。そしてテントの張り方を教わった。テントの中はとても明るく広かった。中央の調理スペースの広さにも驚いた。用意した板を平らに置くために、板でテント底の雪を整える。そして目の前に現れたのはまるでアラジンの魔法のランプのようなガソリンバーナーだった。スウェーデン製と日本製の二つ。プレヒートして発火、ガスバーナーと全然違う音の響きと火の出方がたまらなく素敵だった。雪中キャンプは初体験で、凍死との狭間の一夜になるのか、と恐れていたが、火が付くと室内はぼかぼか陽気。雪中生活の仕方を教わることができ、また先輩の貴重なお話も聞けて楽しい一夜でした。

 テント中央に寝た私はシュラフに潜ると、1分もかからぬ内に寝入った。深夜、あまりの暑さに目が覚めた。ネックウォーマーと帽子を脱ぎ、あとは熟睡。

2月10日(日)
テント場7:55-尾根分岐ピーク(荷物デポ)8:30~45-1075m峰通過9:20-蕎麦粒山11:00~40-デポ地12:55~13:15-14:50大谷川渡渉─駐車地点15:30=揖斐川町公民館=大垣

 朝、外に出ると小雪が降っていた。当初の予定では、ここから蕎麦粒山までピストンして、湧谷山経由の往路を下山する予定だったが、途中の尾根分岐ピークから大谷川西股に降りるルートに変更となった。テントを撤収して重い荷物を担ぎ出発。間もなく着いた分岐ピーク(標高約1000m)に装備類をデポした。

10日、南側尾根から雪雲をかぶった蕎麦粒山を望む

 白いガスが立ちこめた尾根を進むと一瞬、頂上部を雲で隠した蕎麦粒山への尾根筋がくっきりと見えた。1075m峰の東側をトラバースすると、なんとも穏やかな二重山稜域だった。時間が止まったかのような静寂の中にブナの樹林が立ち並ぶ。最後の鞍部から胸を突くような急な尾根が続く。途中でストックをデポしてピッケルに切り替えた。シャフトを深く刺し、それを支点にして体を起こす。岩混じりの壁をなんとか這い上がる箇所も何度かあり、私にとっては今までのどの山行よりも過酷だった。しかし、時折のぞく雪の尾根や白く輝く霧氷に目を奪われるうちに平坦な頂上部に上がった。4,5mもありそうな雪の堆積の上が頂上だった。残念ながら、回りは白い雪雲に囲まれ眺望はなかった。ちらつく小雪の中で、最年少の私の音頭で万歳三唱(写真)。そして小さな雪庇の東側にあるわずかな平坦部でしばし、お昼休み。

 下山は雪尾根を順調に下り、分岐ピークでデポしていた荷物で重くなったザックを背負い南東尾根を下りた。少し下りたピークに途中で引き返した古林さんら日帰り組が差し入れしてくれたビールが2缶。赤いヒモで結わえておかれていた。みんなで一口ずつ頂く。

 歩き出すと木枝越しに先ほど登った蕎麦粒山がひととき太陽に照らされ輝いていた。

<ルート図>

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