大垣山岳協会

蕎麦粒山~五蛇池山~天狗山縦走 2013.03.05-06

五蛇池山

月報「わっぱ」 2013年4月(No.377)

【 個人山行 】
蕎麦粒山 ( 1297m Ⅱ△ )、五蛇池山( 1148m Ⅲ△ )、天狗山( 1149m Ⅲ△ )
丹生 統司

  • 日程:2013年3月5日(火)~ 6日(水)
  • 参加者:L.丹生統、中田英、衣斐剛、林旬子
  • 行程:
    • 3月5日(火) 大谷川西俣出合駐車地6:30-上部主稜線出合8:45-蕎麦粒山(1296.7m)11:20-ミヤマ谷乗越11:35~12:00-小ソムギ(約1230m)13:40-五蛇池側へ下降-1080m幕営地14:30
    • 3月6日(水) 幕営地7:40-五蛇池山(1147.6mⅢ△)8:30-黒津山10:10~55-天狗山(1149m)12:30-坂内道の駅15:00
  • 地理院地図 2.5万図:美濃広瀬

 徳山ダムの出現と共に村名が消えた徳山村と、その南側にあってこれも合併で消えた旧坂内村の境界域には峻嶮な五蛇池山や蕎麦粒山・烏帽子山・三周ヶ岳などの秘峰が連なり、私を惹きつけてやまない。今回、蕎麦粒山から南の天狗山まで周遊する計画に三人の仲間が賛同してくれた。

 5日、大谷川沿いの林道は西俣出合い付近まで除雪されていた。輪かんを装着して西俣出合を渡渉し、尾根に取り付くと15㎝ほどの新雪。根雪は堅く予想外に早く主稜線に着いた。主尾根では更に雪が硬くなりペースは速まった。蕎麦粒の前山の最低鞍部でアイゼンを装着した。

 私は足のケガをしてから今季が初の積雪期の登山だ。アイゼン歩行の慣れ不足から爪先に負担が集中して辛かった。これは背負って行かねばならぬハンディーと言い聞かせて耐えた。しかし、みんなの登高意欲は高く予定より2時間も早く蕎麦粒山頂着。頂上は雪稜になっており東面の雪庇は我々の身長よりはるかに高い。その陰に隠れて明日向かう黒津山や天狗山は見えなかった。

 今山行は4つの峰を越えて天狗山到達で完結する。“万歳”は天狗山まで封印しよう。緊張の糸が緩むのが怖いという思いもある。小ソムギへの歩行は雪庇の崩壊を警戒し低木帯沿いを行きたいのだが、そこは傾斜がきつく角度に負けて雪稜の上に押しやられてしまう。「もっと下を歩け」。最後尾の私は先頭の中田君へ雪庇崩壊を避けるための注意を呼びかけた。

 蕎麦粒山から小ソムギまでの道程は雪庇とともにやぶとの格闘だった。テント泊の重荷でかさばったザックやストックは低木に絡み体力を消耗させる。急傾斜のトラバースでは低木の跳ね返りを警戒し、バランスを崩す恐れもあり緊張を強いられる。ここで低木にストックを奪われた仲間もいた。

 小ソムギに「小」を誰が名付けたのか。容姿も眺望も困難さも「大」なのに、かわいそうだ。小ソムギ頂上からは五蛇池山との鞍部に向かって急傾斜の尾根を230m下降する(写真)。荒天で視界不良だとルートの発見は困難を極めるだろう。頂上から30mほど下降した付近が特に傾斜が強く、ザイルを出した。10mほど下ったところで足がむなしく空を切りバランスを崩した。雪面に亀裂が生じ、新雪がそれを隠していたのだ。一瞬緊張したがピッケルの支えとザイルのお陰でことなきを得た。この日は予定通り1080m地点で幕営した。

 今回は目的遂行を優先してアルコールは制限した。それでも充分話題に花が咲き会話が途切れることなく楽しいテント泊の夜。いい仲間と登山ができた。深夜、蕎麦粒山にはジェット機が停滞して爆音を発しているような風が吹き荒れていていたが、明け方には止んで暖かい東風に変わっていた。

 6日朝、アイゼンを装着し最低鞍部へ50m下降した。鞍部はかろうじて雪稜が五蛇池山へと繋がっていた。ここからクラストした斜面を140mほど登高して五蛇池山の頂上に立った。順調だ、幕営地から50分だった。頂上を示す標識等は見当たらなかった。

 これより黒津山へ尾根は南進する。1050m付近で40mほど急傾斜の下降がある。南斜面の雪は緩んで、アイゼンに雪が付着してダンゴになる。坂内側・旧徳山側いずれも急傾斜で切れ落ちており注意を要した。頻繁にストックでアイゼンの雪をたたき落す。黒津山の登りになると雪も締まって、尾根も広くなり緊張から解放された。

 黒津山の頂上の灌木には2月5日に登った時に巻いたテープが残っていた。走破した蕎麦粒山・小ソムギ・五蛇池山が控えていた。少し下った陽だまりを探して大休止。

 ここでアイゼンから輪かんに切り換えた。これは大成功だった。トップを行く衣斐さんのスピードはぐんぐんアップ。「少し振り帰って景色を堪能しようよ」とお願いした。成長したブナの二次林の姿。足元のみを見つめて通り過ぎるにはもったいない樹林美を感じた。そして、見覚えのあるなだらかな雪面にブナの木が林立している高みに着いた。対岸に小津権現・花房・雷倉の小津三山が望まれ、北の方向には能郷白山や冠山・若丸の越美国境の山嶺が連なっていた。そして雪原のブナに「天狗山1149.2m」の標識が有った。

 林さんの音頭で万歳三唱をした。一度目はこのフィールドを提供してくれた地球に万歳。二度目は山行を共にした仲間と我が会に万歳。そして三度目は自分の努力への褒美であった。雀躍したいほどの高揚感で握手にも力がこもった。

<ルート図>

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