月報「わっぱ」 2024年2月(No.507)
【 雪上講習 】 西穂高岳 独標 ( 2701m △なし ) TM
- 日程:2023年12月23日(土)~24日(日)
- 参加者:L.NT、ST、SM、TM、NY、MY、YC
- 行程:後述
- 地理院地図 2.5万図:笠ヶ岳(高山7-3)、穂高岳(同7-1)[北緯36°16′/東経137°38′]
12月23日(土)(曇り時々雪)
- 中之江駐車場5:00=ひるがの高原SA7:00=新穂高温泉駐車場9:00~新穂高温泉駅9:30-西穂高口駅10:00-西穂山荘11:45(泊)
今回の雪上訓練、当初は御嶽山の予定であったがロープウェイが営業していないとのことで、西穂の独標に変更となった。
西穂独標は穂高連峰の南端、西穂高の稜線上にあり、標高は3000mを切っているが岩稜帯で、岩と雪の北アルプス入門コースとして人気がある。新穂高温泉から千石尾根にロープウェイが架かり登山が容易になったことが、多くの登山者を引き付けている。ロープウェイを降りて、登山口から夏で1時間半、冬でも2時間あれば西穂山荘に到着する。独標までなら危険個所は2ヶ所しかなく、強風が吹かなければ、滑落の心配もないのが利点である。
総勢7人でロープウェイを2本乗り継ぎ、登山口に入った。最初からトップが張り切り過ぎ、ハイスピードで登り始めてしまう。先行パーティに追いついてしまうほどで、あとの皆はついて行くのがやっとの状態だった。残念ながら小生はついていけず脱落し、他の登山者に励ましていただき、何とか小屋まで辿り着くことが出来た。
西穂山荘は、千石尾根が主稜線に突き上げた森林限界に建っており、収容人数は180名と大規模な山荘で、通年営業を行っている。
幸い(?)1日目は天候不順で視界もないため、丸山まで登る予定だったが急遽変更し山荘でのミーティングとなり、ほっと一息できた。ミーティング(懇親会)は午後一杯続き、大いに盛り上がった。
クリスマスシーズンと言うこともあり、夕食後にケーキが出てきた。山荘での夜は楽しく、イベントに参加しビンゴゲームで皆さん景品をゲットしていた。
12月24日(日)(晴れ)
- 西穂山荘6:50-丸山7:20-西穂独標8:50-丸山9:45-西穂山荘10:10~10:45-西穂高口駅12:00-駐車場12:40-新穂高温泉12:50~(入浴)~13:30=平湯13:50~(昼食)~15:00=中之江駐車場18:10(解散)
2日目は天候も回復した。朝日を拝む事ができ、皆はやる気に満ち溢れていた。
丸山までは順調に登れたが、丸山に着く頃には風も強くなり、煽られてピッケルで耐風姿勢をして身体も支えなければならなくなった。稜線のいたるところで10mを超える風に煽られ雪煙が舞っていた。先に進めるのかとの気持ちが湧いてきたが、先行パーティの登っている姿を見て、自分の心の中では行けるとの確信に変わっていった。
丸山での写真撮影を終え、最初の小ピークを巻いて降りる所が急で、上手くアイゼンワークしなければいけない所だ。次の難所は独標の最後の鎖場で、登る人と降りる人で渋滞していた。アイゼンワークに気を付けないとゲーターに引っ掛けてしまう所だった。
独標登頂時にはちょうど風が止み、ゆっくりと写真撮影が出来、周囲の山々を拝む事が出来た、乗鞍岳は見えたけれど、残念ながら富士山は見えなかった。でも、奥穂、前穂はいつ見ても迫力があり、眼前に迫ってくる様子は山屋としての心を奮い立たせるものだった。奥穂のジャンダルムもハッキリと拝む事が出来、35年前に初めてあそこを抜けた時の緊張感を昨日の事のように思い出した。その後も先輩の依頼により60歳台の夫婦を連れてのサポート登山をした際に抜けたが、サポート登山のためすごく緊張した思い出しかない。でも、もう登る事のない山かと思うと少し寂しい感情も湧いてきた。
楽しい頂でのひと時を過ごし下山に向けて行動開始したが、これから登る人達と鎖場ですれ違う羽目になった。登り優先の原則だが道を譲っていただけたので感謝の声掛けをした。この時ばかりは、高齢登山者のグループである事に心の中で感謝した。次の難所では新人の子がいるのかロープを急遽出して、アンザイレンして降りてくるグループがあり、少し停滞していた。その先は風も収まり、スムーズに下山できた。
西穂山荘からトップを1日目と同じメンバーに交代すると一気にスピードアップとなり景色を楽しむ余裕がなく少し残念だった。我々はトレランの選手でないぞと呟きながらもう少しゆっくりのペースで行くようにお願いした。
下山途中に先程難所で遭遇したグループと再び出会った。新人がへばっていたので思わず声を掛けてしまった。なぜならこんな事で山を嫌いになって欲しくないとの思いが心に湧いてきたためである。その昔、小学校低学年だった自分の子供達を立山の雄山に連れていった時「修行ですか」と言われた事が今でも脳裏に鮮明に記憶されている。初めての冬山を良い思い出にし、辛い体験になって欲しくはないから励ましの声を掛けたのだ。
そうこうしている内に登山口に着くと、多くの観光客がいた。その殆どが外国人観光客であった。そのマナーの悪さに少し辟易したが、そんな人込みをかき分け、なんとかロープウェイに乗って下界に到着し、駐車場そばの温泉に直行となった。風呂に入ると真っ先に湯船に浸かって疲れを癒した。2日間、そんなに行動していないにも関わらずやはり疲れていた。湯船の底は湯の華でつるつる滑る。登山でケガすることなく、下山後の湯船で滑ってケガをしていてはシャレにならないと思った。
遅めの昼食を平湯のお食事処で摂り、後は大垣に向かってひたすら車を走らせた。仲間のおかげで楽しい山行となった。また訪れたい山の一つとして心に刻んだのだった。
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