大垣山岳協会

西穂独標冬山講習会 2016.12.03-04

西穂高岳

月報「わっぱ」 2017年1月(No.422)

【 冬山技術講習会 】 西穂高岳 独標 ( 2701m △なし )  NH中田 英俊

  • 日程:2016年12月3日~4日
  • 参加者:L.NY、SL.NT、KY、NH、TS、HT
  • 行程:
    • 12月3日(土) 大垣5:00=東海北陸道・ひるがのパーキングエリア6:17=西穂高岳登山口無料駐車場8:15=新穂高ロープウェイ終点駅9:40-西穂山荘11:10~12:45-丸山13:10-独標手前、引き返し地点13:40-丸山14:00-西穂山荘テント場14:18
    • 12月4日(日) テント場6:00-丸山6:20-独標7:20-引き返し地点8:10-独標8:30-丸山9:42-テント場9:55~11:15-新穂高ロープウェイ駅12:15=新穂高ロープウェイ駐車場13:10=大垣17:30
  • 地理院地図 2.5万図:笠ヶ岳・穂高岳

12月3日

 新穂高ロープウェイの駐車場に着くと、予報通りの快晴の空に西穂高岳の真っ白い稜線が眩しく光って迎えてくれた。ロープウェイの駅は早朝なのに観光客で賑わう。アジア系外国人も多く、多様な言葉が飛び交う。登山者は1割程か。

 ロープウェイの発券場にある計りに、ザックを乗せるとメンバー全員がほぼ20kg。西穂山荘まで歩荷訓練だ。大パノラマが広がるロープウェイを2本乗り継ぎ最終駅に到着。モミやカンバの樹林帯を歩き始める。トレースは明瞭で、ラッセルの必要もなく快適歩行。時折、樹間から西穂高岳を見上げることができる。何人かの後続に道を譲る。結構単独行者が多く、聞くと日帰りで独標までを計画している人が多い。

 重い装備で気温も高いので上着を脱いだりして体温調整をしながら進む。やがてリーダーの「山荘に着いた!」の声。予定より30分程早めに着けたようだ。積雪量を測るバーを見ると、積雪は70cmほど。山荘の前にあるテントサイトの設営料金は1人1000円だという。みんなちょっと高いと言う。その中にトイレの使用料金も含まれるようだ。皆でいっぱい使ってやろうと話し合った。

 テントサイトの外れに設営を終え、しばらくして丸山まで明日の偵察に向かった。トレースもバッチリで、アイゼンを装着せずに歩き出す。次第に視界が広がり、山座同定の話で盛り上がる。丸山に着くと、眼前に西穂がそびえ立つ。独標手前でテン場に引き返した。戻るとテントは増えていて、賑やかなテント村になる。夜の宴は、女性陣が用意してくれた鍋料理で盛り上がる。テントの外に出ると、満天の星空が瞬く。明日は好天だ。

12月4日

 アイゼン、ヘッドランプを着けて出発。予定の目標はピラミッドピーク。丸山に向かう登りが辛い。風もそれほどなく良いコンディションだ。丸山を越し、独標の手前に差し掛かると足場が雪と岩のミックスになり、歩きにくい。アイゼンをスパッツに引っかけないよう注意する。

 やがて霞沢岳方面から御来光が射してきた。それに伴い、目指す峰がバラ色に染まって行く。思わずその美しさに見とれる。遠くに富士山が浮かんでいる。独標が間近に迫ってくると斜度もあがる。ピッケルを突き刺しながらゆっくりと登りきると視界が開けて独標に到着した。独標の周りはぐるりと切れ落ちてかなりの高度感だ。

独標から見た西穂高岳、右奥はジャンダルム

 目指す峰が目の前に迫る。ピラミッドピークとその先の西穂高岳本峰には先行者の影が動いている。ピラミッドピークに向かうには独標から急な斜面を下降しなければならない。リーダーの指示で全員ハーネスを装着して下降を開始した。岩と雪がミックスした足場は不安定で、リーダーが出したザイルにプルージックで自己確保しながら慎重に下って行く。人が1人しか通れないような所で時間をかけて下ったため、後続パーティーが追いつき、軽い渋滞をおこしてしまった。道を譲るために安全を確保しながら道をあけるので、さらに時間を費やす。一つピークを越して二度目の下降に入ると、先ほどと同じように時間が過ぎて行く。これ以上のタイムロスは目的地に到着できないばかりでなく危険、とリーダー、サブリーダーが判断。残念ながら引き返すことになった。後ろ髪を引かれる思いだったが、安全第一。二日間の好天とメンバーに恵まれたことに感謝したい。

<ルート図>

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