大垣山岳協会

強風に苦しむも晴天に恵まれた冬季西穂高岳 2024.03.15-16

西穂高岳

【 個人山行 】 西穂高岳( 2,908,59m Ⅲ△ ) SD

  • 日程:2024年3月15日(金)~16日(土)
  • 参加者:SD、NY、ST
  • 行程:
    • 15日(金) 新穂高ロープウェイ駅登り9:00-西穂高小屋11:00
    • 16日(土) 西穂高小屋6:20-独標7:30-ピラミッドピーク8:00-西穂高岳8:50-西穂高小屋10:50-新穂高ロープウェイ駅下り12:15
  • 地理院地図2.5万図:笠ヶ岳・穂高岳

 冬季西穂高は冬山を始めた頃から目標としていた山で、OSKで経験を積み去年挑戦しようと計画していたのですが天候不順で登れずじまいでした。今年こそはと仲間を募り再挑戦してきました。

1日目(15日)

 7:30に新穂高温泉駐車場に到着。平日の為か空きが目立つ無料駐車場に駐車。天気予報では15日、16日は晴れで気温高め、強風とのことでした。駐車場から見える山々の稜線から雪煙が上がるのが何度も見え一筋縄ではいかぬと気を引き締めました。

 新穂高ロープウェイ始発9:00 に乗り出発。終着駅で準備してから少し歩くと西穂高岳の姿が見えてきましたが思っていたより雪があるように見え、今シーズンの貧雪を考えると遅すぎたのではと心配していたのですが安心しました。西穂高小屋への道中、樹林帯では風の強さを感じませんでしたが西穂高小屋近辺まで行くと強い風が吹きはじめ小屋に到着後は外に出る気になれず明日に向けて英気を養う事にしました。

ほろ酔いで読書。山の話で盛り上がる

 夕食時、西穂高小屋のオーナーから最新予報の説明があり「西穂高岳で16日深夜に風速22~24m、徐々に風が弱まり昼頃に風速10m程度」という情報を聞きました。事前に調べていた情報より風速が倍に近い数値だったのでどうしようかと悩みましたが「挑戦もせずに止めるのはどうなのか、行けるところまでは行ってみよう」と話し合って決め20:30就寝。

2日目(16日)

 起床後STさんの体調が悪く強風ということもあり小屋で待っていただくことになりました。STさんの分も頑張ろうと思い準備後、明るくなった6:20西穂高小屋を出発。

 叩きつけるような強風にあおられ時折転びそうになる突風に耐風姿勢を取りながら進みましたが独標以降の稜線歩きが心配な状況でした。黙々と歩き続けていると予報通り徐々にではありますが風が弱まってきて西穂高岳に登頂出来そうだと期待が高まる中、独標直下の壁に到着。この日の山行で一番緊張したのがここでした。直射日光を浴びない時間帯、溶けては凍りを繰り返したであろう雪壁はピッケル、アイゼンが1cm程度しか刺さらず確実に保持できているか確かめながら一手一手登りました。

ピッケルを刺し耐風姿勢をとる

 独標以降の稜線歩きになると風が強い影響か美しい風紋が目につき、気を抜いてはいけませんが目を奪われました。痩せ尾根の通過、足一本分しか置けないトラバース等トレースが有ったから難なく進めたものの…道を開いた人に只々感謝です。

自然の造形美

 スリリングな道を越えようやく西穂高岳直下の壁に到着。独標の壁と同程度に見え登る前に一息入れます。

NYさんここでダブルアックスを披露

 楽しい時間は過ぎるのが早いもので最後となると何やら寂しく、噛み締めるようにと行こうと考えていたのに、いざ登り始めると勢いよく登ってしまい我ながら自制心の無い度し難い人間です。西穂高岳山頂でNYさんとグータッチし晴れ渡る空と景色を暫く楽しみました。

 下山中、ピラミッドピークで昨日小屋で話をしたNHKの撮影班と会いました。ドローン撮影をする為に出発を遅らせたようで西穂高岳の風はどうだったと尋ねられました。ピラミッドピークの先に進む前にお互いをロープで繋ぐ準備をしていましたが慣れた手つきにプロの山家だなと興味深く見ました。「日本百名山」4月中旬に放送するそうなので是非ご覧ください。

 丸山を通り過ぎたあたりで前方に何やら見覚えのある姿が!そろそろ帰ってくるだろうとSTさんが迎えに来てくれました。西穂高岳登頂を報告後に独標で滑落事故を聞いたのですが下山時には落ちた痕跡に全く気づきませんでした。この後独標でもう1件、滑落事故がありましたが2件とも大きな怪我は無かったようで不幸中の幸いでした。

 無事に冬季西穂高岳に登頂でき、冬山登山に必要な技術がある程度は身に付いていると確認できました。しかしながらトレースのおかげで登れた部分も大きくルーファイ能力を磨く必要性を感じた山行となりました。同行してくれたNYさん、STさん有難うございました。

コメント