大垣山岳協会

西穂独標 2021.12.19

西穂高岳

月報「わっぱ」 2021年2月(No.471)

【冬山訓練】 西穂独標( 2,701m △なし ) 後藤 正雄

  • 日程:2021年12月19日 (土)~20日(日)
  • 参加者:L.西村洋、大谷早、後藤正、吉田千
  • 行程: 後述
  • 地理院地図 2.5万図: 笠ヶ岳(高山7-3)、穂高岳(同7-1)

12月19日(土)(雪、強風)
大垣5:00=新穂高P3県営公共駐車場8:40~8:55-新穂高温泉駅9:05~9:30=(第1、第2ロープウェイ)=西穂高口駅10:00~10:20-西穂山荘11:55~12:55-丸山13:25~13:30-2490m地点引き返し13:50-丸山14:00-西穂山荘14:20(泊)

 今週に入り寒波がやってきた。昨年とは様変わりで、高速道路での立ち往生のニュースも流れている。北アルプスも例外でなく大雪に見舞われ、週末も雪予報である。

 岐阜各務原ICから東海北陸自動車道を北上する。郡上八幡あたりを過ぎると徐々に周囲は雪景色が濃くなっていった。小雪がちらつく中、新穂高温泉まで車を進める。駐車場が空いているか心配されたが、新穂高センターの手前の無料駐車場に無事停めることができた。7台程度しか駐車されておらず、少し拍子抜けであった。

 登山靴に履き替え、ロープウェイ乗り場へ向かう。夏の混雑したロープウェイと異なり余裕のある乗車。ここでもコロナ対策のため定員を制限しているそうだ。西穂高口駅にて軽く食事をとり、西穂山荘に向かって出発。

 散策路から外れ登山道に進む。先行者により踏み固められているため特段のラッセルは不要だが、少し踏み外すと新雪のなかにズボズボと足が埋まる。静寂な雪道を進む。キュッキュッという新雪を踏みしめる音が心地よい。少し薄日が差してきた。樹林帯の間から西穂高岳、ピラミッドピーク、独標が見えた。

 徐々に勾配がきつくなり、針葉樹林帯からハイマツ帯へとなってくると西穂山荘が見えてくる。12時少し前に西穂山荘に到着。受付をすませ別館のレストハウスに移動する。

 食事をしながら荷物を整理し、不要なものを山荘にデポする。山荘を出るとうっすらと雲の切れ間は見えるものの、風はかなりきつい。慌てて目出帽を取り出した。

 予定では、今日中に独標まで登り、明日は独標付近の岩場での訓練としている。しかし、この天気では遂行することはなかなか厳しそうだ。先行者のトレースは吹雪にかき消されている。新雪が深いためわっぱをはいて登り始める。まずは、丸山までを目標とする。

 丸山まで到着するも、我々のほかは誰もいない。さあ、独標へ。風は強くなることはあっても止むことはない。雪は風に飛ばされており、わっぱからアイゼンに履き替える必要がある。どこか風をよけるところがないかと見渡してもなさそうだ。2490m地点まで登り引き返すことにした。明日の天候回復に期待しよう。

 山荘に戻り一息をつく。テント泊と違い水を作ることも食事の準備も必要ない。時間を持て余してしまう。西穂山荘の方が上映会を実施するというので、さっそく見に行くことにした。西穂高岳の四季折々の動画やスライドショーを堪能した。部屋に戻ると西村リーダーによるロープワーク講座が開かれていた。今回の訓練はいつもとは一味ちがう内容が加わっていた。

12月20日(日)(雪、強風)
起床5:30~西穂山荘7:50-丸山8:20-独標9:25~9:50-丸山10:25-西穂山荘10:40~11:35-西穂高口駅12:35~12:45=(第2、第1ロープウェイ)=新穂高温泉駅-駐車場13:20~13:30=ひらゆの森=大垣17:50

 昨日の夕食時に、昨晩から今日にかけて寒波が襲来すると聞いていた。山荘付近でマイナス20度の予想気温だ。寒くて眠れるか心配していたが、山荘内は暖かく快適に朝を迎えることができた。

 朝食時に本日の天気予報のお知らせがあった。昨晩の予想よりは風力は弱いが、それでも17m/秒。稜線に出るとさらにきつくなる。体感温度はマイナス37度だ。独標までたどり着けるかどうか弱気の心も芽生える。ただ、天候が回復傾向にあるので、下界では晴れ。ロープウェイも運休はないだろうとのこと。風が弱まることを期待しつつ準備を整える。目出帽に加えゴールグルも装着し完全装備である。

 登りはじめて少し進むと、吉田さんのアイゼンが緩んでいることに気付く。登山靴とアイゼンがしっくりと合っていないようだ。独標はアイゼンなしでは登れない。天候も考慮し、やむなく小屋にて待機ということになった。3名にて独標を目指す。

 丸山を越え、高度を上げていく。左側から叩きつける小雪混じりの風は半端でない。のんびりと写真を撮っている余裕など全くない。

 独標の影がうっすらと見えてきた。これから岩稜帯になっていく。風に吹き飛ばされないよう気を引き締めて進む。岩と氷を踏みながら登る。アイゼンワークが試される。頂上直下、ルートが少し分かりづらいところもあったが、特に障害もなく独標に到達できた。

 登ったら下りなければならないのだが、下りるのにも一苦労。岩稜帯を下り丸山まで戻る途中ガスにまかれホワイトアウトの状況。トレースも風に消されなくなっている。わずかな痕跡を頼りに慎重に先へ進む。

 ようやく山荘に戻ってきた。白湯を一口、生き返る。行動食をつまみながら下山の準備をする。山荘から西穂高口駅へ向かう。樹林帯に入ると風もほとんどなくなり。ルンルンの雪道下りだ。

 第2ロープウェイに乗車。待合場には十数名いたと思うが、2階席には我がパーティのみ。貸し切りである。第1ロープウェイもコロナ対策で我々の直前で締切り。我々4名のためだけに臨時便を出していただけた。ガイドのお嬢さんと世間話をしながら下りていく。

 下山後、体を温めようと温泉を探して回るがコロナの影響であろうか、日帰り入浴を見合わせている旅館が目立つ。結局いつもの「ひらゆの森」にて体を暖め帰路についた。

 今回の冬山訓練はコロナの影響もあり小屋泊となったが、その状況を生かした室内での講習も実施するなど有意義なものとなった。また猛吹雪の中で独標まで到達できたということは貴重な体験ができたのではないだろうか。

<ルート図>

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