大垣山岳協会

小津三山積雪期縦走記 2021.02.11

雷倉

 雷倉( 1169m Ⅱ△ )、花房山( 1189m Ⅲ△ )、小津権現山( 1158m Ⅱ△ )
 清水 克宏

 小津三山(雷倉、花房山、小津権現山)は、越美山地の盟主、能郷白山から南に派生する尾根上の山々で、西は揖斐川、東は根尾川に挟まれる。「小津」は、小津権現山の南麓の、江戸期には代表的な木地屋集落だった揖斐川町小津集落のことで、小津三山は、木地屋たちが縦横無尽に活躍した山域でもある。

 小津権現山(1158m)と花房山(1189m)間は近年快適な縦走路が開かれている。しかし、花房山と雷倉(1169m)間は縦走路がなく、雷倉に登山道が整備されたのも、まだ数年前のこと。花房山山頂から雷倉を、雷倉山頂から花房山を眺め、積雪期にこの間をつなぎたいと願っていた。今季は、久し振りの多雪、せっかくならば先行記録の少ない小津三山積雪期一日縦走に挑戦することにした。

<ルート図>

 2月11日(木祝)天気予報は終日晴れ。夏場なら所要11時間くらいだが、雪の状態によるプラスアルファの時間は読みきれない。途中花房山でのエスケープも考慮し、小津権現山藤波谷登山口に車を置き、連れ合いに雷倉八谷登山口に送ってもらい、6:15ヘッドライトを点け登山開始。

 下津谷と中又谷の合流部に架かる鉄の橋を渡り、尾根に取り付く。地形図547mポイントあたりで、わかんを装着。先行していた足跡は、難所のカルスト岩場の急斜面の手前でなくなった。岩に雪が不規則に積もっているため、夏道とはルートを変えながらよじ登る。

写真①

 8:40 林道の端に出る。ここから雷倉山頂までの急な尾根は、わかんを着けていても膝まで潜る新雪を終始ラッセル。尾根の北側が開け、根尾川を挟んで、能郷白山(1617m)が雪の殿堂のように見え、その東に屏風山(1354m)が鋭い円錐を持ち上げる。

 10:40、雷倉山頂に到着。林道から無雪期なら1時間程のところ倍かかった。ここから眺める花房山への雪の稜線は、ため息が出るほどアップダウンも多く長く感じられる。とにかく、前進あるのみ。

写真②:雷倉から花房山への稜線を仰ぐ

 雷倉山頂から、200mほど大下り。小ピークを二つ登り越す。雪は比較的締まっているが、積もり方が不安定で、細かいアップダウンが連続。二つの小ピークを抜けたところで尾根が不規則に4つに分岐しているので、地図と磁石をにらみ、西へ向かう細い尾根をよく確認して進む。視界がきかないと苦労しそうなところ。

 鞍部から、長い登り返しが始まる。途中、伐採地らしき大きな雪の斜面に出会う。左手側の縁が、枝先ものぞいていて雪崩の心配も少なそうなので、そちらを選択。見晴らしのいい斜面から北を仰ぐと、徳山ダム湖の向こうに冠山(左)、若丸山(中央)、スギクラ(右)とピークが並ぶ。(写真③)

写真③

 と、また次の雪の斜面が。稜線が不明瞭になり、不安定にでこぼこしているのでルート取りがむつかしい。小さなギャップを細かく避けながら登高していくうち深雪になり、ラッセルに脚力が試される。

写真④:雷倉方向を振り返る

 花房山山頂直下は大きく雪庇が張り出し、風を受け雪質が部分ごとに微妙に違うので、硬そうなところを見つくろいながら登り詰める。15:10 花房山山頂に到着。揖斐川源流部の山々が目の当たりに。

写真⑤

 花房山から小津権現山は、無雪期で2時間30分ほどかかる。夜になるまであと3時間あるかないか。東杉原登山口へ下ることも考えたが、今朝、藤波谷登山口を見てみたところ登山者が入っており、下山はトレースをたどってヘッドランプで降りられそうなので、勝負に出る。

写真⑥:南東側ピークから小津権現山

 花房山は3つの頭を持っていて、その南東側のピークから小津権現山まで稜線がつながっている。中央の主峰の雪庇を飛び降り、東南側ピークに登り返し、小津権現山への稜線に入る。雪庇は細かいアップダウンは少なく程よく締まっているが、雪の下に埋まったブッシュの切り株周辺が落とし穴状になっていて、わかんが抜けず、いらぬところで時間がかかる。

 大下りし、登り返し、17:50小津権現山側の肩の部分にたどり着く。濃尾平野の灯りがもうきらめき始めている。山頂直下の最後の急斜面がくせ者で、表面は平板なのに、中に雪の重みでできた亀裂をいくつも隠している。ヘッドランプでは雪の状況が読めず、あと何十歩かでたどり着けるのに、その一歩が踏み出せず、腰まで雪に潜り、アリジゴクのようにもがきながら、19:10 何とか白山権現の祠のある小津権現山山頂に立つ。

 予想通り、いくつものトレースが残っていて一安心。21:30 藤波谷登山口に到着。何とか小津三山縦走を完遂。これも、早朝送ってもらえ、終日好天で、当会の雪上訓練で藤波谷登山口から小津権現山に登っていたからこそできたこと。感謝尽きない一日だった。

  • 日程:2021年2月11日 (木祝)
  • 参加者:単独行
  • 行程:藤波谷小津権現山登山口(駐車)-八谷雷倉登山口6:15…林道9:00…雷倉山頂10:45…花房山山頂15:15…小津権現山山頂19:10~19:20…藤波谷登山口21:30
    (-:車、…:徒歩)
  • 地理院地図 2.5万図:樽見

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