大垣山岳協会

絶景を求めて・花房山 2021.01.25

花房山

【 個人山行 】 花房山 ( 1189.5m Ⅲ△ ) 丹生 統司

 ここ数年積雪期には必ず訪れている花房山、しかし貧雪が続き奥美濃の展望台の魅力が削がれて今一つ寂しかった。しかし今季は昨年末から降雪が続き期待が持てそうである。昨日までの雨で雪質の心配は有るが晴天を確信して暗いうちに家を出た。

<ルート図>
  • 日程:2021年1月25日(月)快晴
  • 参加者:単独
  • 行程:杉原登山口8:10-蟻の戸渡11:55-花房山頂13:55~14:30-登山口17:20
  • 地理院地図 2.5万図:樽見

 2014年の記録を見れば9:00に登山口を出発して13:25に山頂着であった。今日は8:10だから12:30が目標である。スノーモービルの跡と沢山の足跡があり楽が出来そうだ。

 その足跡は全て獣の物で人の跡は全く無かった。昨日まで2日間の雨で雪はザラメ状でグズグズ、ワカンが埋まる。これは難儀しそうだが天気は上々、青空に能郷白山が浮かぶ。

 蟻の戸渡は岩と木の根っこの上に雪が不安定に乗っておりワカンでビビリながら越えた。2014年はツボ足で越えているがこの時もビビって通過している。今回は雪質が悪くこの先もワカンが離せないと思い付け外しが面倒でそのままで越えたがいいことではない。

 標高を稼ぐごとに雪はクラストして来たが72㎏の体重を支えるほど厚くはなかった。体重を掛けて踏ん張ると雪の表面が空しく割れて10~15㎝ほど沈む。これが疲れた。

 昨日まで2日間は山頂まで雨だったようだ。天気は回復したが今朝がたの冷え込みが足りずクラストが浅く踏み抜いた。時間の経過が早い、当初の目標12時30分はとうに過ぎて時計を見ると唖然、13時を過ぎている。何より自身の老いた肉体に腹が立った。息が上がってラッセルというほどの深さではないが足が止まる。歯がゆく情けなかった。

 やっと標高1120mの見晴らし台に出た。この雪稜を辿れば山頂だ。そして背後には白山や能郷白山の美越国境の奥美濃の山並みが広がっているはずだ。

先ず南西隣に小津権現山、遠くに楕円状の山頂が見えるが伊吹山である。

 振り返ると奥美濃の山々が一望である。左から蕎麦粒山、直ぐ右後ろに三周ヶ岳、五蛇池、その右に美濃又丸、笹ヶ峰、白い双耳峰は金草岳、少し離れた黒い点は冠山、それより右に離れた黒い点が若丸山である。ここで10分ほどカメラタイムをとったが、山頂も素晴らしい大展望台である。白山他の写真は山頂で撮ったものをご覧いただこう。

 山頂に続く稜線の雪庇は二日間の雨で全て落ちていた。表面がクラストしているようだがやはり冷え込み不足でワカンで踏み抜いた。

 花房山は東前の谷を挟んで二重山稜である。小津権現山から続く尾根の斜面は根曲がり竹が密生しているがここは雪崩が起きやすい。春の気温が上昇した時に面白いように滑って崩壊しているのを目撃した。昨日までの雨で既に亀裂が発生している。

 5時間45分を要して花房山頂着。正面に雷倉が見えて、その奥に穂高と北アルプス連山、中央が乗鞍、御嶽、その右に中央アルプスが連なっていた。

 ダム湖の背後に若丸山、中央は能郷白山、その左後は部子山と銀杏峰、能郷前山の右後ろは荒島岳、その右が白山、その右に連なっているのは三方崩山や御前岳方面と思われる。

 正面に鏡山、左後は笹ヶ峰、鏡山後ろの双耳峰は金草岳、黒い点の鋭鋒が冠山、少し離れて若丸山、スギクラが有って部子山、銀杏峰である。

 左端は伊吹山、右端は金糞岳。手前中央は小津権現山。伊吹と小津権現の間には池田山から小島山、ムネ山へ続く山並みと背後のブンゲン、貝月山などが重なっていた。

 南側斜面をワカンで踏んで休憩場所を作るとザックを降ろし椅子代わりにして昼食休憩をした。少し風が有ったので上着を1枚足したが冬の冷たい風とは違った。

 南に濃尾平野を見渡した。赤坂金生山の岩塔を誰かが赤坂のマッターホルンと呼んだが、それが確認出来る。その東の揖斐川へ長良川が蛇行を繰り返しながら距離を縮めている。それは片思いの長良川が揖斐川にすり寄っているようにも思えた。金華山と百々ヶ峰が尾根続きのようにも見える。山頂で一人、天上人になった気分で平野を見下ろした。

 360度の絶景にもっと居座り続けたい気持ちはあったが何せ山頂到着が遅かった。重い腰を上げて早々に引き上げた。が帰りは雪がもっと緩んで落とし穴に何度か嵌り転んだ。踏み抜いたワカンの足が抜けず癇癪の大声を上げて引き抜いた。熊が冬眠から覚めるほどの声で気合を入れて下った。完

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