大垣山岳協会

焼岳(北峰) 2020.01.11-12

焼岳

月報「わっぱ」 2020年2月(No.459)

【 雪山宿泊山行 】 焼岳(北峰) ( 2393m △なし ) 小栗 敦子

  • 日程:2020年1月11日(土)~ 12日(日)
  • 参加者:L.西村洋、大谷早、小栗敦、後藤正、杉本眞、竹森せ
  • 行程:
    • 1月11日(土)(晴れ)  三城交番裏駐車場5:00=中尾登山口駐車場7:55~8:40-秀綱神社テント場12:45(泊)
    • 1月12日(日)(曇りのち雪) 起床4:30~泊地出発7:00-中尾峠7:45~8:10-頂上直下(引き返し地点)9:27-中尾峠10:30-テント地11:05~12:00-白水の滝13:00-中尾登山口駐車場13:45=大垣18:10
  • 地理院地図 2.5万図:笠ヶ岳(高山7-3)、焼岳(高山7-4)

1月11日(土)(晴れ)
 三城交番裏駐車場5:00=中尾登山口駐車場7:55~8:40-秀綱神社テント場12:45(泊)

 例年であれば降り積もった雪が奥飛騨温泉郷の風情を醸し出しているはずだが・・、暖冬に何か物足りなさを感じながら車は中尾へと向かった。7時55分中尾登山口駐車場到着。先行の車は数台で閑散としていた。準備を整え8時40分出発。うっすらと雪のついた丸太の橋を渡り、白水谷の瀬音を聴きながら尾根の南側の山腹を巻くように登っていく。シラビソの原生林の中をトラバース気味に登った少し先で振り返ると北側の展望が開け、錫杖ヶ岳と笠ヶ岳が山容を現した。

 10時25分、2回目の小休止のあとワカンを装着し皆で交代してラッセルを務めた。穏やかな日差しを背に雪が積もったダケカンバ・オオシラビソの登山道を進み、標高1950mほどに位置する今日のテント地「秀綱神社」に12時45分到着。

 腹拵えのあと早速テント設営に取り掛かる。先輩から「天気が急変し悪天候になっても確実に行動する為、技術とスピードを習得しよう」と丁寧な説明を受けた。

 設営の途中単独行の下山者に上の状況を尋ねると「地熱で氷の下が溶雪していて危険なので頂上は断念した」と話していた。

 夕食は食糧当番デビューの大谷さんが初めて挑戦した「ぺミカン」を使ったカレーライスがとても美味しく宴も益々盛り上がった。外に出ると月光に照らされた雪の結晶のひとつひとつが輝きを放ち、明日まで天気が持つことを祈った。

1月12日(日)(曇りのち雪)
 起床4:30~泊地出発7:00-中尾峠7:45~8:10-頂上直下(引き返し地点)9:27-中尾峠10:30-テント地11:05~12:00-白水の滝13:00-中尾登山口駐車場13:45=大垣18:10

 4時半起床。朝食後テントの中に荷物をデポする。ワカンを装着し7時出発、7時45分中尾峠到着。高曇だが至近距離で霞沢岳、穂高連峰の先に黒くとがった槍の穂先も良く見える。小休止後アイゼンに履き替えピッケルは背に、ストックで焼岳北峰を目指して出発。アイゼンの歯はクラストした表面を快適に捉え、一歩一歩斜面に爪を刻んでいった。岩と氷と土がむき出しになっているミックスの地点から、夏道のロープや黄色のペンキを頼りに斜面を右に巻き気味に登って行った。

抜戸岳をバックに登る

 頂上はもうすぐのはずだが、雲行きがだんだん怪しくなってきた。リーダーがルートファインディングした結果、この先は岩稜登攀技術が必要と判断し9時27分撤退開始。

 下りの雪面は見たところは安定したクラストバーンだがアイゼンを強く踏み込むと氷面が崩れ中間層の軟雪に足を取られ「ヒヤリ!」とする場面もあった。そのような不安定な個所も無事に通過して、10時45分中尾峠着。下ってきた北峰を仰ぎ見ていたら、安堵と感動が交錯した。冷たく湿った空気は結晶になり、ちらちら粉雪が舞い出した。いつの間にか穂高連峰も分厚い雲の層に隠れてしまった。「力をつけて出直します」私は心の中で頭を下げたあと、新たな目標をザックにしまい仲間の列に加わった。
11時5分テント地帰着。カップ麺をすすって温まった後、速やかにテントを撤収し12時に出発。背に食い込む荷に喘ぎながら足早に下り、13時45分中尾登山口駐車場に無事到着した。

 この日5名ほどの単独行を見かけたが皆頂上手前で引き返し下山していった。憧れの冬山を目指すために技術を習得して、私も焦らず一歩ずつ「挑戦」していきたい。

<ルート図>

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