大垣山岳協会

徳山の秘峰 千回沢山に登る 2017.11.12-13

千回沢山

千回沢山(1246.0m Ⅱ) 清水克宏 

  • 日程:2017年11月12(日)~13日(月)
  • 参加者:L中田英、清水克、竹森せ
  • 行程:
    • 11月12日(日) 大垣5:00=ホハレ峠7:05-門入9:00-(入谷林道)-千回沢出合10:00~10:25-カツラの樹12:45-テント場13:00
    • 13日(月) テント場6:50-千回沢山山頂9:00~9:30-テント場11:10~11:45-入谷出合13:40~13:55-門入14:50-ホハレ峠16:45―(藤橋の湯・帰路)
  • 地理院地図 2.5万図:広野(岐阜10-4)

 千回沢山は、岐阜・福井県境の越美山地主稜線から東に派生した尾根上に位置する揖斐川源流部右岸の山のひとつで、西隣の不動山とともに「ぎふ百山」に選定されている。登山道はなく、沢を詰めるか残雪期をねらうしかない山である。以前は門入から入谷林道を車で入り、千回沢を遡行し何とか日帰りも可能な山だった。しかし現在、門入を残し旧徳山村は全集落がダム湖に沈んでしまった。門入に行くにはホハレ峠まで車で入り、そこからテントなど重い荷物を担いで約2時間歩くしかなく、不動山とともに「ぎふ百山」で最も登りにくい山となっている。今回、中田さん、竹森さんとこの難峰を訪れる機会を得た。

釈迦嶺から望む千回沢山

 11月12日快晴。川上集落から林道に入りホハレ峠に向かう。途中から舗装のない林道は年々荒れてきている模様。峠のお地蔵様に手を合わせ、門入へ下る。荷物が重いので転落しないよう注意深く進み、途中の渡渉点も無事通過、コンクリートの沈下橋を渡って門入に到着、そこからさらに入谷林道に入る。歩むほどに林道は草の中に埋もれていく。

 不動山に向かう蔵ケ谷を左に分けた地点で川原に降りる。登山靴をデポし、渓流靴に履き替え、いよいよ千回沢の遡行開始。最初の方で出会う2mの滝とその先の滝を右岸高巻きで通過。この箇所に微かに踏み跡が残る以外、釣人さえ入っておらず、人の形跡は見当たらない。25000分の1地形図の676m地点近くで見事なカツラの巨木に出会う。入谷林道を離れてからは、全山黄葉したブナの森で、沢沿いのサワグルミなどの渓畔林も美しい。奥美濃の味わいが凝縮した山だなあとしみじみ思う。少し先の小平地にテントを設営する。焚火を囲みながら、竹森さんが用意してくださったおいしい鍋と燗酒で、佳き夜を過ごす。

 翌13日、ここまで比較的緩やかで明るい印象だった谷は、左手に滝を見るあたりから急登に変わる。沢の分岐に出るたび中田さんは立ち止り、地図でしっかり確かめる。渡渉のルート取りなども含め、勉強になることが多い。

 谷が狭まり岸へ逃れる余地が少なくなったので、へつったり渡渉する回数が増える。

 標高1000mあたりで涸沢となり、1100mあたりで谷は丈高いチシマザサの中に消え、あとは体力勝負の急斜面のヤブ漕ぎ。何とかササの上に頭を出してみると何と三角点から10mほどしか誤差なく登頂できたのだった。二等三角点の標石にタッチして恒例の万歳三唱。

 ヤブ山だが木々は落ち葉していて、意外なほど多くの山がそれぞれ立派に見える。福井県境の山から程よく離れているせいか、白山、能郷白山などは冠山などからよりむしろ大きく拝める。さらに、南側が谷で空間が開けているため、笹ヶ峰、不動山、高丸、烏帽子山、蕎麦粒山、五蛇池山、小津三山などの奥美濃の山々が、本来のその山らしい姿で眺められる。

 復路も長丁場。撤収したテントで荷物が重くなり、下っていくほど瀬が深い場所も出てくるので、気を抜かずに下る。登山靴に履き替え長い林道歩きの後、門入に到着。やはり縄文時代から人の住んできた土地だけあって、日当たりに恵まれ、山に守られた場所だという印象。往路は気楽な下りだったホハレ峠への道も、帰りは長い登り道。何とか日没前にホハレ峠に帰還できた。

 千回沢山は「樹林の山旅」当時の奥美濃のたたずまいを色濃く残した山だとしみじみ感じた。ただし、この山の良さを味わうには、重い荷物で歩き抜ける体力、沢登り・ルートファインディング技術に加え、自己責任を貫けることが必須。徳山ダム湖周りの山は手を加えず自然に還す計画であることから、これからも深山幽谷を愛する限られた熟達者向けの秘峰であり続けるのだろう。

<ルート図>

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