大垣山岳協会

山中雑記 憧れの千回沢山、導かれ3度目

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2015年12月(No.409)

憧れの千回沢山、導かれ3度目

 千回沢(せんがさわ)山は登山を始めた頃の憧れだった。何時かは山頂を踏みたいと思いながら奥美濃の山々を歩き回った。

 予期しないすばらしい出会いがあり沢登りを始めた。徐々に道具をそろえ、徳山ダム堪水が始まる一月前の2006年8月、車で入れた登山口の門入(岐阜県揖斐川町)に向かった。単独で中ノ谷~千回沢山~千回沢を周遊する計画。沢登りを初めて5回目だったと思う。思えば無茶なことをしたものだ。無事登頂でき、この上ない達成感に満たされた。これを機に沢登りに夢中になった。

 その後、当会に入会した。沢派の僕に合わせてくれたのか、丹生統司さんが盛んに沢に誘ってくれた。二度目の千回沢山は2011年7月、丹生さんと、北側から山頂に突き上げるイチン谷からの日帰り。とても届かないだろうと思っていた。結果は感激の登頂だった。冒険心に溢れる挑戦の精神を教えていただいた気がする。

 そしてこの11月1日、3度目の登頂を後藤正雄君と果たした。ダム出現以前、千回沢からの日帰りピストンは容易だった。しかし今はホハレ峠から歩くしかなく、日帰りはほとんど無理。1泊の沢泊となった。

 天候に恵まれ、紅葉を愛でがらの楽しい山行となった。沢の詰めでは青空を目指すようで気持ちのよい登高。山頂では東の能郷白山から西の三周ケ岳まで奥美濃のパノラマが広がった(写真)。北側の灌木の間から冠雪した白山がのぞまれた。前二回の登頂は眺望に恵まれなかった。三度目の正直だった。

正面奧に蕎麦粒山、左側奧に伸びるのが千回沢


 いい加減飽きただろうと思っていた山頂だったが、いざ踏めば以前と同じ高揚感が身を包んだ。僕にとって特別な山なのだ、という思いを強くさせる山行となった。

 これからも幾度か訪れるであろうか、遠き憧れの千回沢山。何時までも僕の中心にいて僕を導いてほしい。

(平木 勤)

コメント