大垣山岳協会

磯倉・能郷白山 2014.02.03-04

能郷白山

月報「わっぱ」 2014年3月(No.388)

【 個人山行 】 磯倉 ( 1541m △なし )・能郷白山 ( 1617m Ⅰ△ ) 林 旬子

  • 日程:2014年2月3日(月) ~ 4日(火)
  • 参加者:L.丹生統、西村洋、中田英、林 旬
  • 行程:
    • 2月3日(月) 大垣6:00=能郷谷林道ゲート7:30-登山口9:20-林道出合10:50-テント場12:30
    • 2月4日(火) テント場7:00-能郷白山(1等三角点)9:20~40-磯倉頂上10:55~11:20-能郷白山頂上12:30-テント場14:00~15:00-登山口16:20-林道ゲート17:45
  • 地理院地図 2.5万図: 能郷・能郷白山

 もう一つの白山信仰の霊山として古くから崇拝される能郷白山から、そのすぐ南西に三角錐の山嶺を起立させる磯倉への山行は私のあこがれであった。無雪期には猛烈なやぶこぎが強いられる。積雪豊かで好機とはいえ、厳冬期のハードルは高いが今回有力な仲間たちと同行する機会に恵まれた。

 今冬は例年より雪が少ない。3日朝、登山口3.5km手前にあるゲートまで何とか車を入れることができた。重いザックを背負っての林道歩き、木々の先端には小さな春の気配。雪は次第に深くなり、途中輪かんを装着、能郷谷の奥へと進むにつれ、白い主稜線が見えて身が引き締まる。

 能郷谷登山口の標識からすぐ渡渉。リーダーからは「ワカンの爪を岩にかませて」と声がかかる。バランスをとりながら慎重に渡る。尾根に取り付くと、腐り気味の雪は崩れやすく足元は不安定だ。林道出合で一息入れ、次の急な尾根の雪の階段を一歩一歩乗り越える。

 主稜線に出た標高1100m付近からガスが湧き出てきてブナの樹林が幻想的な装いを見せる。下山時を考えて、要所にペナントを付けながら進み1300m付近のテント場に到着した。まばらに樹木が立つ、平坦な雪原の中。風の弱い地点を選んだ。

 テント設営後、賑やかに晩餐の宴。時折、テントを叩く小さな雨音がしたが、その都度みんなで白山の神様に好天祈願を大声で唱えた。そのせいか、就寝前には星が輝いていた。

 4日朝5時、テントを出ると、遥か東方に街の灯りが黄金色の海のよう広がっていた。濃尾平野のどこだろうか。雪がちらつくが、今日もまずまずのお天気のようだ。

 アイゼンを装着して出発したが、効率が悪く、その上から輪かんを装着。慣れない歩行に急斜面ではふくらはぎが悲鳴を上げそう。前山からの尾根歩きは風は強いが順調に進む。雪庇は思いのほか小さい。風雪を耐え抜いたブナの大木の造形美に暫し見とれる。最低コルから広い急斜面に差し掛かると、次第にガスがかかる。割りばし程の小枝に赤布を付け雪面に立てる。

 能郷白山頂上を経て、広い台地状雪原の南肩にある能郷白山神社の奥の院(2007年建替)へと向かう。上空には青空が開き太陽も顏を出す。小さな祠に手を合わせた。

 行く手には端正な姿の磯倉がガスの切れ間から見え隠れする。でも、太陽が顏を覗かせては、すぐ隠れる冬山の天候。赤布を立てながら斜面を下りコルへ。最後の急登の末、わずかなブッシュが顏を出す頂上に達した。思わず「やったー!」の声。喜びのバンザイを繰り返した。眺望は得られなかったが、満足感は胸に迫った。

能郷白山頂上部から見えた丸い磯倉の頭

 昼食後下山。ガスが立ちこめてホワイトアウト状態。ガスの中から微かに現れる目印赤布を頼りに進む。気温もかなり下がったようで、尾根上では強烈な風。軽量の私は体を持っていかれそうにもなった。

 テント撤収後下山。登りにつけた急な雪の階段を注意深く降りた。夕日を背に映し出された木々の長い影。二日間の山行の終わりを告げているように感じた。夕闇が迫るころ1時間半程の林道歩きを終え、ゲート前に着いた。

 山行で特に感じたのは目印の赤布の大事なこと。分かりにくいなだらかな尾根筋。下山時、ガスで時に方向感を失った。往路のトレースは強い風でほとんど消えている。雪面の赤布がないと、危ない状況だっただろう。最悪の状況を想定し安全対策を取ることの大切さを教えてもらった。

<ルート図>

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