大垣山岳協会

鴨 ~ 磯倉 2014.03.31-04.01

磯倉

月報「わっぱ」 2014年5月(No.390)

【 個人山行 】 鴨 ~ 磯倉 ( 1541.6m △なし ) 鈴木 正昭

  • 日程:2014年3月31日(月)~ 4月1日(火)
  • 参加者:鈴木正昭(単独)
  • 行程:
    • 3月31日(月) 春日井=揖斐川町=国道417号=本郷望郷広場8:15-無線中継所9:05-点名村平(881m)10:05-約895m峰11:00-約870mの峰を左折12:30-1037m峰2:50-点名「鴨」(1212m)4:00-テント場(1220m付近)4:10
    • 4月1日(火) テント場6:10-1394m峰7:10-磯倉8:10~45-1394m峰9:50-テント場10:30~11:15-870峰2:30-村平4:05-無線中継所4:40-駐車地5:20
  • 地理院地図 2.5万図:美濃徳山・能郷

 奥美濃の秘峰の一つ磯倉に、私は07年4月末に能郷白山から登ったが、反対側の徳山ダム方面からの登頂は数年来の懸案であった。長大な尾根道の未知なる魅力。さらに、尾根上部にあったとされる伝説の池、「鴨」の地を見てみたかった。

 青空の下に徳山ダム湖面が広がる本郷望郷広場に駐車した。広場から金属ハシゴを登り、北東に伸びる尾根に上がる。カシ、シイなどの大木が立ち並ぶ。点名村平までは、明確な踏み跡が付いているのは本郷の住民たちの里山利用の跡なのだろう。

 村平のピークは雪田で覆われていたので、以後スノーバンクが続いているぞ。ならば楽勝か、という期待は10m先で消えた。ストンと落ちる岩混じりの激やぶの痩せ尾根。雪は皆無。ザックは重い。身動きできなくなる。簡易ノコギリで頑丈な枝を数本伐って窮地を脱出。約50m下った鞍部からは尾根が広がりやぶは薄くなった。驚いたことに、所々にやぶの下に薄い踏み跡が現れる。テープ類は全くない。多くは広い尾根筋が続く。明るい陽差しを受けてブナの若木が青空に向けて背伸びする姿は威勢がよい。

 時折強い風が北西から吹き上げるが、気温が高いのであまり寒くない。標高約950mで足の筋肉に変調を来したが、一休み後に回復。この先、やっと雪の世界。

 だだっ広い鴨周辺の平坦部に達し、1200m付近をくまなく探したが、三角点を示す物を発見できず。あきらめて、ブナの大木が点在する雪上にテントを張る。積雪1m足らず。夜8時ころ風が強まる。テントへの直撃は少なかったが、明け方風向が東よりに変わり、時折テントが激しく揺れた。

 一晩中続いた風の轟音でほとんど睡眠できなかった朝、外に出ると風は消えて、快晴。輪かんを着けて出発。雪面は適度な固さで軽快に登る。1394m峰から太鼓腹を抱えたような磯倉と牛の背のような能郷白山が連れ添うように並ぶのが見える。どこか、ほほえましい光景だ。途中、3箇所でやぶが露出、輪かんが枝にとられ難儀。わずかな距離なのですぐ突破。山頂南の急斜面を一気に登りきった。山頂からは美濃の山々はもちろん、御嶽、乗鞍、中央アルプスが浮かんでいた。おおげさに言うと、もう思い残すことはないというほど登山の喜び、楽しさを体得できた。

1394峰から正面は磯倉、右は能郷白山

 予想より早く、テント場に戻り撤収作業。気温は上昇して、防寒上着と手袋を脱いだ。改めて辺りを眺めると平らな尾根筋には緩やかにくぼんだ所がある。昔、ここに池があったのだろうか。雪面に隠れているが、ありそうな地形だ。『徳山村の民俗散歩』(江口義春)に「カモウ(鴨)に池があって水鳥が泳いでいた。湖面は鏡のように澄んでいたという。「鴨」は池の名であり、山名でもあった。

 下山中、標高約870mの尾根右折点で失態。約100m手前の似たような枝尾根を右折してしまった。相当な急坂で標高差100mも下りた所で間違いに気付いた。1時間ものロス。登る際、尾根分岐では丁寧に目印赤布を付けたのだが、ここでは怠った。しかし、地図をよく見れば判別はできたはずだ。

<ルート図>

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