大垣山岳協会

帰ってこい夏空・能郷白山 2022.08.11

能郷白山

【 個人山行 】 能郷白山 ( 1617.3m Ⅰ△ ) 丹生 統司

 この日は剱沢でテントと山小屋に分散泊し13名で合宿予定であった。それが前夜就寝中の午後9時頃に山小屋から電話で「従業員にコロナの疑いがあり」急遽延期依頼があった。出発時間は明くる午前3時、早めに就寝している者も多く、てんやわんやで何とか連絡はついたが、折角の休みゆえ何処かに行きたいと意見が有り「能郷白山」行きを決めた。

<ルート図>
  • 日程:2022年8月11日(木・祝) 雨のち曇り下山後晴れ
  • 参加者:L.丹生統、尾内順、加藤美、田中恵、吉田千
  • 行程:温見峠登山口8:50-コロンブスP10:15-能郷白山山頂10:50~11:30-コロンブスP12:00-温見峠登山口12:55
  • 地理院地図 2.5万図:能郷白山

 能郷白山行きを決めたが天候ははかばかしくなく根尾樽見駅に着く頃は土砂降りで車の運転にも支障をきたすほどの降り、誰かが「止めよう」と言うと思ったのだがその気配は全くない。危険なクラミ経由のR157号を避けて上大須から猫峠の回り道で温見峠に着いた。峠に立つと福井側の雲が切れて大野市上空の一部に青空がみえた。しかし、直ぐガスに覆われ準備中にも降られて車で一時待機、小降りになったので意を決し出発した。

 温見ルートは随分前市民登山で訪れたことがあるが全く記憶になくブナ林も覚えていない。

 最初の高度100mは緩やかだったが直ぐに急登となった。と、その矢先に雨が落ちて来て足場の良い所で雨具を着けた。滑りやすい土壁は木の根や岩を足場にして越えて行った。

 梯子も大小3ヶ所あった。以前市民登山で来た時は未だ設置されていなかった。その時の参加者で若者グループの1人がサンダル履きで「山登りも舐められた」と思ったものだ。

 1492mの頭は「コロンブスピーク」というらしい。12~3年ほど前の市民登山で来た時には気付かなかった。近年、遭難事故が多く救助の際に場所の特定には役立つだろう。

 しかし、個人が勝手にあっちこっちへこの種の札を神社の絵馬のごとく括りつけ残すのはいかがだろう。積雪期の能郷谷からのルートでもこの種のものを幾つか見ている。雪が消えればもっと出て来るのだろう。「自分の名付けを山に残す」それが定着すれば快感かもしれないが、奥美濃の山は自然のままで残して欲しいと願う。

 1492mの頭からはダケカンバ等3mほどの低灌木樹林が続きやがて笹藪となった。今年は早い梅雨明け宣言であったが、天気は安定せず戻り梅雨状態が長く続いている。道沿いのアキノキリンソウは養分をたっぷり吸収し黄色い花が艶やかさを増して綺麗だった。

 マルバダケブキ、フキに似た大葉から太い茎の先にウサギキクのような大型の黄色い花を咲かせていた。その他にヨツバヒヨドリ、シモツケソウ、ツルリンドウを見た。「サンカヨウ」と書かれた札が樹木に括られていたが白花も特異なギザギザ葉も確認出来なかった。

 やがて登山道は傾斜が落ちて広い山頂台地は笹の海原となった。雨は既に上がっていたが風が抜けており天気は回復傾向と確信した。

 点名・能郷白山(Ⅰ等△)、石柱は欠けもなく綺麗でやはりⅠ等デカイ。能郷白山といえば2,3月の残雪期の山のイメージしかなく三角点とは久方ぶりの体面だ。

 山頂の山名柱はカラーになっていた。以前立っていた角木柱の山名柱は古くなって取り換えられたのだろう。女性陣は食事を終えると能郷白山神社奥宮へお参りに行った。奥宮は数年前の台風で倒壊したが新たに建立されたと聞いている。小生は重い尻を上げる気にならなかった。寒くてダウンを着て彼女らを待った。

 山頂を後にして下山していると天候は俄かに回復してきた。ガスが流れ切れてゆく、しばし足を止めた。青い夏空が帰って来る予感がしたからだ。

 振り返るとガスが切れて先ほどまで居た山頂が見えていた。午後から雨雲は去って天気は回復するとの予報は当たった。今朝方、温見峠に着いた時に車は1台だった。それが下山中は幾組ものパーティーとすれ違った、やはり二百名山、観光登山の名所となっていた。

 温見峠に帰って来ると岐阜県側道路は左右両脇に駐車された能郷白山登山者の車で狭められていた。今朝方迄の雨天でもこの状態、好天日は車の駐車地捜しに苦労すると思われた。

 大河原集落から猫峠、越波集落から折越峠を越えて越田土集落跡まで下りてトイレ休憩を取った。根尾西谷川から狭い空を見上げると大白木山(1234m)へ続く尾根の上には青空に夏雲が湧いていた。青い空と深緑の尾根とのコントラストのライン、久方ぶりに夏空を見たような気がする。なんとか晴天が長続きして欲しい、帰って来い、夏山。完

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