大垣山岳協会

ラッセル訓練・深雪の貝月山 2024.01.27

貝月山

【 一般山行 】 貝月山( 1234m Ⅱ等△ 美濃百山A級 ) 揖斐川町日坂 NT

 小山からタンポ計画3日前の1月24日、列島は思わぬ大雪に見舞われた。日頃積雪の少ない大垣でも40㎝ほどで揖斐の奥地を想像した。予定した登山口の小津は谷合の狭い集落で住人の駐車地確保も大変なはずである。急遽、駐車場が整備された貝月山へ変更した。

<ルート図>
  • 日程:2024年1月27日(日) 曇り一時晴れ
  • 参加者:L.NT、UT、KT、KM、KF、TM、TS、NY、FT、FI、MY、MK、MT、MM、YC
  • 行程:揖斐高原スキー場7:37-登山口8:04-避難小屋分岐9:23-小貝月11:33~48-貝月山山頂12:20~38-小貝月13:12-揖斐高原スキー場14:39
  • 地理院地図2.5万図:横山

 スキー場でワカンを装着した。着脱は必ず山側を向いて行う。雪崩やブロック、落石など危険は斜面上方から来るからだ。ラッセルは斜面に向かい直線で進み一歩でも節約する。蛇行は距離で損をして体力を消耗させる。急斜面のトラバースは雪崩を誘発するのでしない。

 約30分でスキー場の斜面から山道となった。昨日と思われるトレースが有り助けられた。

 やがて踏み跡は消えて我々のパーティーがラッセルのトップとなった。冬山は今日の参加者15名全員が力を合わせパーティーの総合力で登る。今日のような深雪ではこのルートに居合わせた見ず知らずの人も含めて全員が交代でラッセルに努める。

 尾根上から5mほど下の斜面につけられたラッセル跡を行く。写真では歩きやすい踏み跡に見えるがラッセルマンのトップは谷側の足は上がるのだが山側の左足が雪面の上まで上がりきらずに非常な重労働を強いられた。

 風上につけられた道は雪が浅いのであるが風下側は御覧の通りである。夏道にこだわらず出来る限り風上側にルートを取らねば大苦戦となる。トップのルートファインディングや力量で時間切れとなり登れなかったり、最悪事故に繋がることも時として有る。

 風下側に大きくはないが雪庇が発達している。樹木の際を歩き絶対に雪庇へ近付かない。細く両側が切れた尾根だと雪庇はもっと大規模となり急傾斜となって斜面の中腹歩行が辛くて峰が歩きやすく見えて誘われるが絶対に近付かない。雪庇の崩壊は一瞬で人を呑む。

 傾斜地につけられた夏のトラバース道は雪が深く折り返しが多く距離で損が多い。一歩でも二歩でも重労働から逃げる為ショートカットルートを急斜面に求める。斜面の柔らかい新雪はワカンを受け止めてくれず辛い、老骨に鞭打ちあえいで登る。

 深い雪に手古摺り列が長くなった。本日、貝月山へ登るため偶然居合わせた者達だが協力し順次トップを交代した。長い列の中に日本山岳会岐阜支部の顔見知りを見つけた。このルートで一緒になった方々は果敢にトップに立ち奮闘する人ばかりで冬山の良さを見た。

 小貝月山に到着した。これまで深い雪のラッセルで他パーティ―を含めた長い列となっており休憩が取れていなかった。メンバーの確認と行動食摂取を兼ねて小休をした。

 西に貝月山山頂展望台が見えているが遠く感じた。冬季は此処小貝月で折り返す人が多く小生の顔見知りも此処で引き返した。逡巡していると入会2回目山行のU嬢が行きたいと言い、K氏も手を挙げた。雪山の魅力をアピールする為には此処で止める訳にはいかない。

 向かう西の奥に見慣れた伊吹山と国見岳、虎子山が見えていた。ためらいなく本峰を目指した他会の早い人はもう前山の斜面へ達している。此処から本峰へは遠くに見えるが案外早く着いたことを思い出し最低鞍部へ向かって下った。

 先行する他パーティ―を追い早足で進む、1枚写真を撮るだけで離され老体には辛い時間だ。

 見覚えのあるブナ林だ、これを抜ければ山頂である。降雪直後だと此のブナが樹氷を蓄え見事な花を咲かせるのだが、今日は花見に不適な日のようだ。

 山頂到着、この高みは夏にコンクリートのテーブルとベンチが有る辺りで三角点(点名・品又)はもう少し北に埋まっているはずだ。展望台下の風が避けれそうな場所は先行者に占領されており立ったままで栄養摂取と水分補給時間の15分を過ごした。

 天候に恵まれれば白山は勿論のこと北ア奥穂と前穂の吊尾根まで確認出来るのだが近場の能郷白山さえも山頂部を雲に隠して残念な天候であった。それでも我が会恒例の山頂儀式万歳をU嬢の発声で三唱した。山頂には他に登山者が居たが深いラッセルをしての達成感が恥じらいを忘れさせた。

 15分の山頂滞在はあっという間に過ぎて往路を引き返した。未だ登って来る人とすれ違い、小貝月までで引き返す人達等をも追い越した。大勢の人によって踏まれたラッセル跡は広く硬く締まっていた。自分達もこの道の拓きに携わったと思うと少しいい気分である。

 この頃は2,3時間ほどで山頂に達し車座で暖かいカップ麺や酒類を戴くランチタイムが定番である。しかし、雪山では時として長時間行動となって行動食のみで済ます。人に会うことが稀な奥美濃の雪山ではよくあることで状況によって行動は変えねばならない。完


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