大垣山岳協会

剱岳(総括報告) 2023.09.22-24 

月報「わっぱ」 2023年10月(No.503)

【 一般山行 】 剱岳 NT

  • 日程:2023年9月22日(金)~24日(日)
  • 参加者:CL.NT、SL.GM、SL.HT、KM、ST、SD、NY、HM、YC

 「軽量化とパーティ登山の理解」をテーマに秋の剱岳で本峰往復、源次郎尾根、本峰南壁の3パーティを編成してミニ合宿形式の山行を行った。軽量化については昨年の槍ヶ岳や7月の千回沢山での宿泊山行で経験を積んできている。宿泊装備を担ぎ雷鳥沢をアゴを出さずに別山乗越まで登れたのだから一応合格である。主体的に普通に剱岳や穂高を目指すならまだまだ機転と努力が必要だろう。

 剱沢キャンプ場は1人¥1000、水場とトイレが設備されており、他の北アルプスのテント場に比較すれば良心的である。小屋の売店で飲み物等入手できるがたまたま資材運搬のヘリが多忙で荷上げが遅れ販売を断られたが、次の日の午後には解消されていた。酒なしでは貴重な親睦を図る機会を逃してパーティ山行の目的を逸する。剣山荘へ片道40分の道程をビールの買い出しに行ってもらった。酒が入るとテントの周りでいつものように盛り上がり山談議に花が咲いて親睦はおおいに図れた。

 23日の天候は午後より晴れの情報を山小屋で得ていたので予定通り本峰南壁(HT、HM)、源次郎尾根(GM、SD、ST、NY)、本峰往復(NT、KM、YC)チームに分かれ暗い剱沢を出発した。

 本峰往復チームが一服剱山頂の手前辺りで源次郎チームより剱沢雪渓のクレバスが不安定で尾根末端へ渡れず登山を断念すると交信が入った。続いて本峰南壁チームからも雨で岩が濡れ、ガスで視界不良の為南壁登攀を断念し山頂を目指すと転戦の交信が入った。両チームの登攀中止で今山行の成果は半減してしまった。源次郎尾根については今季の寡少の雪が気になっていたがピッケルを2本準備させるべきだった。又ハンマーは残置ピトンの効きを確認するのに必携でこれもゲレンデや人工壁で育てられた現代クライマーの好勉強の機会を逸したと反省している。ピッケルを持参していたら雪渓を渡れたか否かは別問題で、アルピニストは道具を全て駆使して判断するものだ。

 今回の剱岳参加希望者には岩講習参加を義務とした。ザイルなど登攀具を使用するバリエーション登山で大事なことはなによりパートナーとの信頼関係である。登山とは互いの技術や知識を信じて協力し困難を克服する行動である。ザイルを結び合う意味を理解できた人のみが今回の参加資格を得たと言える。

 残念だが源次郎尾根、本峰南壁ともに雪渓崩壊や雨で条件が悪く登攀は出来なかった。バリエーションルートはピーク登山とは比較にならぬほど自然条件に左右されることを学んだ。両チーム共リベンジを誓って今後も練習を継続するそうだ。そういう行動が会の裾野を広げることになる。「あ・うん」で通じる仲間が出来たならミニ合宿は充分成果を残した。


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