大垣山岳協会

秋のミニ合宿・剱岳 №3 下山編 2023.09.22-24

剱岳

【 一般山行 】 剱岳 ( 2999m Ⅲ等△ ) 富山県中新川郡立山町芦峅寺 NT

  • 日程:2023年9月22日~24日(金~日)
  • 参加者:CL.NT、SL.GM、SL.HT、KM、YC、SD、ST、NY、HM
  • 行程:後述
  • 地理院地図 2.5万図:剱岳
  • 2023年9月24日(日) 快晴
    • 行程(タイム):剱沢野営場6:35-別山乗越7:35-室堂10:29

 寒い夜が過ぎて各自テントの撤収にかかった。フライに雨粒が凍って付着しており氷点下であったことを知った。剱沢を去る前に全員で剱岳をバックに写真に納まった。

 剱沢から見上げる別山乗越は高く遠く辛く思えたが1時間ほどの辛抱で有った。途中で名残惜しく振り返り雲一つない快晴の剱岳を仰いだ。

 別山乗越からの展望である。剱岳の背後に旭岳、白馬岳から南に杓子岳、鑓ヶ岳を経て不帰嶮・唐松岳、その隣が五竜岳であろう。鑓ヶ岳と不帰嶮の奥は焼山か火打山、唐松岳と五竜の間に見えるのは妙高山だろう。仲間達は剱御前手前の2792mの高みに山座同定へ出掛けた。この晴天なら北ア南端の槍、穂高、乗鞍まで見渡せるだろう。

 別山乗越から見た、本日計画をしていた奥大日岳と大日岳で両山頂部が重なって1山に見えていると思われる。写真左隅後方は鍬崎山でその背後は白山である。

 中央地獄谷の背後に左から浄土山、国見岳、天狗山と続き、その背後は薬師岳である。薬師岳左奥三角の山は黒部五郎岳であろう。天狗山の右背後は佐々成政の黄金伝説が語られる鍬崎山、最奥は白山である。

 雷鳥荘まで帰って来て振り返った。雷鳥沢と別山乗越が高く遠くなったが剱御前小舎がまだ肉眼で確認出来る。称名川左俣谷の奥には濃い緑の急峻な稜が幾本か別山の頂へ突き上げており中央鞍部から主稜線を右へ辿って行けば真砂岳である。

 称名川の最源流、雄山から大汝、富士ノ折立とコルを挟んで真砂岳、360度見回して雲が一つも確認出来ない好日である。東の称名川上流から風が吹き上げいつもの逆風となって地獄谷からの有毒ガスを遮っていた。喉や鼻の刺激を気にせずにすむ好日の下山日である。

 室堂が近くなると観光客とのすれ違いや道幅に広がって歩く歩行者にペースを乱される。それが仲間達との2泊3日の山の終わりを告げるシグナルと感じ少し寂しさを覚えた。

 今山行のテーマは「軽量化での機動力アップとパーティー山行の理解」であった。軽量化については、今回は剱沢での定着山行で有り体力自慢には贅沢なテント生活も許された。登攀主体の移動登山なら登攀具以外の大胆な切りつめが求められたが今回その必要はなかった。各自が自己の体力に応じて工夫しているのは伺えた。登山形態で軽量化の中身が大きく変わることを学んでいただければ成果である。剱岳や穂高を目指すなら絶えず機動力を考慮したザックパッキングを心掛けていただきたい。

 「パーティー山行の理解」について、今回の剱岳参加希望者には岩講習参加を義務とした。ザイルなど登攀具を使用するバリエーション登山で最も大事なことはパートナーとの信頼関係である。パーティー登山とは互いの技術や知識を信じ協力して困難を克服する行動である。ザイルを結び合う意味を理解できた人のみが今回の参加資格を得たと言える。

 残念だが源次郎尾根、本峰南壁ともに雪渓崩壊や雨で条件が悪く登攀は出来なかった。バリエーションルートはピーク登山以上に自然条件に左右されることを学んだ。源次郎チームはリベンジを誓って今後も一緒に練習を継続するそうだ。そういう行動が会の裾野を広げることになる。「あ・うん」の仲間を得たならミニ合宿は充分成果を残した満足である。完


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