大垣山岳協会

秋のミニ合宿・剱岳 №2 登頂編 2023.09.22-24

剱岳

【 一般山行 】 剱岳 ( 2999m Ⅲ等△ ) 富山県中新川郡立山町芦峅寺 NT

 23日午前2時半前にトイレに起きると別山の上にオリオン座が輝いている。予報は当たった、絶好の登山日を確信してもう1時間寝ることにしてシュラフに潜った。

<ルート図>
  • 日程:2023年9月22日~24日(金~日)
  • 参加者:CL.NT、KM、YC
    SL.GM、SD、ST、NY
    SL.HT、HM
  • 行程:後述
  • 地理院地図 2.5万図:剱岳
  • 2023年9月23日(土) 曇り時々霧雨
    • 本峰往復チーム:行程(タイム):剱沢野営場4:35-剣山荘5:39-前剱7:31-剱岳山頂9:39~10:12-剣山荘13:17~37-剱沢野営場14:28

 午前3時にHT、HMの南壁チーム、4時過ぎにGM、SD、ST、NYの源次郎チームが出発した。NT、KM、YCの本峰往復チームは4時半を過ぎて出発、いつしかオリオンは消えて霧雨状態であった。ライトの灯りを頼りに剣山荘を目指したが途中で作業道跡に迷い込み5分ほどロス、ハイ松に触れて衣類はベタベタ、山荘で雨具に着替えた。

 ガスで周りの景色は見えない。一服剱は難無く越えたが前剱へは急なガラ場が延々続いた。

 源次郎チームより剱沢雪渓が不安定で尾根に取り付けず登山を断念、剣山荘で暖を取るべく移動中と交信連絡が入る。本峰南壁チームは雨で岩場が濡れており視界も不良で南壁登攀を断念し山頂を目指すと交信が入った。我々は午後からの晴れをまだ信じていた。

 東大谷と平蔵谷へ切れ落ちた狭いコルにスチール橋が架けてある。昔はなかったので岩が崩壊したのだろう、近年このルートの名所のようだ。しっかりして幅も有り歩行に問題はない。誤って落ちるなら平蔵側へ、東大谷は一縷の望みもないと昔の格言を思い出した。

 スチール橋から平蔵側の岩を右斜上する鎖に導かれる。これまでも鎖場を幾つか越えて来たが剱岳別山尾根ルートの本格的な岩場がいよいよ始まった感がした。

 南壁から本峰へ転戦した平木から交信が入る、山頂に居るがガスで周りは見えず寒くて下山すると。荒い息づかいで平蔵の頭を目指して岩場を越えると俄かに頭上のガスが切れ青空が覗き山頂部が微かにだが見えた。いよいよ夏の太陽が帰って来ると期待したのだが、

 このスラブに付けられた鎖を辿れば「平蔵の頭」のはずである。頭上の青空で岩が見る見る乾いて安心感が甦って来る。今回、簡易ハーネスとシュリンゲ、カラビナを連結させランヤードを作り鎖場を通過させた、少々手間はかかるが安全を優先した。

 平蔵の頭からの下降である、高度感はあるがスタンスは豊富だ、大胆かつ慎重に下降!とコールを送る。乾いた岩にビブラム底が吸い着くようで青空が心にゆとりを生んだ。

 現れた青空は直ぐに消えて辺りは再びガスに包まれた。下降を終えてトラバースに入ろうとした先の岩棚を見ると休んでいる人の体形に見覚えがある。下山して来たHT、HMである。格好良く颯爽として会いたかったが「年寄りの冷や水」ヘロヘロでの再会であった。

 彼等と別れて直ぐ上りルート最難関の「カニのタテバイ」が待っていた。勿論、昔はなかった。登山者の増加で「カニのヨコバイ」の混雑解消の為に上下ルートを分けたのだろう。

 「カニのタテバイ」上部には垂壁があり埋め込み鉄杭を足場にする。鎖を離さねば落ちることはないので大胆に行動する。ガスに包まれていたが幸い岩は濡れておらずついていた。

 山頂には15人ほどいただろうか祠周りは記念撮影者で近寄れない。東の離れた三角点へ移動して写真を撮った。本当に達成感に満ちたいい顔をしている、この写真が好きだ。剱岳の三角点選定は明治40年柴埼芳太郎だが石柱、盤石の埋設は平成16年と新しい。

 剱岳山頂を踏むのは昭和53年以来だから45年ぶりである。八ツ峰六峰、三ノ窓チンネ、剱尾根を2泊3日の継続登攀で周回し室堂へ下りた。若い日のザイルパートナーを思い出す、互いに山から遠ざかるといつしか連絡も賀状さえも絶えた。健在でいるだろうか。

 山頂滞在30分の間に青空は覗かず源次郎も八ツ峰も小窓尾根も剱尾根も顔を見せなかった、まして後立山の峰々や北ア南の槍や穂高は見えるわけもなく、諦めて山頂を後にした。

 山頂での交信で仲間が剣山荘で待っているのを知った。慌てず慎重にを合言葉にして下る。

 これが有名な剱岳「カニのヨコバイ」である。ルートは昔と変わっていないように思えたが「剱岳のヨコバイ」人気が渋滞を呼びタテバイの上りルートが開拓されたのであろう。

 ここも昔なかった梯子が設置されていた。岩から梯子へ移る時に大きく足をあげて固定鎖を跨がねばならない。バランスを崩しやすいのでセルフをとって移る様に指示をした。

 これを下り切れば難所は終わりそうな気配がした。下りきったコルに古い小屋が有った。近くに錆びた骨材など有ったので工事材保管小屋かと思ったがトイレのようだった。

 剣山荘が近くなると雨脚が強くなり今日午後の晴天予報は完全に外れ気象庁への恨み言が多くなった。山荘でGM以下の源次郎チームと合流しテン場のある剱沢へ向かった。

 剱沢へ帰ると周りにテントが増えていた。小降りとなったので昨日の集会場で懇親会を催していたが、その間も続々と入山して来る今日は土曜日だ。1時間もすると又降りが強くなり寒くなったので散会した。明日は奥大日登山を止め直接下山を決めた。

№3へ続く


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