大垣山岳協会

岩登り講習会 伊木山、高木山 2022.05.28/29

伊木山

月報「わっぱ」 2022年6月(No.487)

【 岩登り講習会 】 伊木山 ( 各務原市鵜沼 )、高木山 ( 美濃加茂市山之上町 ) 丹生 統司

 本年初の岩登り講習会は高木山で行われる計画であったが、受講者が多く中田リーダーの英断で2班に分けて、28日に伊木山、29日に高木山と2日連続で行った。

伊木山
  • 日程:5月28日(土)(晴れ) 7:30~14:00
  • 参加者:
    • スタッフ L.中田英、後藤正、佐藤大、丹生統、平木勤
    • 受講者  北川稔、清水克、竹森せ、田中恵、藤野一、三輪唯、山本知

 先ずクライミングで必ず必要となるダブル・フィッシャーマンでシュリンゲをつくった。次にメインザイルでエイトノット、フィギアエイト・フォロースル―を習得し自分のハーネスに結ぶ練習をした。また登山時にハーネスを持っていないことを想定してシュリンゲで簡易ハーネスをつくる練習を行った。

 ロープ結び講習の間にスタッフによって近くの立木にザイルを固定していただいた。シュリンゲを使ってブルージック結びとクレムへイスト結びを教授いただき、実際に岩場でロープが固定されていることを想定して支点を通過し移動する練習をした。その固定ロープに自分で作ったシュリンゲでブルージック結びとクレムヘイスト結びを行って荷重をかけた時にロックされて止まるか実践した。

 その他に下降器具が無い登山時にカラビナを代用し岩場を下降するムンターヒッチ結び、一時的にロープを固定するのに有効なクローブヒッチも教わった。覚えることが多くて大変だがロープに生命を託すのであり安全登山に必須である、暗闇でも出来るように修得が必要と教わった。

 岩場に移動して上から垂らされた固定ロープにクレムヘイスト結びを行いハーネスに連結して各自でルートを選び挑んだ。最初は身体が硬くぎこちなかったが慣れるに従って色々なルートに挑戦した。必ずクレムヘイストの結びが整っているか確認するようにしつこく言われた。

 岩場を登り終えて大事なことは「セルフビレイ」であると教えられた。登り終えたら必ず自身のハーネスと繋がれたシュリンゲのカラビナで支点にセットしてからメインザイルのクレムヘイスト結びを解除する。先ず自身の安全を確実にしてから次の行動に移ることを口酸っぱく教えられた。片時も生命がかかっていることを忘れてはいけないと言われた。

 岩場を安全にスピーディーに降りる懸垂下降をエイト環や確保器具を使って行った。この時手袋を使用したがナイロンや生ゴム制の摩擦に弱いものはNG、革や綿など摩擦に強いものをと教えられた。

 午前中はバックアップをとって上から確保をしてもらい行った。岩場に直角になるようにと何度も指導を受けた。

 午後はクライミング経験者の模範技術を見学した。垂壁のクラック沿いからハングを越えてスラブを直登した。現代登攀技術は飛躍的に進歩していると感じた。その後各自それぞれに未踏のルートに挑戦する者や反復練習をする者等、午後2時まで意欲的に岩場に挑んでこの日の講習を終えた。

高木山

日程:5月29日(日)(晴れ) 8:10~15:10
参加者:
スタッフ L.中田英、伊藤正、後藤正、佐藤大、丹生統、平木勤
受講者  尾内順、加藤美、廣瀬美、堀嵜尚、宮川祐、村田美、吉田千

 この日は初心者と昨年受講者に別れてロープ講習を行い、後にトラバースを想定してクレムヘイストやカラビナでの固定ロープの支点を通過する方法を練習した。

 岩場はスタッフによって既にロープがセットされており各自クレムへイスト結びで安全を確保した後にルートに挑んだ。この日は3名が初めてハーネスを着けて岩場に挑んだ。

 初見参の岩場は手掛かりや足場が下から見るのと全く違って何処を掴んで何処に足を置けばいいのか、チャート質の岩特有の逆層に戸惑った。何度か固定ロープにテンションがかかったが墜落の心配がないと確信が持てると大胆に行動できるようになった。

 慣れない高度感に緊張したが何度か繰り返すうちに身体がほぐれて岩から身体を離すとホールドやスタンスが確認出来るようになった。そして高所の岩場では自分の安全を確保する「セルフビレイ」が何より重要で有ることを教えられ認識した。

 先輩のクライミングを見るのも勉強になった。ルートの取り方、スタンスの置き方など参考になることが多かった。懸垂下降についてはバックアップをとって行っていたが午後には単独で出来るようになった。

 午後から上部の岩場に移動してトップロープ・クライミングの練習を行った。ビレイヤーから安全を確保してもらい高度感に挑戦した。下降はロア・ダウンでザイルに身を預けて歩くように降りた。

中田リーダのビレイヤーにてトップロープ・クライミングの練習。(写真提供 佐藤氏)
高木山での講習会の様子。高度感がある。

 ゲレンデ講習は慣れから基本を軽視しがちで、それが災いして事故を起こすことが時としてある。岐阜県岳連の重大事故は記憶に新しい。我が会も過去に仲間を失っている。受講者はもちろん指導する側も、基本の大事さを絶えず忘れないことが肝要である。

 2日間にわたる岩登り講習会を担当してくれたリーダーとスタッフの皆様に感謝いたします。今夏は剱岳を計画しているためか講習参加者が多かった。「練習はうそをつかない」。しっかり技術を習得して夏合宿で成果を残しましょう。


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