大垣山岳協会

令和4年安全登山祈願山行・南宮山 2022.01.20

南宮山

【 週日山行、安全祈願山行 】 南宮山 ( 419m Ⅰ△ ) NT

 令和4年の安全登山祈願山行は関ケ原古戦場の桃配山・徳川家康陣地跡から点名・大高、南宮山を経て南宮大社へ下山、全員が拝殿へ昇殿して今年1年の安全登山を祈願した。

<ルート図>
  • 日程:2022年1月20日(木) 雪時々曇後晴れ
  • 参加者: L.NT、PL.AM、IY、OS、OS、KM、SE、ST、SM、TS、HT、FT、HY、MY、MK、MT、YM
  • 行程:桃配山家康陣跡9:25-1番目鉄塔9:40-点名・大高10:20-3番目鉄塔10:45-南宮山山頂12:00-毛利陣跡・展望台12:40~13:25-南宮大社14:25~15:00
  • 地理院地図 2.5万図:大垣・関ヶ原

 今年は近年稀にみる積雪で一昨日も20㎝の降雪があり、昨日の偵察の結果、関ケ原から南宮大社迄の縦走A班と南宮大社からの南宮山ピストンB班に分けて山頂で合流する計画とした。南宮山往復B班はAM PL、OS 、IY、KM4名である。

 家康は赤坂岡山からこの地に陣を移し部下に桃の実を分け与えたという。これは壬申の乱(672年)の折りに大海人皇子(天武天皇)がこの地で山桃の実を兵に与え士気を高め勝利したという故事に習った。関ケ原の役で家康が勝利した後、この地は桃配山と呼ばれた。

 家康の陣跡から一旦谷沿いの道に降りて檜の植林帯につけられた鉄塔巡視路を辿った。最初の鉄塔でワカンを履いた。ワカンの装着が初めての方がいたが紐は外から内に通すとゆるみが少ないと教えた。急傾斜や深雪での激しいラッセルを経験するとその差は歴然と分かるはずである。

 点名・大高に到着。稜線に出ると風が吹き抜け湿気の多い雪が横から顔面に当たった。風防を深く被って凌ぐが寒くて休憩中もザックを降ろす気分にならない。

 3番目の鉄塔、ここは北方向が伐採されており北東の眺めの良い展望台である。天気が良ければ御嶽山が眺められるのであるが今日は雲の中であった。この鉄塔周りは雪が深くて昨日の偵察では難渋した。

 鉄塔から標高392mの頭を越えて稜線は小さな起伏を繰り返し南東方向に南宮山山頂へ向かう。南宮山での安全登山祈願山行は5年目を迎えるがこのような雪山山行となったのは初めてである。が10年前までの関ケ原なら節分の頃に床の高さまで積雪が有るのが当たり前で有った。

 標高400mそこそこの山で有るが年末からの降雪での冬景色に満足していた。このような低山でも雪山が経験出来て嬉しい誤算で有った。途中でB班から2度ほど電話が有るもラッセル中で相手をしていられなかった。山頂まであと30分ほどの地点で大社からのピストンB班のOSさんから山頂に着いたと電話があり応対した。

 尾根の峰付近は照葉樹のヒサカキ(ビシャ)が多く多量の雪を樹冠に載せて枝や幹を右に左に傾けて歩行の邪魔をした。その迷宮に入り込み深い雪と格闘している最中にまたもやAM.PLより電話、4人全員山頂に着いたが未だ着かないかの督促である。どうやら我々より先に山頂を踏んで得意満面のようだ。

 我々A班は山頂の直ぐ手前でヒサカキのジャングルに迷い込み四苦八苦していた。コンパスで方向を確認すると向かう山頂との間に谷が南に向かって下っている。ということは山頂に向かう尾根を踏み外しており山頂とのコルはもう少し北である。斜面を50mほどトラバース気味に北に向かい山頂に至るコルに降り立った。折しもB班のOSさんが山頂から下って来られた。ここで全員揃っているかを確認して山頂へもうひと踏ん張りした。

 どちらが先に山頂に到達するとかの競争は意識していなかったがB班のメンバーが勝ち誇ったような顔で我々を迎えたのは印象的であった。B班の最高齢者は86才、昨日の偵察から判断して班別行動を提案したのだが彼らの負けず嫌いに火をつけたようだ。彼等の気力を誉め称えたい。全員で点名・牧田村の標石を囲み記念写真を撮った。

 昼食は例年通り毛利氏陣跡の展望台で摂った。天候も回復し濃尾平野を見下ろして天下人の気分を味わった。恵那山は見えていたが中央アルプスは雲に邪魔された。

 大社に下山後は参加者全員拝殿に昇段して大垣山岳協会令和4年の安全登山祈願を行った。これで登山の安全が担保されるわけではないが折に触れ安全を意識して無事故を心にと言い聞かせた。

 今季も年始から山の遭難事故がマスコミを賑わしている。昔は冬山と言えば山岳会等で訓練を受けた者のみに許された領域であった。が、この頃はネットで情報をやり取りして基礎訓練を省略し簡単に雪山へ行くようだ。地形図やコンパスの読図知識が無くとも携帯電話のGPSを駆使し体力さえあれば山頂に立てる。

 しかし、私達は読図や登山の基礎的な知識や技術が何より大事であることを知っている。

 冬山の天候はいとも簡単に急変しラッセルの跡等直ぐに消し去って氷点下20度になることも珍しくない。極寒の地では携帯の電池など直ぐに消耗してしまうことも知っている。

 登山は自由であるが自己責任で有ることを忘れない為に一年の初めに安全祈願登山を行っているのである。完


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