大垣山岳協会

秋山を楽しむ体験山行・冠山 2021.10.31

冠山

【 個人山行・体験山行 】 冠山 ( 1257m Ⅲ△ ) 丹生 統司

 登山道が整備され山容がすこぶるよくて手近な山、と言えば冠山だろう。今なら紅葉が楽しめて岩場を体験できる。奥美濃の名峰は体験山行に適した山である

<ルート図>
  • 日程:2021年10月31日(日) 曇り後晴れ
  • 参加者:L.丹生統、大谷早、後藤正、佐藤大、(体験)山中晴
  • 行程:冠山峠9:00-冠平分岐10:00-山頂10:20~30-冠平10:40~11:15-冠山峠12:15
  • 地理院地図 2.5万図:冠山

 峠には冠山峠と彫られた自然石の他に三ツの石碑がある。ダム建設や合併によって村から町への変遷を知ることが出来る。初めて冠山に登ったのはシタ谷から東尾根経由だったが当時ここに峠は存在しなかった。昭和46年林道冠山線が開通し誰でも登れる山になった。

 いつものように出発前に後藤講師による地形図講習を15分ほど行った。

 広く歩きやすい登山道を冠山へ出発。

 尾根周辺は既に紅葉の盛り、紅葉の並木道を行く。

 ハッとするような朱色の赤に目を奪われる。

 秋山の散策、冠山の岩塔が格好いい。

 山で大事なのは現在自分が何処にいるかを把握していること。景色に目を奪われているとついつい確認がおろそかになって人の後をついて行くだけの山行になってしまう。よくどこそこの山とか百名山、三百名山を登ったとかの自慢話を聞くが、GPS片手に登って実力を勘違いしている方が多い。後藤講師が丁寧に地形図で要所の説明を行っている。

 ブナの幹のくねりがいいね。

 不届き者の落書き、多分昭和54年11月と思われるから40年経っても罪が消えていないことを傷つけた本人は気付くべきだ。そして40年も恥を晒していることにも。

 登山道は冠山の肩へ向かってトラバースを始めた。冠平との分岐に着くと休憩をした。

 冠山の楽しみどころの岩場、ロープの有る階段状ルートが先行者で詰まっていた。大輔君が直登して三点支持の見本を見せてくれた。手掛かりを上に求めすぎると岩と身体の隙間が狭くなって足元が見え辛くなる。浮石に注意して大胆に思い切って行動する。

 残置ロープを過信して両手で持って全体重を預けない。バランスを維持する程度にする。他人がいつ設置したかわからないロープに生命を簡単に預けてはならない。

 岩場を越えて稜線に出ると東谷が見えて徳山湖の湖面が鉛色に映えていた。遠くに伊吹山や金糞岳が眺められた。

 正面に「辛いは冠、距離のながいは田代道」と旧徳山の盆踊りで唄われた坊主尾根がシタ谷出合まで見渡せた。その昔、越前鯖江誠照寺の巡錫の僧を村人が背負って越えたと伝わる冠ヶ峠への尾根である。正面奥は能郷白山、その手前に若丸山の山頂部のみが見える。

 狭い山頂は他の登山者も居て混み合っており三角点と山名板付近では撮影が順番待ちであった。順番が訪れると早々に撮影を済ませ山頂を後にした。

 冠平へ下りて昼食休憩とした。そこには福井銀行行員の遭難碑があって風が吹き抜けていた。背後は冠山東尾根の上部である。

 冠平から仰ぐ冠山山頂部北面。

 冠山峠に引き返すと福井側を含め多くの車が駐車していた。人気の山であることを改めて感じた。長居は無用、徳山湖へ向かったが林道から見る冠山の山容の素晴らしさに車を止めて幾度かシャッターを押した。

 徳山湖の本郷望郷広場で初歩のロープ結びの講習を行った。エイトノット、ダブルフィッシャーマンノットによるシュリンゲ作成。クレムハイスト、ブルージック、簡易ハーネスの作り方などを練習した。繰り返し練習して暗闇でも出来るようになっていて欲しい。

 今朝、徳山に向かう途中でレスキュー車の後ろを走ることになった。川尻橋を過ぎトンネルを出て100mほど行った急カーブの手前の膨らみにパトカーが停車しておりレスキュー車も停車した。警察官が通行の誘導をする傍らでザイルを肩に1本、手にもう1本持って歩く警察官もいた。道路にタイヤ痕がカーブを曲がり切れずにガードレールを突き破ってダム湖側に消えていた。警察官が1人下を覗いている。大事故は明白だったが誘導されるままに通り過ぎた。

 登山後の帰りに道路の膨らみに車を止めて事故現場を上から覗いた。当然警察官も消防署員も既にいない。道路のタイヤ痕から当初はバイクと思ったが自動車で有った。道路の下10mほどの所が平地となっており車が腹を上にして大破していた。大きな杉の木が有りそれに当たって川原に突っ込むのを防いでいた。ドアが10㎝ほど開いていたがあれだけつぶれていてよく開いたと思った。

 我々も山の行き帰りや生活に車は手放せないが事故の悲惨さを目の当たりに見て今更ながら安全運転の大事さに気付かされた。山行きは長距離運転が多い、生命を載せていることを肝に銘じて安全運転をしよう。完

ルート図

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