大垣山岳協会

遠い山になっていた・冠山 2023.05.17

冠山

【 個人山行 】 冠山 ( 1256.6m Ⅲ等△ ) 揖斐川町塚奥山 NT

 お世話になっていた元同僚が山に行きたいというのでお供した。行きたい山は冠山!岩場が有りスリルが有る。1時間半ほどの歩行で360度の大展望、登山が凝縮されている山である。ところが林道が才ノ谷出合を前にして土砂崩れの為に通行止めだった。

<ルート図>
  • 日程:2023年5月17日(水) 晴れ
  • 参加者:NT、他2名
  • 行程:塚8:04-冠峠11:23-冠山13:59~14:30-冠峠15:43-塚18:27
  • 地理院地図 2.5万図:冠山

 塚の駐車場を出て100mも行かぬ所で土砂崩れによる通行止めのゲート。さて、どうする。山を変更しようかと提案したが両君とも「冠山」に執着があるようだった。

 取り敢えず現場を見たくて徒歩で進むと才ノ谷出合手前の東谷左岸が地滑りを起こし本谷迄斜面になっていた。作業用モノレールが上に向かっている。その下に歩行者用に通路が造られており簡易のロープで安全対策がとられていた。冠山頂まで往復を決めた。

 才ノ谷出合を過ぎて例年雪崩が起きている所にデブリが残っていた。今年は降雪量が少なかったので意外だったが、この季節に雪塊に触れられて喜んでいた。

 車が通らぬと道はこうも荒れるのか、落石と枯れ木で足元に注意しないとけつまずく。心配なのは舗装道路を湧水が流れ苔を発達させており滑っていた、帰りが心配だ。

 2時間ほどで冠峠まで行けると思っていたが高倉林道の分岐迄1時間15分を要していた。2時間は無理だと長期戦を覚悟した。樹間から冠の雄姿が見えると感嘆の声が聞こえた。

 高倉林道分岐からソバクマタ林道跡まで更に1時間、冠山頂まで行くと日のあるうちに帰れるか心配になる。が、二人は冠山の雄姿を見ると撮影に夢中である。

 約3時間20分を要してやっと冠峠に辿り着いた。駐車場には車は1台もない。県境ゲートが閉っているということは福井側も道路が閉鎖されているのだろうか。

 峠からは陽射しが強く感じられ木陰を求めて歩いた。しかし、大した起伏ではないが3時間の林道歩きの疲れを感じるようになった。そのような中で何気に見上げた青空にコシアブラの新芽を発見、よく見れば周りに沢山ある。帰り時間の心配など忘れて次々に現れるコシアブラを下山中に収穫する算段をしながら歩いた。

 コシアブラを捜して上ばかり見ていたが足元にはカタバミの可愛い小花が群生していた。冠山は花のイメージが余りなかった。新しい発見である。カタクリも見かけたが既に花期を終えていた。

 イワカガミも多く綺麗であった。

 冠平の分岐を過ぎて岩場の中腹でリンドウを見た。ハルリンドウ?フデリンドウ?青さが足りずタテヤマリンドウ?違うような、花名がよくわからず残念だ。

 2ケ月前の3月下旬に来た時にはこの壁は雪田になっていた。その面影は全く無い。他人が残した残置ロープを信用して生命を預けてはいけないと説明した。

 さすがに若者である。長い距離を歩いても息を乱さず登って来た。岩場のこなし方も全く問題ない。能郷白山をバックに記念写真。春霞で白山が見えないのは残念で有った。

 西に金草岳とその手前の尾根に歩いて来た塚林道・冠山林道が見える。あの長い林道を帰らねばと思うと気が滅入るが日暮れまで残された時間は長くなく重い腰をあげた。

 塚駐車場への帰着時間が気掛かりであったが尾根で見つけたコシアブラの新芽の採収は手抜かりなく行った。林道法面に岩清水を見つけると交代で冷たい水を飲み顔も洗った。単調な帰り道のはずであったが昔話も弾み退屈せずに歩けた。駐車地は我々の車だけであったが日没まえに帰って来た。やれやれ、冠山は遠い山であった。完

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