大垣山岳協会

モレ谷からダム湖を見下ろす展望台・花房山 2024.02.28

花房山

【 個人山行 】 花房山( 1189.5m 点名・水飲 Ⅲ等△ ) 揖斐川町東杉原 NT

 藤橋城近くの人里へ尾根を落とす花房山は360°の大展望が得られるため季節を問わず登山者が訪れる。GPSの軌跡を追う登山者で踏まれた杉原ルートを敢えて避け南面の小津モレ谷側から登った報告である。

<ルート図>
  • 日程:2024年2月28日(水) 晴れ
  • 参加者:NT(単独)
  • 行程:林道標高260m駐車地9:19-点名・高地川西505.9m 10:29-主稜線標高1140m 12:58-花房山山頂13:30~14:07-点名・高地川西15:47-駐車地16:55
  • 地理院地図2.5万図:樽見

 モレ谷出合と高地谷を分ける尾根末端から取り付く計画で有ったが歩行している舗装道路が結構な傾斜で下って行く、折角稼いだ高度を失いたくなく予定を変更し廃林道へ進入した。廃林道沿いには雪解け水をかけた滝が幾つか有って林道に水が溢れて靴を濡らした。

 廃林道がヘアピンで折り返す所で点名・高地川西(505.9m Ⅳ等△)を確認した。

 点名・高地川西で尾根に取り付いた。尾根上はヒノキの植林帯で下草やヤブはなく歩きやすかった。しかし傾斜が増してくると疎林となって落ち葉の下の土は水分を含み滑って歩き辛い。残雪が有れば足場が決まって歩きやすいのだが今年は全く雪がなく異常な年だ。

 高地谷の最奥に2日ほど前に僅かに降った雪を薄く載せて雷倉が三角形の山容を誇っている。南のタンポへ続く稜線下には水平に線を引いたように林道が見えていた。2月というのに雪のないヤブ山は枯れ枝の山体のようで哀れな姿を悲しく眺めた。

 モレ谷を挟んで西に小津権現山が見える。北面のために多少は雪が有るように見えるが例年ならもっと残雪が豊富である。異常な雪無し春山で一気に夏山になりそうだ。

 900mを過ぎてやっとちらほら雪が出て来た。見上げると小津権現山から続く稜線が見えて来たが遥かに高く感じて気が萎えてしまう。

 主稜線が近くなるとヤブが現れて来た。雪が例年通り普通に残っておればうるさいヤブを隠してくれているのだが、足が上がりきらずスリップした途端に小枝に鼻と唇をしばかれて唸った。ブッシュは枝を下へ向けて抗い体力を奪う、藪漕ぎにヘタレそうだった。

 それでも見通しがきくと先ず御嶽山と中央アルプス、南アルプスの白い帯となって青い空に浮かんで見えた。そして御嶽の北に乗鞍岳、そして穂高が確認出来た。山頂へ行けば大展望が待っているはずで元気をもらい気合を入れた。

 主稜線へ到着すると傾斜が落ち、ヤブも無くなり歩きやすくなった。雪は切れ間なく有ったが10㎝ほどで根雪ではなく新雪で2日ほど前のものと思われた。

 1本大きなブナが有って人目を引いていた。その向こうに山頂が見えているが地形図では50mほどしか高くないのだが遠く感じた。山頂斜面には雪が全くついていない。

 10mほど下って山頂斜面に取り付いた。雪の全くない急斜面は夏道が出ておりトラロープが固定されていた。小津権現山から縦走路が拓かれたと聞いてはいた。有難くロープの助けを借りたが劣化で細くなった箇所があり体重を預けるわけにはいかなかった。

 山頂に飛び出ると先ず能郷白山とその奥に白山が一際白く輝いていた。白山の前にはピラミダルな屏風山が目を引きつけた。徳山湖の奥に能郷から離れて若丸山と冠山、金草岳が確認出来た。冠山は南壁を黒く見せて三角錐の山容が格好良かった。

 左の黒い山体は蕎麦粒山で、その奥に美濃又丸、笹ヶ峰、金草岳と続く美越の山々である。三周ヶ岳は蕎麦粒山が邪魔をしてか確認出来なかった。

 雷倉の背後に穂高が見えて乗鞍、御嶽、中央アルプスと続き甲斐駒から続く南アルプスもはっきりと確認出来た。絶景であるが雪が多ければもっと満喫出来たはずである。

 小津権現山の背後に貝月山と鍋倉山が有って最奥に伊吹山が存在感のある山容を見せてその南に鈴鹿最北の霊仙山から御池岳の連なりも霞んでいた。

 養老、多度山地の東に広がる濃尾平野、揖斐川と長良川が寄り添うようにくねった先に伊勢湾が春霞と一体となっていた。

 花房山山頂はうららかで長閑で4月の山のようだった。春日和の山頂で自分の登山に浸っていたい気分だが残された時間は少なく山頂滞在は30分ほどで引き返した。完

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