大垣山岳協会

奥美濃の山並みとダム湖を見下ろす展望台・花房山 2022.02.12

花房山

【 個人山行 】 花房山 ( 1189.5m Ⅲ△ ) 丹生 統司

 小津三山の中央に位置する花房山は大垣市内から眺められ、鷲が翼を広げたような特異な山容は一際よく目立つ。冬季快晴の日の山頂は期待を裏切らない。

<ルート図>
  • 日程:2022年2月12日(土) 晴れ
  • 参加者:L.丹生統、佐藤大、柴田悦、林 旬、山本知、吉田千
  • 行程:藤橋登山口7:55-P790m9:40-蟻の戸渡10:30-花房山11:45~12:55-藤橋登山口15:30
  • 地理院地図 2.5万図:樽見

 花房山は麓から近くて冬山としては取付きやすい山である。先日の大雪で積雪は多い、東前の谷へ続く林道入り口で除雪は終えていた。その突き当りに駐車して出発した。

 昨日と思われるトレースが有った。大いに助かったが右に左に蛇行しており非効率だがラッセルするより負担は軽い、文句を言いながらも跡を追った。能郷白山が北に見えて来た。

 今年は降雪が多く尾根の岩がすっぽり雪で隠されている。雪のルートは一旦足場が出来ればバケツ状に掘られた凹みを行くだけで面白みは半減する。

 今の季節、奥美濃の山でピッケルやアイゼンを使うことは稀だ。花房山は雪と岩のミックスで今日は道具を使うチャンスだった。だがこの雪ではワカンのみで山頂迄行けそうだ。

 標高790mのピークで一休み、ここより一旦コルへ下って蟻の戸渡りへと続く細尾根となるのだが大量の雪で先行者の足跡を追うだけとなった。

 此処、蟻の戸渡りは細い岩稜で通年なら岩の上に不安定に雪が乗っておりトップは緊張してルートをつくるのだが、今日はピッケルもアイゼンも出番は無しとなった。

 蟻の戸渡りからは雪の尾根をひたすら登る。先行者のトレースは体力の衰えた身には助かるのだが物足りない。やはり雪山は自分達の足跡を残すところに魅力が有る。

 最後の休憩風景、花房山の特徴は1170mの尾根の頭に出るまで景色が樹木で遮られていることだ。言わば目隠しをされて雪の尾根をひたすら登っているようだ。

 標高1170m尾根の頭に出るとこの景色が背後に広がる。振り返ると目隠しを解かれた子供のように誰もがはしゃぐ、そしてスマホを取り出して撮影に没頭する。

 徳山ダムの湖面と白山から能郷白山、西に美越江国境奥美濃の山並みが伊吹山まで白い帯となって見える様を見ると誰もが冬の花房山の虜になる。

 尾根は1170mの頭から東に向きを変えて雪稜となる。先週末の降雪で大雪庇を期待していたのだが発達していなかった。以前はもっと大きかったような、北風が弱かったのかも。

 それでも冷えて締まった純白の雪を踏んで雪稜歩きの気持ちの良いこと、ワカンに踏まれて雪のキュッキュッという締まる音が聞こえた。

 向かう山頂に人影が2ツ見えた。先行者は昨日と思っていたが今日だったのだ。残念もう少し早出をすれば自分達の足跡で雪上に落書きが出来た。

 花房山頂の展望である。恵那山から左回りに中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳、穂高、笠ヶ岳、白山、屏風山、能郷白山、若丸山、冠山、金草山が確認出来た。

 更に金草岳から西に笹ヶ峰、美濃俣丸と続き蕎麦粒山が存在感のある山容で目立つ、残念だが三周ヶ岳や高丸は蕎麦粒山と重なっているようだ。

 山頂に居た先行者は以前に霊仙山で会った会員Hの知り合いだった。白山と徳山湖を背景に記念写真を撮ったがあまりの絶景に撮影が忙しく万歳を忘れていた。

 先ずは風の当たらぬ南斜面に移動して各々自分のスノーベンチを作りランチタイム。養老山脈と鈴鹿山脈の裾野が雄大な濃尾平野に消えて、その先に伊勢湾が冬の陽射しを反射していた。

 ランチを頬張りながら西を見れば白い稜線がくねって小津権現山に続いている。その背後に貝月山が伊吹山と尾根続きに見えて、南に霊仙山から鈴鹿の峰々が霞んでいた。

 ランチタイム中に3人登って来て今日の花房山は大賑わいである。しかし我々が山頂に着いた時に居た先行者は既に出立し、後続の2名も足早に下山した。快晴の雪景色にいつまでも浸っていたいが冬の日暮れは早い。重い腰を上げると帰りの雪稜のトレースの先に金糞岳が北に長い尾根を延ばしているのが見えた。


『美濃の三角点全点踏査の記録』(第1巻)(第2巻)

 先日、『美濃の三角点全点踏査の記録』をお買い上げになった方から電話でご感想をいただいた。

 「新しい試みの地域研究の評価」と「女性が多数参加している称賛」であった。褒められると嬉しいもので「三角点踏査」をやって良かった。会員の励みになると素直に喜んでいる。

 三角点は測量の為に埋設されたものだから藪深い山の頂や市街地、堤防の土手など様々な所にある。実力を鑑みて担当者を決めたが会員全員が参加して行ったことに意義が有る。その年に入会した者にも担当が割り振られた。三角点標石柱は時にマンホール蓋の下で有ったり、校舎の屋上で有ったり、滝を攀じ藪を分けて腐葉土から掘り出すこともあった。地形図に掲載されているが既に存在してないものもあった。新しい発見に一喜一憂した地域研究書である。

 「モナ・リザ」の画を後世の画家がどんなに旨く描こうが「模写」であり「贋作」にすぎない。登山は原画を創作する行為と同じであって欲しいと願う。山が高いとか低いとか、困難か易しいかは問題ではない。その山を無から自分流にどう登るかであって他人のアイディアの山登りは「模写」にすぎないことを「三角点踏査」は気付かせてくれる。

『美濃の三角点全点踏査の記録』取扱店

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