大垣山岳協会

春山を楽しむ・花房山 2022.04.09

花房山

【 一般山行 】 花房山 ( 1189.5m Ⅲ△ ) 丹生 統司

 能郷白山から伊吹山、伊勢湾まで360度を見渡せる花房山で春の暖かい風を肌に受けて来た。その日は温度が上昇し冬の上着が暑くてたまらず脱いだ。直ぐに消えてしまいそうな奥美濃の山々の残雪を惜しみながら徳山湖を見下ろした。

  • 日程:2022年4月9日(土) 晴れ
  • 参加者:L.佐藤大、尾内順、大谷早、加藤美、後藤正、中田英、丹生統、藤野一、村田美、宮川祐、宮澤健、三輪唯、山本知 
  • 行程:藤橋登山口7:40-790mP9:10-花房山頂10:55~11:55-藤橋登山口14:20
  • 地理院地図 2.5万図:樽見

 佐藤大氏は今日がリーダーデビューである。一言と促されると、はにかんで控えめに挨拶したが、それが若者らしく好印象であった。総勢13名で出発した。

 尾根はいきなり急登となって杉の植林帯を登る。温度が上昇するとヒルが心配な箇所である。青いシートで囲われたトイレが2ヶ所有って中には便器が据えられていた。

 振り返ると北の方向に能郷白山が見えている。県境の山はまだまだ雪を載せており近くの尾根が黒々しているのと対照的で白く輝いていた。

 この尾根にはモミの大木が多い、足元には「松ぼっくり」の鱗状種子の殻が地面一杯に落ちていた。今日のメンバーは健脚揃いでカメラを構えていると置いていかれた。

 常緑樹(ツダジイ?)とクリの木の合体木、枝を絡めて絶対に離さない。このくらい愛されてみたいものだ。

 標高790mの頭に着くと大きなブナと天然ヒノキが迎えてくれる。平地に木陰が有って休憩場所に良い所である。尾根は此処から40m下降してまた登りとなる。

 尾根は登りになると岩が出て来て傾斜を増した。岩を這う木の根や樹木を掴んで前を追う。汗が滴り苦しい登りだった。

 やっと休憩の号令が出た。リーダーはここでストックを仕舞うように指示を出した。これから向かう「アリの戸渡り」を想定し両手が使えるようにしたのである。

 尾根が細くなって両側が切れ落ちて来た。木の根がむき出しで「つまずき」注意、足元に気を使わねばならない。雨の日は厄介なところである。

 一旦下って細い岩尾根を行く、両側に樹木が有るのだが時に邪魔をし、時に手掛かりとなって歩行を助けてくれた。

 アリの戸渡りの東前の谷側の岩場には「イワウチワ」のピンク色が花盛りであった。可憐な花が細い岩場の通過の緊張感を和らげてくれた。

 アブラチャンの黄色い花も春を告げていた。この日は温度がどんどん上昇し帰る頃には「タムシバ」の白い花も尾根の南側斜面で開いていた。

 アリの戸渡りを終えてヤレヤレと思う間なく急な斜面に木の根が階段状にむき出しになっていた。それを掴んで越えた。

 今年は大雪に恵まれて久方ぶりに雪山が楽しめた。2月に訪れた時の花房山は5月まで雪が残るのではと思うほど多かった。しかし、雪解けは早くこんなに小さくなっていた。

 標高1150m付近の最後の急登を登る、辛くて前を行く人の足元を追うだけで精一杯である。苦しい登りだがこれを越せば背後に視界が広がる。

 標高1170mの頭に抜けると背後の眼下に徳山湖が青い水を湛えており、目線を上げると北に能郷白山へ延びる奥美濃の山並みが見えた。なんとなく地球が丸く感じられた。

 西の目の前には小津権現山があって右端奥に金糞岳が、権現山の背後には貝月山と伊吹山が見えていた。

 写真タイムと思いきや、先頭は構わず山頂へ、ここで笠置山の麓に住むという若者二人とすれ違い声を交わした。この他に単独行者とすれ違ったので花房山はこの日3パーティーだった。山頂は近い、追っかけを止めてのんびり景色を楽しんで歩いた。

 山頂の高みに立つと先ず絶景に魅入る。残念だが奥美濃県境稜線の山並みは山頂部を残して裾野の雪が消え黒くなった。しかし能郷白山右背後の白山は綿菓子のように白い。

 点名・水飲Ⅲ等△。「水飲」とは変わった呼び名だが点の記によると明治時代、久瀬村東杦原前の谷ではこの山を俗称「水飲」と呼んでいたようだ。

 能郷白山をバックに記念写真。

 能郷白山の右背後に白いのは荒島岳。左背後は銀杏峰と部子山、徳山湖の後ろに若丸山が有って、少し離れて黒いピラミッドが冠山、更に離れて白いのが金草岳である。

 右から冠山が有って金草岳、少し離れて笹ヶ峰、また離れて美濃又丸である。さらに左に五蛇池山と小蕎麦粒が重なって見えて左の高いピラミダルな山が蕎麦粒山である。その背後に白いのが高丸と三周ヶ岳が重なっていると思われる。

 三角点と山頂に残された残雪を囲み佐藤Lの発声でいつもの儀式である万歳を三唱した。つい先日までダウンを着込んで日溜りを求めたことがウソのような好日であった。春の風が吹き抜ける穏やかな山頂を楽しんだ。完


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