大垣山岳協会

なごり雪と山毛欅の美林・雷倉 2023.03.05

雷倉

【 一般山行 】 雷倉 ( 1168.6m Ⅱ等△ ) 本巣市根尾大井 丹生 統司

 今年は1月、2月とまとまった降雪がなく春山までになくならないか心配な此の頃である。体験参加1名を含む18名で雷倉のなごり雪とブナの美林に触れて来た報告である。

<ルート図>
  • 日程:2023年3月5日(日) 曇り
  • 参加者:CL.丹生統、SL.中田英、SL.後藤正、SL.佐藤大、大谷早、小倉幹、酒井康、柴田悦、田中恵、竹森せ、林 旬、廣瀬美、藤野一、村田美、宮川祐、宮澤健、三輪唯、中河義
  • 行程:八谷登山者駐車場7:51-林道横断10:40-雷倉山頂-12:00~13:20-林道横断14:08-八谷登山者駐車場16:03
  • 地理院地図 2.5万図:樽見

 八谷集落手前の登山者駐車場から橋を渡ったバス停前で後藤SLの地形図講習を簡単に行って出発した。集落から見上げると主稜線の斜面に雪がバッチリ残っており少し安心した。

 2018年3月10日に同ルートへ初めて来たときは道や橋が有るとは知らず上流の堰堤を越え浅瀬を渡って細く急な尾根に取り付いた。尾根が平坦になって道へ出くわした時に登山道のある山と知った。その時集落のバス停広場は除雪で積み上げられた大きな雪山が出来ていた。

 この日体験参加のNさん、ダイちゃんと休憩中に会話が弾んでいるようで安心。行動中は終始私の前を歩いていたが足腰がしっかりして岩場のバランスも良かった。

 標高750m辺りから850mまで約100mは岩場が連続する。2018年の時は残雪が多く前夜に春の嵐で凍結状態となっておりアイゼンとピッケルを駆使して登った。ザイルを持参しておらず下降を心配したが同行のOSH当会3女傑は見事にクリアしてくれた。

 岩場の通過は下山する時のことをイメージしながら登ってほしい。イメージが出来ていると下山中心にゆとりが出来る。冷静に行動すれば登った所は必ず下れる。

 この雪田を越せば岩場は終わりである。途中の雪は適度に締まっておりキックステップが良く効いた。それでもたまに踏み抜きが有ってヒヤッとすることも、長い100mであった。

 尾根に出ると雪が途切れなくなった。3月初めにしては気温が高く、雪が緩んできたがツボ足でくるぶし程度までの埋まりであった。ワカンは車に置いて来ていた。

 標高890mで林道を跨いだ。東隣の尾根の高みはツルベ(1032mⅢ等△)である。冬靴が無駄にならないか心配したが雪は残っている大丈夫だ。

 大きくはないが尾根には雪庇が出ていた。今日は視界が良好でわかりやすいが吹雪やガスの中での行動は風上側の樹木を意識し沿って歩く、絶対に風下側に近付かない癖をつける。

 尾根の途中から能郷白山と磯倉、屏風山が絶えず見えていたのだがレンズを透すと曇天の空と白い山嶺との境がなく旨く撮れなかった。

 今回18名もの大所帯で岩場も有り3班に分けた。ここまで1班のソバズルが終始トップを務めたが2班のヒゲGさんと交代した。一昨日の新雪が綺麗な雪景色を提供してくれていた。

 林道から高度で約250m結構な傾斜が続き、最後は3班のダイちゃんがトップを務めてくれた。新雪は8㎝ほど有って踏み抜きも有り大変だっただろう。最後尾から感謝をしてトレースを大事に使わせていただいた。

 主稜線への抜け出しから振り返った、後続の1班が小さく見える。これまで頑張ってくれてありがとう。トレースは壊さぬように大事に残したつもりである。

 主稜線に出れば能郷白山と磯倉、屏風山、白山がきれいに見えると思ったが、2018年より50㎝以上雪は少ないようだ。あの時は樹木に邪魔をされず綺麗に見えたのだが。

 主稜線に出るとブナの歓迎を受けた。風雪で叩かれて荒れた肌、苔むした肌、蔦が絡んだ幹、くねった枝に生命の逞しさを感じいつものようにシャッターを押していた。

 雷倉山頂には1人先客が居て少し驚く、南斜面にトレースが残っており林道から登ったのだろうか。北西に徳山ダム湖が見えて奥に若丸山、冠山、金草岳などの美越の山並みが白い帯となって見えていた。県境にはまだまだ雪はたっぷり有りそうだった。

 西に蕎麦粒山がピラミダルな山容の小ソムギを従えて、五蛇池山から西に黒津山、先日登ったばかりの天狗山が見える。背後に美越国境の白い山並みが肉眼では見えたのだが・・・

 正面にコンドルが羽を畳む瞬間のような山容の花房山、どっしりと大きく小津三山盟主の威厳。南に貝月山と伊吹山が霞んでおり花房の肩右奥に金糞岳が長い北尾根を延ばしていた。

 南にタンポ(1065.7mⅠ等△)その南に濃尾平野が広がっていた。誰かが金生山が見えると言った。目を凝らすと唯一私有地の為に掘削を免れた赤坂のピラミッドが確認出来た。

 休憩時間を早く切り上げてロープ結びの講習を行った。先ず簡易ハーネスを作成しブルージック結びとクレムハイスト結びの練習をした。過去の岩講習の記憶を頼りに熱心に取り組んでいた。目をつぶっていても出来るようにならねばイザという時に役立たない。

 次にピッケルの使用について講習、急登でのピックの使い方、滑落停止の使用、スタカットでのビレイ支点、雪で支点がない場合の急斜面でのピッケルの代用などを短時間でデモンストレーションを行った。先日の能郷白山で本格的に行う予定であったが天候不順で出来なかった。

 山頂を去る前に全員で記念撮影をした。もう少し良い天気を期待していたのでちょっと残念であった。陽射しの中で雪と戯れたかった。なごり惜しい山頂の雪だった。

 これから急斜面や岩場の急下降の危険個所が待ち構えている。慎重に気を引き締め下降してほしい。危険個所では前後で声を掛け合いフォローし合ってほしい。困難個所を通過したらヤレヤレと行ってしまうのではなく後続にアドバイスを送る、パーティー山行の長所を活かしてほしい。

 登山者の少ない山では晩秋や雪解け後の道は枯れ木や落ち葉に埋もれ、また冬季に雪崩で削られて不明瞭な箇所がよくある。特にトラバース道に多い。このようなときにルートを外して20mや30m進入することはよくあることである。だが50mも進めば「おかしい」と異常を察知する勘が働く、これが山ヤとGPS登山家の違いである。次に正規ルートへどうやって復帰するかである。自分の技量で図るのではなくメンバーの体力と技術を計って結論を出すのがリーダーである。一番やっていけないのが全員を引き連れて行き当たりばったりで行動することである。小人数で偵察してメンバーの力量に合った結論を出すのがリーダーである。

 山登りは遊びであるが学びの多い生涯スポーツである。美しい景色を見るためには体力だけでなく学びの登山で基礎知識や基礎技術を習得、絶えず成長を意識しよう。山登りの幅が広がりもっと楽しく山頂から見る景色が違って来ることを約束する。

 本日体験参加のNさんより帰りの車中で入会の意志を告げられた。また新しく頼もしい仲間が増えた。次週の男埵山にも参加します、よろしくお願いしたい。完


雷倉 2023.02.05
月報「わっぱ」 2023年4月(No.497) 【 一般山行 】 雷倉 ( 1168.6m Ⅱ△ )  日程:2023年2月5日(日)(曇り) 参加者: 行程:岐建荒尾駐車場6:00=樽見駅=雷倉駐車場7:20~7:40-登山口7:50-5...

コメント