【 夏山山行 】 7月24日 2日目
冷池山荘 ~ 鹿島槍ヶ岳 ( 2889m Ⅱ△ ) ~ 五竜岳 ( 2814m △なし ) ~ 五竜山荘
丹生 統司
- 日程: 2021年7月23日~25日(金~日)
- 参加者: L.中田英 SL.丹生統、大谷早、小栗敦、佐藤大、清水克、山本知、吉田千
- 行程:【2日目】7月24日(晴れ) 冷池山荘4:35-布引山5:45-鹿島槍南峰6:50-鹿島槍北峰7:50-キレット小屋9:00-五竜岳14:05-五竜山荘15:15
- 地理院地図 2.5万図:十字峡・神城
昨夜は早寝したが午前3時半の起床は少し辛い、だが今日の長い行程を考えれば止むを得ない。朝食は弁当にして昨夜受け取っていた。山荘を出ると直ぐ日の出となり鹿島槍東尾根を影絵のように浮かび上がらせた。
黒部川を挟んだ対岸の立山、剱岳の東面も夜明けを迎えていた。モルゲンロートに染まるかと期待したが後立山の稜線からは離れすぎてか、その現象は見られなかった。
布引山と鹿島槍ヶ岳が全容を現した。足元にはコバイケイソウとイワカガミ、ミヤマキンポウゲ、ダイコンソウ、シナノキンバイ等の花が多かった。今日も天気はよさそうで他パーティーも早立ちが多く、抜きつ抜かれつして早朝の露を払って進んだ。
布引山の頂で朝食の弁当を裏剱を眺めながら頬張った。鹿島槍ヶ岳の双耳峰が近くなった。
昨日越えた爺ヶ岳、中央は蓮華岳で右が針ノ木岳だろう。その右が薬師岳、中央南の彼方に槍ヶ岳と穂高を確認した。とすればその左手前は餓鬼岳から燕岳、大天井岳の山並みだろうか。
布引山から50分ほどで鹿島槍南峰に着いた。既に大勢の人で混雑しており万歳は出来なかった。点名・鹿島入Ⅱ等三角点標石は欠損が多く哀れな状態で周囲をセメントで固められていた。
北峰から続く八峰キレットに長野側からガスが湧いて悪路の演出に一役買っていた。中央五竜岳の背後は唐松岳だろう。鑓ヶ岳や白馬岳も見えていた。昭和49年の春山合宿で白馬主稜から鑓ヶ岳や不帰の壁を雪洞生活しながら登攀した日々を思い出す。あれから47年も経ったのか後立山はあれ以来だ。
南峰へ出発、これより先はぐんと人の数が減った。30分ほどの行程だが慎重に行動しなければ危険な箇所も有った。
北峰山頂から南峰を振り返った。思った以上のギャップである。山頂は我々だけで南峰の混雑がウソのようだった。剱岳の北方稜線が良く見えるようになり大窓雪渓も確認出来るようになった。
キレット小屋目指してぐんぐん下ると人はめっきり減って登山をしている気分にしてくれる。梯子や鎖場が出て来て雰囲気はいい。
岩登り訓練の成果か、高度感もなんのその、快調に進む。
キレット小屋が真下に見える。この狭い所によく建てたと感心する。地形図では避難小屋と思っていたが営業小屋であった。小屋の受付傍に販売用ビールが有ったが我慢してコーラにした。700円也。
小屋を過ぎてしばらくは良い道が続いた。振り返ると鹿島槍の双耳峰が遠くなっていく。
所々でやはり梯子と鎖場が出てくる。八峰キレットと言われるだけあって幾度も上り下りが続いた。
今度はザレ場の登りだ。足元が悪く滑って歩き辛い。体力の消耗が激しくなってペースがダウンした。
目指す五竜岳の山頂が見えた。一気にと行きたいがペースが上がらない。
ウルップソウ、千島列島の得撫島で最初に発見されたのが花名の由来だそうだ。環境省の準絶滅危惧種に指定されているようだ。花期を過ぎて黒い花殻ばかりだったが唯一見つけた紫の花。
ミヤマオダマキ、紫が濃くて本当に綺麗だった。疲れてくじけそうな気持を癒してくれた。
北尾根の頭を越えて五竜岳の登りに掛かった。長い行程にへばって、手掛かりの豊富な岩場を越えた所で上と下に分かれて休憩を入れた。遠くなった鹿島槍ヶ岳と越えた峰々を振り返った。
五竜山荘への分岐から5分ほどの高みに山名柱があり記念写真を撮った。山頂から今日宿泊予定の五竜山荘が近くに見えた。3時までに山荘の受付を済ますよう催促されて中田Lと佐藤大が先行下山した。
近くに見えた山荘だったが意外に時間を要した。ザレ場を歩くだけの散歩コースに見えたが岩場も有って軽はずみな行動は取れない。中田Lが先行したのは正解だった。
コルから五竜岳山頂を振り返ってみると、やはり思った以上に長い、30分で山荘到着と見たが甘かった。
受付を既に済ませていた中田Lが出迎えてくれた。
山荘の部屋割りは隣合った2部屋が宛がわれ男女に分かれた。食事前の空き時間に8人でここまでの労をねぎらう乾杯を行った。飲むほどに盛り上がりダイスケ君にはビールの使い走りを二度もさせて申し訳なかった。女性陣の料理教室の講義も興味を持って聴き入ったが肝心の料理手順や方法や内容はすっかり忘れてしまった。
山荘の夜の主食はカレーライスだった。我々の若い頃は山小屋と言えばカレーライスが定番だった。だが当時のカレーとは味も副食も全然違った。美味しくてお代わりをしたが食い過ぎて部屋に戻るなり横になった。牛になると言われそうだ。男どもは満腹感でだらしなく寝そべっていたが女性陣の部屋は会話が弾んでいたようだ。
明日は遠見尾根を下るだけ悪路はほぼ終わったと言えるだろう。明日も天気はいいようで心にゆとりを持って寝つけた。
№3へ続く。
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