月報「わっぱ」 2024年6月(No.511)
【 一般山行(春山ミニ合宿) 】 五龍岳 ( 2814m △なし ) NY
- 日程:2024年5月4日(土・祝)(快晴)
- 参加者:L.NH、SD、NY、HT、HM
- 行程:唐松山荘4:30-大黒岳6:00-五竜山荘7:00-五龍岳8:30-五竜山荘10:00-五竜ゴンドラ乗り場14:00
- 地理院地図2.5万図:神城(高山1-3)[北緯36°40′、東経137°45′]
北アルプスを目に焼き付ける至福のひととき
空が白み始める午前4時30分、五龍組の中田L以下5人は唐松組に見送られ山荘を出発。見送りを受けエネルギーを貰ったような気分、事故の無いようにと気を引き締めた。
出発してすぐに難所の牛首の鎖場に差し掛かる。高度感のある岩場だが太い鎖が張られており、鎖を頼りに確実なステップで進む。登山道に雪は無く安心したが、積雪期で鎖が埋まっていると難易度は格段に上がるだろう。
鎖場を通過するとまもなく薄い雲がかかった東の空の合間からオレンジ色のご来光が見えた。幻想的で感動的、心が洗われる神秘的な光景だ。
稜線に出るとこの先の縦走路をはっきり見ることができる。ほとんどが夏道で危険個所はないようだ。周りは3000m級の山々に囲まれ見渡す限り雄大なスケールの景観、奥美濃の山々とは全く違った趣だ。しかしながら本日目指す五龍岳はまだまだ先にある。休憩も早めに切り上げ歩を進める。
しばらくすると大黒岳にさしかかる。唐松山荘から五竜山荘までの縦走路で唯一雪が残る場所だ。中田Lからピッケル出すように指示。再氷結した斜面にピッケルを差しながら慎重に登る。ピッケルがよく効いて心地よい。下りは雪と笹のミックスで苦戦しながら雪庇の雪原に出る。雪庇は亀裂が走り、いつ崩落してもおかしくない状態。細心の注意を払い渡り切る。
午前7時、五竜山荘に到着。しばし休憩と行動食を補給して山頂へ向かう。登山道には雪はない。30分ほどで岩稜帯に突入。岩稜帯では一ヶ所急斜面の雪面の危険なトラバースが現れる。リーダーの指示でピッケルを出しアイゼンを装着。ステップはあるが細心の注意を払いながら通過した。そして山頂直下の最後の長い急登、本日の核心部である。かなりの斜度、滑落は許されない。アイゼンを確実に蹴り込み、ピッケルを差し込みながら一歩一歩確実に登る。融雪が進み雪面はザラメ状でアイゼンも効きにくい。ダブルアックスの出番だ。ピックが雪面に深く刺さり安心感が格段に違った。
最後の最も急な斜面を登り切って8時30分山頂到着。山頂では360°の大パノラマ。雲一つない青空と荘厳な剱岳、連なる八ツ峰、立山、薬師岳。双耳峰の鹿島槍、遠く槍穂高連峰などを眼前に見ることができる贅沢な時間だ。
時を忘れて過ごしたいところだが、唐松組との合流時間もあるため記念撮影して早々に下山開始。すぐに核心部の下り。下りは危険度が増すため、さらに慎重になる。途中多くの登山者に出会ったが、技量的に不足して立ち往生している人もいた。SNSで簡単に登れるような錯覚になるが残雪期でも雪山、自分の技量を見極めて登ってほしいと思う。
途中登山道で雷鳥のつがいに遭遇。冬毛と一部が夏毛に生え変わりとても愛らしい。至近距離で見ることができて大変満足した。
午前10時、山荘に到着し休憩をとる。白岳の山頂を避けた巻き道を下り、いよいよ最終の長い遠見尾根へと向かう。遠見尾根は西遠見~大遠見~中遠見~小遠見と連なる長大な尾根。鹿島槍ヶ岳、五龍岳を右手に見ながら下ることができ飽きることはない。尾根の途中でこの2峰が目の前に見える贅沢な場所にテントが多く張られていた。この場所でゆっくりお酒を飲んで喧噪を忘れて過ごす時間は最高であろう。
下山途中で気温が上昇。雪の照り返しが強く、汗が滴る。小休憩で水分補給、改めてこの先もある長い尾根を痛感する。
最後の小遠見山に到着、中田Lの絶妙なペース配分で全員が遅れることなく下山することができた。健脚メンバー揃いだ。最後はスキー場からゴンドラで降りて唐松組に出迎えられながら合流した。
2日間、快晴で雪と青空の素晴らしいコントラストを楽しむことができた。また長い行程をやり切った達成感もあり、記憶に残る最高の山行となった。
コメント