月報「わっぱ」 2013年11月(No.384)
【 一般山行 】 アザミ岳 ( 2027.3m Ⅲ△ ) 鈴木 由紀子
- 日程:2013年10月12日(土)~ 13日(日)
- 参加者:L.鈴木正、SL.丹生統、佐竹良、杉本眞、北川洋、衣斐剛、竹森せ、後藤友、大橋辰、大塚花、後藤正、鈴木由
- 行程:
- 10月12日(土) 大垣17:00=中央道園原IC=東沢林道ゲート(泊)
- 10月13日(日) ゲート5:40-摺古木自然園休憩舎(林道終点、摺古木山登山口)7:20~30-周回登山道分岐8:25-やぶ入り口(標高約2100m)9:00-主稜線9:30出合-1995m峰10:20-アザミ岳11:20~12:00-黒川源流本谷13:20-登山道出合14:40-休憩舎14:50-林道ゲート16:00
- 地理院地図 2.5万図:南木曾岳
アザミ岳は摺古木山から主稜線を南下した位置にある中央アルプス最南部の2000m峰である。以前は登山道があったようだが、現在の登山マップには「ササ密集踏跡なし」と記されている。やぶ山初めての私には不安と期待の山行でした。
摺古木登山口までの東沢林道は途中の土砂崩壊の修復工事中で、1時間半も余分に歩くことになった。山行が久しぶりの自分にはよい準備運動となった。
すみきった秋晴れだった。登山道に入り西側の展望が開けると、目指すアザミ岳に続くなだらかな尾根が目に入った。淡いグリーンのササ原に覆われた山腹に各所に濃緑の常緑樹や色づいた落葉樹が立っている様子はアルペンムードがあり、秋の清々しい気配を感じる。
標高2100m地点から登山道を外れ西側の主稜線へ向かう。稜線に出ると汗ばんだ体にひんやりした風が西から吹きつける。木曽谷側が大きく崩落している箇所があった。山肌がもげた砂礫の脇を慎重に歩く。
割に広い尾根筋を少しずつ下る。終始ササ原の中だ(写真=正面はアザミ岳北面)。ササはスズタケ(ミヤコザサ)という茎の比較的細く、中アに多い種類らしい。まだ、背丈は胸くらいまでだが、足元が見えないので隠れた倒木や切り株に注意しながら歩く。小さなピークの手前で恵那山、右手にひときわ存在感を持つ御嶽が現れた。眼下に中津川方面、遠くに名古屋のビル群も霞んで見える。さらに進むと乗鞍や穂高連峰まで遠望できた。
1995m峰からなだらかなササの斜面を一気に下る。平原状の広い沢筋からアザミ岳に登る支尾根に取り付く。急登でササを踏む足が滑り出し、手で束を掴んで登る。しんどさが極まってきたころ傾斜が緩くなり、シャクナゲや松の枝を抜け出ると、明るく開けた山頂へ到着。山名が記されていただろう木柱が立ち、三角点がすぐ側のササの切り開きにあった。リーダーの鈴木さんが6年前に来たとき、三角点はササで覆われ見つけられなかったという。やぶ漕ぎデビューの私の音頭で万歳を三唱した。
眼下の風越山の向こうに池口岳や黒法師岳などの南ア深南部を眺めながら早めの昼休み。いよいよ最大の山場と聞かされるササやぶ下山。山頂から東に延びるササ原尾根にぽつん浮かぶ白い岩の横を過ぎて、谷筋に下り始める。私は少しずつ遅れ前の仲間との間が開き始める。ササは背丈を越し、密度も高くなった。黒川源流の沢筋に降り立ち小休止。ここから少し沢を下ってから標高1800mを維持するトラバースに入った。左の山側から常に覆いかぶさってくるササをどうしたらいいのか。前足で踏んだ笹の下になった後ろ足が上がらず二の足を踏む。どっと疲れが増し、足が重く上がらない。気づくと両腕で笹束を抱いて身動きが取れず止まっていた。きつい、これ以上は……、と喉まで出かかったところで休憩をとってもらった。足を放り投げて休む。少し回復。みんなから色んな気遣いを受けて登山道にたどり着いた。鈴木さんは事前にマークしておいた1800m地点の登山道に出ることを目指していたが、40mほど上の位置で登山道に出たという。初めてのやぶ山歩きを何とか乗り切った喜びはこの上ない思いだ。帰宅後広げた荷物からは笹のにおいが残っていた。
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