月報「わっぱ」 2012年11月(No.371)
【 一般山行・沢登り( 竹屋谷沢コース ) 】
ブンゲン ( 1259.7m Ⅲ△ ) 中田 英俊
- 日程:2012年9月9日(日)
- 参加者: L.中田英、高見眞、久世勝、鈴木正、平木勤、北川洋、小林和、林旬子
- 行程:大垣5:00=春日もりもり村5:30=林道脇駐車地6:00~6:15-竹屋谷右股入渓6:20-二俣7:30-大トイ下8:15~55-竹屋谷源頭部9:45-登山道出合10:35-ブンゲン10:40~11:25-北谷下降開始11:30-双門の滝13:00(写真)-林道14:00-駐車地14:20=大垣
- 地理院地図 2.5万図:横山
当初計画は、岐阜県と福井県の県境にある金草岳を冠峠からの尾根組と南側ソバコマタ谷からの沢組に分けて登る予定だったが、接続する林道が崩壊、通行止め。そこで美濃の名渓の一つでもあるブンゲンに変更した。
大垣に集合した時点ですでに大雨。しかし回復傾向という天気予報を信じて出発。竹屋谷の入渓地に着くと空き地に「V8」の大型テントが設営されている。どうやら先行者がいるらしい。小雨の中、竹屋谷右股のやぶっぽい河原に降りた。曇天のせいか薄暗いゆるい渓相が続くが、やがて10m程の幅広の滝に到着。ごつごつした岸壁に4筋の白い流れが落ちる力強い姿だ。平木さんと私でザイルを二本出し、フリーで登ってきた北川氏と協力してザイルをセット。この滝の真ん中、落ち口の直下にある大岩を抱きかかえるようにしてトラバースして、登りきる個所があり、ぬめった足場に苦労しながら、メンバー全員が直登した。
滝を越えると沢の幅が開けて、見上げれば栃の大木が我々を見下ろしている。足元には栃の実が沢山落ちていた。今年の木の実は豊作のようだ。これがクマたちの胃袋を満たしてくれるといいのだが。毎年のように報道されるクマの駆除のニュースは聞きたくない。
この後いくつもの小滝やなめ状滝を乗り越えて進むと、やがて竹屋谷の主役とも言える50mはあろうかと思われる「大トイ」だ。トイ状になった滝の手前で、朝のテントの持ち主と思われる先行者に追いついた。聞けば刈谷のデンソー山岳部の人たち。大トイの上部まで登った後、悪天候のため下山を開始したとのこと。6人パーティーが大トイの上からザイルを使って懸垂下降をし終わるのを待つこと40分程。体が冷え切ったという声も出た。大トイの水量は少な目だが、ぬめっていてフリクションが効きにくい。その上トイの溝が極端に狭い個所もある。体の大きな高見さんや久世さん、小林さんは溝に体を挟まれながらもパワーとテクニックでクリア。
源頭部に近づくと美しい滑状の沢が続く。うっすらとモヤのかかった谷筋。本日の紅一点の林さんが思わず「なんか幻想的やねえ」とつぶやく。同感だ。山は様々な顔を見せてくれる。今日の天候はよいとはいえない。しかしこんな時だからこそ味わえる感動がある。
しばらくすると水流は苔むした岩の下に消えた。頂上稜線を目指しササやぶを漕ぎ出し、本峰の東の小ピークへ出た。ここで藤井リーダー率いる尾根組であろうコールが聞こえた。一足先に登頂したようだ。やがて明瞭な登山道に飛び出した。ブンゲン頂上で両組全員が握手を交わす。皆笑顔でいっぱいだ。ガスで全く展望のきかないササやぶの刈り払い地の中で早めのお昼休み。
我々沢組は本峰と先ほど詰めあがった小ピークの間にあるコルから北谷へ下降開始だ。ヤブを抜け、まるで道のような美しい滑沢を快適に下る。北谷のメインとなる「双門の滝」は懸垂下降でクリアした。滝下から見上げると、この滝は幅15mほど。大きな岩盤の中央部に上部から草付き地面が割り込んでいる。二つの水流がこの地面の左右から落ちるので、滝の名がついたのか。
この後、8m程の滝が二つ、岩の下をくぐる個所もあり、飽きることのない変化のある沢下りだ。標高750m辺りで沢の左岸に上がり杣道を見つけ、うるさい低木帯を抜けると完全舗装された林道に飛び出した。暗い樹林の谷間から解放され、時折のぞく青空がまぶしかった。
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