大垣山岳協会

雪山講習の題材に満ちた能郷白山 2019.03.03

能郷白山

能郷白山(1617m) 雪上講習 丹生統司

  • 日程:2019年3月3日(土)
  • 参加者:L 丹生統、林 旬、清水克、小栗敦、藤野一、吉田千
  • コースタイム:此金谷出合ゲート6:15-登山口7:27-ジャンクション8:58-前山10:15-能郷白山山頂11:35-登山口15:44-此金谷出合ゲート16:40

 木曜日夜の天気予報では3日の日曜日は降水確率100%、2名のキャンセルもあり中止も選択肢にあったが、悪天候を題材すれば講習に適した好機である。メンバーも6人とすべてに徹底しやすく悪天に学ぶことは多いはずだ。参加者には雨具の準備をメールで指示して決行した。長い林道歩き後に待ち構える渡渉は例年なら雪解け水で難儀をさせられるが今年は水量が少なく問題なし、助かった。

昨日の晴天は多くの登山者を能郷に招き雪道は踏み固められてジャンクションまでの急登もなんのその。

 天候は下り坂である。帰りの安全を確保するために赤布を使用した。先ずジャンクションの踏み換え点より5m下の下降方向側につけた。これ以上遠いと吹雪では発見出来ず、近いと尾根上の目印と勘違いしてそのまま直進してしまう。

 今日の先頭歩行は順番交代をお願いした。ペースメーカーの訓練とルートファイディング講習である。昨日の晴天は登山者を気ままにさせてトレースはあちこちにある。今日は午後には悪天の予報である。一旦吹雪けば広い尾根や斜面で踏み跡を見失しなうと再度発見するのは容易ではない。踏み跡が一番多い所を辿り我々の足跡で更に明瞭に残し、広い斜面のトラバースは赤布の使用距離を短くした。

 本峰は見えないが雲が切れて一瞬だが白い円錐のイソクラが顔を出した。奥美濃周辺の山々が藪の露出で黒ずみ雪不足を露呈している今季でも能郷だけは別格である。

前山から本峰への雪稜、晴天なら鼻歌で漫歩する所、しかし雪庇がご覧の貧弱さ、やはり貧雪である。

 ブナの古木が多いのもこの尾根の魅力だ、樹木の大小だけでなく爆ぜたように荒れた幹肌や風雪によって天女の羽衣のように捻じれた梢の曲線美が歩行の足を止めさせる。

 山頂が近くなるにつけ樹木が少なくなり白さが増してきた能郷が白山と呼ばれる所以である(写真は清水克宏氏提供)

 山頂直下は赤布を結ぶ樹木がないため1mの竹軸を用意した。竹の根元は剣先にして堅雪でも刺せるように、穂先は割りばし状にして赤布を挟めるようにしてある。(写真提供清水克宏氏)

 山頂は雪を伴った風が吹き抜け、それを遮り避ける場所もなく写真撮影を済ますと逃げるように下降した。山頂下の斜面は固くなった踏み跡を避けてキックステップで下降した。当然赤布を回収しながら。

 昼食も取らず腹もすいていたが山頂直下斜面を使っての滑落停止訓練の仕事が残っていた。天候が悪化していたので短い時間だったがピッケルのピックを雪面に打ち込み停止させる基本動作を行った。また転んだ瞬間に生死が決まることを説明した。4月石徹白のテント泊訓練では時間を掛けてみっちり行いたいと思っている。右肩筋肉と腹筋が痛くなるほどやる予定である(下写真は清水氏提供)

 訓練を終えて樹木のある所まで戻り根尾西谷川側の斜面で尾根を背にして風を避け昼食休憩をとった。雪が舞って視界は良くなかった。千亜貴さんに頂いた立体ハート型の煎餅は噛むと中から「おみくじ」のお札が出て来て各自読み上げて大いに盛り上がった。また水戸の天狗党や越前鯖江誠照寺の僧が巡錫の為に越えた「蠅帽子峠」の歴史も話題になった。悪天を忘れて盛り上がる少人数のいいところが出た。

 朝の出発時に気象の変化によっては山頂が踏めないかも、天候の変化を察知して難しい判断をしている姿を見せるのも講習だと思っている。携帯電話でGPSが使える時代に敢えて赤布を使用したが基本をしっかり身に着けてほしいからだ。地形図による続図もしかりだ。基本を理解したうえで機器を使いこなせばバリエーションも広がる。

 雪は高度を下げると雨になったが雨具が蒸れて暑くなり途中で脱いだ。フキノトウを採りながら和気あいあいの林道歩きは退屈せず意外と早く車に着いたと感じた。

<ルート図>

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