大垣山岳協会

日本300名山完登の記

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2016年9月(No.418)

日本300名山完登の記

 ここ20年来の宿願であった日本300名山(日本山岳会選定)の完登を実現した。北海道の山ばかり9山を残した2013年に重度の膝関節炎を患い、登山活動を阻まれた。その後徐々に快復を得て、今夏その9山を登り終えることができた。 

 81の歳を考えると最後のチャンスをものにできて、興奮状態に陥るほど嬉しかった。長いこれまでの道のりを振り返ると、幾つもの試練と幸運がよみがえる。最大の試練は膝関節炎のため前後5年間、名山山行を中断したこと。整形外科でヒアルロン酸注射、電気治療などを続けたが、痛みは続いた。そこで、筋肉の衰えを防ぐため、近くの南宮山(419m)へのリハビリ登山を始めた。痛みをこらえて1日2時間弱、雨以外の毎日、月平均22日ほど歩いた。さらに、昨秋から鍼灸院で針治療を始めた。その効果が現われたのか、今年に入り痛みは和らぎ、5月から痛みは全く消えた。

 9山敢行への自信が湧いた。まず、家族を説得。さらに、過去に北海道山行で知り合った岳友らの助言アドバイスを得て、綿密な行程計画を立てた。貴重なヒグマ危険地域情報も得られた。

 北海道に1ヶ月間ほど滞在する覚悟だった。とにかくゆっくり、ゆとりを持った計画を立てた。結果、北海道滞在は7月16日から13日間滞在。雨による停滞日などもあり、9日の登山で9山を登り終えた。300山目の利尻山山頂は降りしき雨の中だった。厚いガスで何も見えない。でも、完登達成へ満足感で心は晴れやかだった。

 300山完登を終えて今思うことは幾つかある。人生は高い目標をもつことだ。自分の登山活動について、家族の理解や山仲間の応援と励ましが大きな力となること。目標に向かって最後まで諦めずトレーニング、体力の維持向上に努めること。誰もが思うことだと思うが、あえて挙げてみた。

<北海道の9山登頂の記録> 個人山行記録([ ]内は2.5万の地形図の名称です)

  • 7月16日(土) 余市岳(14488.1m Ⅰ△ [余市岳])
  • 7月18日(月) 羊蹄山(1893.0m Ⅰ△ [羊蹄山・倶知安])
  • 7月20日(水) ニセコアンヌプリ(1308.5m Ⅰ△ [ニセコアンヌプリ])
  • 7月21日(木) 狩場山(1519.9m Ⅰ△ [狩場山・賀老])
  • 7月22日(金) 渡島駒ヶ岳(1133m Ⅰ△ 砂原岳、Ⅲ△ 隅田盛 [駒ヶ岳])
  • 7月23日(土) 大千軒岳だいせんげんだけ(1071.6m Ⅰ△ [大千軒岳])
  • 7月24日(日) 樽前山(1023.8m Ⅰ△[樽前山・風不死岳])
  • 7月25日(月) 芦別岳(1726.9m Ⅱ△[芦別岳])
  • 7月27日(水) 利尻山(1718.7m Ⅰ△[鴛泊])

(移動はホンダ軽四ステーションワゴン。北海道へは日本海フェリー利用。6泊は車内泊、6泊は旅館などに宿泊)

2016年7月18日午前10時25分 羊蹄山山頂にて

(岩田 嘉明)

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