大垣山岳協会

山の生き物 思わぬ脅威 ①

TOPICS・随想・コラム

山の生き物 思わぬ脅威 ① ハチアナフィラキシー ㊤ 鈴木 正昭

 6月7日(火)朝のことだった。朝食後、拙宅の庭木、キンモクセイの枝払いをしようと、腕を枝葉に伸ばした途端、右上腕裏側に針で突き刺すような激痛が走った。同時にアシナガバチが飛び去った。久しぶりにハチに刺されたな、くらいにしか思わなかった。

 すぐ、家に入り「キンカン」を塗ると、痛みは幾分治まった。だが、10分ほどすると、上半身に赤い湿疹が見え始め、全身に広がる。これは大変、と妻の運転で近くの総合病院に駆けつけた。車中で目が霞んできて、意識はもうろう。病院玄関で待つ担架には、足がもつれ自力では乗れなかった。すぐ、生理食塩水やステロイド液剤の点滴を始めた。

 名前だけは知っていたハチ毒によるアナフィラキシーショックであった。アレルギー反応の中で最悪の症状である。当初最高血圧が40台まで下がったが、間もなく正常値に戻り快方に向かった。結局2日入院。医師は「2度と登山路には入るな。これは医師としての命令だ」と宣告した。一大事である。早速、諸情報を調べて勉強した。

 私は小学校時代に数回ハチに刺された記憶がある。その際、ハチ毒に含まれるホスホリパーゼなどのタンパク質(抗原)により体内に抗体(IgE抗体)ができる。その後、再びハチに刺され、抗原が進入すると抗体が過剰防衛反応を起こし、体内の様々な器官を傷つけるヒスタミンを体内に大量に放散させてしまうのだそうだ。子供のころ抗体を保有したが、以来60余年ハチに刺されたことはなかった。この年(73歳)に至って隠れていた抗体が牙をむいたのだ。


 昆虫、動物、爬虫類…。山に棲む我らの仲間たちは時に深刻な反撃を与える。体験を交えて彼らの脅威と対策を幾つか紹介します。


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