大垣山岳協会

山中雑記 海水山神社のお帰り神事

TOPICS・随想・コラム

月報「わっぱ」 2013年5月(No.378)

海水山うんのみず神社のお帰り神事 鈴木 正昭

 長良川の支流、板取川の最上流部に海ノ溝谷がある。その最奥、福井県境に近い山中に海水山神社(江戸期まで海水山権現)がある。関市板取の杉原集落から断崖絶壁沿いの林道を通り約8km先だ。同社では毎年5月初めにお帰り神事がある。今年は6日と聞く。私は3度目の参列を予定している。

 古文書によると昔、光山上人という修行僧が海ノ溝谷上流の山に登ると北に大きな池が見えた。池から現れた大蛇が海水山権現に姿を変えて、ここに吾を祀りあがめれば所願は成就するとお告げ。そこで宮舎を建立したという。祀ってある祭神や仏像、開創説話は加賀の白山と類似している。遠い本場の白山への登拝が難しい板取の信者たちは海水山権現への登拝を白山登拝への代わりにしたのだろう、と板取村史は推測している。

 同社から下流の杉原集落近くに里宮ともいうべき新宮神社が天正年中にできた。海水山権現の神霊は秋には新宮神社に降りて滞在し、春陰暦4月6日に奥の院の海水山権現に帰ると信じられ、長年春秋に例祭を続けている。

 海水山権現までの道は風水害で行けない年も多く、途中の「お祓い岩」で神事をして帰ったという。
私は2010年5月末に海水山権現から尾根沿いに滝波山(1412m)に登り、帰りは海ノ溝谷の上流、ホーノ洞を下った。同社には円空作と言われる狛犬像一対がある。円空や村人は滝波山を白山に見立てて修行登拝したかもしれない。その痕跡を見つける狙いもあったが、何も見つからなかった。

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