大垣山岳協会

ふかふかの落ち葉を踏んで・鍋倉山 2023.11.12

鍋倉山

【 月例山行 】 鍋倉山 ( 1049,8m 点名・前谷Ⅲ等△ ) 揖斐川町日坂字前谷 NT

 11月の月例山行はTKリーダーの下、16名の参加で鍋倉山で行われた。この日は午後から雨の悩ましい予報でリーダーは難しい判断を強いられた。だが一歩山に踏み込めば落葉樹の林床美に感嘆し「落ち葉のふかふか絨毯」を蹴散らして進む快感を覚えた。ブナの高みに「熊ダナ」を見つけるとカメラタイムとなってスマホの一斉射撃の様相でナメコ発見時の歓喜の声は谷間に木霊し、行く秋を楽しんだ。

<ルート図>
  • 日程:2023年11月12日(日) 曇り
  • 参加者:L.TK、AI、IY、KM、TS、NY、NT、FT、FM、FI、MY、MK、MM,、MH、YM、IK(新)
  • 行程:標高720m登山口7:58-日坂越8:34-鍋倉山山頂9:50-避難小屋10:10~48-登山口12:40
  • 地理院地図 2.5万図:横山

 長者の里を過ぎて標高720m辺り、林道が4度目の弧を描くと右に車が進入できるほど幅広の道が有る。此処が鍋倉山へ最短コースの登山口である。

 林道から尾根に上がると直ぐに和佐谷からの道と出会う。落葉した樹々の間から見える福井県境の山々にかかる厚い雲を北に見て尾根道を進んだ。

 ここ奥美濃では登山者とすれ違うことは稀である。他の登山者に気遣いすることなく久方ぶりに会った山仲間と並んで歩く、語らいながらの山行は楽しい。

 尾根を埋め尽くした落ち葉、登山靴で踏みしめる度にサクサクと音がして足首まで埋まる。秋の里山は膝にやさしい。落葉した梢の先にこれから向かう鍋倉山頂が見えていた。

 尾根は何度か小さな起伏を繰り返した。折角稼いだ標高を消費していく虚しさは有るが登山口ですでに標高720mほどである。今日はトレーニングと思いアップダウンが身体の為と言い聞かす。

 日坂越えに残された夫婦と思われる双体地蔵、長年の風化で顔も体形もおぼろげである。日坂から伊勢参りはこの峠から春日村、岩手峠から関ケ原、伊勢峠を越え多良村を経て鈴鹿へ抜けたのだろうか。日坂、村境の地蔵に難路の旅の無事の帰願を祈ったのだろう。

 下草や笹が絶えてコナラ等落葉樹林が見通せて落ち葉の林床が美しい。しかし、立ち木の下部をよく見るとリョウブやクマノミズキは樹皮が剥がされて獣害がひどかった。

 やがて傾斜が増してくると道はジグザグに九十九折となった。落ち葉の下に拳より大きな石がゴロゴロしており歩き辛く何より真下に人が居るので落石が怖かった。

 コナラの幹にキノコ見つけたと思ったらサルノコシカケで食用にはならない。しかしコナラの下部の幹を見ればシカの食害で樹皮が剥がされ枯らされていた。地面にはシカの糞が一杯落ちており改めて獣害の深刻なことに気付かされる。

 誰かが木の上に「熊ダナ」を見つけた。道のない山中で見ることは有るが人通りの有る登山道脇では珍しい。初めて見る方も多く撮影タイムとなった。16名がスマホを取り出して構えると一斉射撃のようなにシャッター音が谷間を走った。

 周辺の樹々を見渡していると「あったゾー」の声、コナラの枯れ木にナメコが行儀よく上から順に整列していた。斜面を下り傍へ行くと背丈より高い位置に多い、今日は秘伝の道具を忘れており手の届くところのみ収穫した。道具?それは当会へ入会された人のみへ伝授。

 ナメコは丁寧に水洗いして汚れと根元の固い部分を除いて湯通しする。大根おろしに柚子の皮を少し入れ風味を出し鰹節も少々、ポン酢に柚子の酢と醤油を少し足してまぶした。以上を妻に口頭教授して出来た一品である。ビール、日本酒と相性が良く実に美味しかった。ナメコは妻も良くご存じで今日は30分待つことなく直ぐに箸をつけた。

 Ⅲ等三角点「点名・前谷」である。鍋倉山の山頂は尾根が屈曲した位置にあって山頂らしくない高みである。石柱と山名板が無ければ通過しそうで、ここで立ち止まって休んでいる人を見たことがない。

 三角点を囲んで記念写真、本日は体験参加のIKさんを交えての山行となった。歩行中、会員との会話風景が打ち解けている様子なのを見て安心している。

 3回ほど鍋倉山へは登っているが南東に長い山頂台地端の避難小屋へ初めて来た。地形図を確認すれば避難小屋東の高みが1050mの等高線が記載されておりこちらが最高点である。避難小屋前の広場でT Lの指示で各々車座になって昼食休憩を40分ほど過ごした。

 避難小屋では先着のM山岳会が鍋パーティーの最中で有った。同じ岐阜岳連の傘下団体なのだが東濃地区と大垣、離れているせいか顔見知りは居なかった。県スポで顔を合わせた方がいたのかもしれないが記憶に残った方は居なかった。同じ岐阜の仲間同士屈託なく会話をしたかったが鍋を囲んでいる最中に声掛けもし辛く少し残念である。

 今年も上部団体である「岐阜岳連2024年カレンダー」¥500を今日参加の皆さんにお買い上げいただいた。資金難の岳連の貴重な収入源であるので今後の会議や山行時にお持ちしますのでご協力をお願いいたします。

 本日体験参加のIKさんは下山後すぐに入会の意志を示された。メンバーに発表すると大きな拍手で歓迎してくれた。仲間が増えて喜ばしい、来週計画の姥ヶ岳にも2名の体験申し込みがある。登山の基礎知識や基礎技術を一緒に勉強する仲間を歓迎する。

 午後からの雨予報は外れて大垣で解散する時にも未だ落ちて来ず助かった。Tリーダーとメンバーの日頃の行いの良さが山の神に通じたのであろう。完


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