大垣山岳協会

双六岳、三俣蓮華岳 2023.09.22-24

三俣蓮華岳

月報「わっぱ」 2023年10月(No.503)

【 一般山行 】 双六岳 ( 2860.4m Ⅱ△ )、三俣蓮華岳 ( 2841.4m Ⅲ△ ) TKI

  • 日程:2023年9月22日(金)~24日(日)
  • 参加者:L.TS、TK、FI、MY、MK、MH
  • 行程:後述
  • 地理院地図 2.5万図:笠ヶ岳(高山7-3)、三俣蓮華岳(同6-4) [双六岳:北緯36°22′/東経137°35′][三俣蓮華岳:北緯36°23′/東経137°35′]

9月22日(金)(曇り)
三城交番西駐車場5:00=新穂高温泉無料駐車場8:20-わさび平小屋10:10-小池新道入口10:35-秩父沢11:35-チボ岩12:00-イタドリヶ原12:45-シシウドヶ原13:50-鏡池14:40-鏡平小屋14:50(泊)

 久しぶりの北アルプス縦走。無事頂上まで辿りつけるか心配でしたが、リーダーのTIさんからのお誘いもあり参加することを決めました。昨年は天候不良の為中止となりましたが、天気予報ではこの土、日は快晴の予報です。

 奥飛騨温泉郷の手前辺りから雨が降り始め、歩きはじめはカッパ着用かなと思っていましたが、駐車場に着く頃には雨は止んできました。駐車地の新穂高の駐車場はハイシーズンの頃は大変な混雑との事でしたが、金曜日の平日ということもあり、なんとか無料の場所に駐車することができました。

 本日の行程は標高2300mにある鏡平小屋までで、標高差は約1200mです。今年に入ってから、比較的標高の高い山に登る機会に恵まれましたが、直近の御嶽山はなかなか高度に慣れず苦しみました。果たして今日はどうだろうかと不安に思いながらも登山指導センターで登山届を提出し、まずはわさび平小屋を目指します。

登山指導センターに登山届提出 (MKI氏より)

 登山口からわさび平小屋までは約1時間半 川沿いに左俣林道を進みます。笠新道入口を左手に過ぎると間もなくです。小屋の前には果物、トマト、キュウリ、ジュース、ビール等が沢水でキンキンに冷やされていました。そうめんと書かれたのれんも掲げてあります。小屋は人の手がよく入っていて、清潔な印象でした。

わさび平小屋に到着 (MKI氏より)

 ここから鏡平小屋までは小池新道を進みます。石畳が敷かれたような登山道でよく整備されています。幹の曲がったダケカンバが時々頭の上をかすめて登山道にはみ出ていました。

 大垣も21日の夕方はひどい雨でしたが、下山してみえる方から、21日の深夜の豪雨で秩父沢の橋が流され注意して通過して下さいと教えてもらいました。その通り秩父沢の水量はかなり多くなっていましたが、対岸へは何とか渡ることができました。水の流れを眺めながらお昼休憩を取りました。TIさんから頂いたキュウリの浅漬で生き返りました。

 ここからもう少し標高が上がった場所には下涸沢、上涸沢と呼ばれる場所があり、こちらも雨で橋は流されていました。登山道はかなり荒れていましたが、双六小屋のスタッフの方が修繕の作業にとりかかってみえました。大変な作業ですが、スタッフさんの努力によって山と登山者は守られているのだなと感謝の気持が涌いてきました。

下涸れ沢の橋も流されていました。 (MKI氏より)

 チボ岩、イタドリヶ原、シシウドヶ原、クマの踊り場と、どんどん標高を上げていきます。この辺りまで登ってくると体が少し高度に慣れてきました。そしてやっと鏡池に到着です。

 正面には槍ヶ岳を望めますが、水面に映る「逆さ槍」が有名な場所です。池の周りにはナナカマドが赤い実をつけており、秋の気配が感じられます。しばし波が収まるのを待ちましたが、ベストショットはお預けとなりました。

鏡池です。槍ヶ岳は雲の中 (MKI氏より)
休憩 (MKI氏より)

 ほぼ予定通りに鏡平小屋に到着です。部屋は6人一緒で、窓からも槍ヶ岳が望めます。清潔なお布団が敷かれていて、もう休みたいくらいでしたが、夕飯まで皆で雑談をして過ごしました。夕飯のメニューは揚げたてのコロッケや春巻、煮物、お味噌汁。バランスがとれていてとてもおいしかったです。食事の最中にはオレンジ色に染まった槍ヶ岳が姿を現しました。

夕日に映える槍ヶ岳 (MYI氏より)
雲が晴れて小槍も見えます。 (MKI氏より)

 本日の移動距離10km。布団に横になったら、いつのまにか深い眠りについていました。

9月23日(土)(晴れ)
鏡平小屋5:50-弓折乗越6:55-弓折岳(Ⅲ△2588.5m)7:10-弓折乗越7:20-くろゆりベンチ7:55-双六小屋8:35~9:00-双六岳10:25-丸山11:25-三俣蓮華岳11:50~12:40-巻道分岐14:30-双六小屋14:45(泊)

 いよいよ今日は双六岳、三俣蓮華岳の頂上を目指します。暖かい朝食を頂いて鏡平小屋を出発です。弓折乗越まで標高は一気に300m上がります。天気予報通りお天気は快晴です。 自分を取り巻く360°の山々の雄姿がはっきり見えます。南の方向には雲の海の中に焼岳も浮かんでいます。弓折乗越から弓折岳へは数分でしたので、頂上まで登ってみました。頂上には三等三角点があり、その先には笠ヶ岳方面への稜線が続いていました。

鏡平山荘前での出発前 (MKI氏より)
鏡平山荘を出発 (MYI氏より)

 双六小屋までは多少のアップダウンはありますが、稜線歩きとなります。途中には花見平と呼ばれる高山植物が咲き乱れる場所があります。花の最盛期は過ぎていましたが、槍ヶ岳方面の眺望はバッチリでした。

雲海に浮かぶ焼岳 (MYI氏より)
槍ヶ岳のシルエット (MKI氏より)

 登山道の両側には這い松が生い茂り、その足元には白い鈴のような花をつける白玉の木や、赤い実をつけたゴゼンタチバナ、ツルリンドウ等が見られました。そしてこのあたりはライチョウの生息スポットらしいです。出会いを期待しながら歩き続けます。

 くろゆりベンチを過ぎて少し進むと、やっと遠くに双六小屋の赤い建物が見えてきました。今回私は初めて山小屋でお弁当を頼んでみました。荷物削減の為でしたが、ボリューム満点の海苔弁当の為、重量が・・・。

双六岳小屋です。 (MKI氏より)

 少しバテ気味でしたので、小屋で長目の休憩を取り荷物の調整をして頂上を目指します。小屋の裏手からしばらく這い松の中を直登すると、急に景色が開けます。このゆるやかな稜線の先が頂上です。この広陵とした山容を眺めていると、双六岳が女性的な山だと言われる理由がなんとなく理解できました。

幅広い尾根筋を双六岳に向かう (MKI氏より)
双六岳山頂 (MKI氏より)

 双六岳から三俣蓮華岳までは途中、丸山を経由し1時間半程です。高山植物は黄色や赤色に染まり始め、秋の気配が感じられます。夏の間可憐な白い花を咲かせていたチングルマは綿毛の様相に変わっていました。鏡平小屋を出発して6時間、ようやく三俣蓮華岳の頂上にたどり着きました。360°のパノラマ写真のような景色をしばし堪能しました。

三俣蓮華岳へ向かう ① (MYI氏より)
三俣蓮華岳へ向かう ② (MYI氏より)
三俣蓮華岳山頂 (MKI氏より)

 下りはカールの中を通る巻道ルートで下山です。2日目となると少しは後ろを振り返る余裕も出てきました。名残惜しいです。

三俣峠に降りてきました。 (MKI氏より)
三俣巻道 (MKI氏より)
巻道分岐から降りてきました。 (MKI氏より)

 14:45、双六小屋到着。本日の移動距離約10km。明日は最終日、一気に新穂高まで下山です。

9月24日(日)(晴れ)
双六小屋6:00-鏡平山荘8:05-わさび平小屋 11:02-新穂高温泉無料駐車場13:00=朴の木平、宿儺の湯14:00=三城交番西駐車場17:45(解散)

 双六グループの山小屋はどこも食事がおいしく、食べきれないほどでした。この日も暖かいお味噌汁付の朝食を頂き、小屋を出発しました。冷え込んだせいか、雲海が小屋の直ぐ北側でも見られ、その霧が小屋から谷筋を通って、白龍の様に進んでいく神秘的な自然現象が見られました。

双六小屋 出発前 (MKI氏より)
谷沿いに流れ進む雲 (MYI氏より)
双六小屋を振り返る (MYI氏より)
弓折岳~笠ヶ岳 (MYI氏より)
鏡池3日目 (MYI氏より)

 最終日、一番良いお天気に恵まれました。北アルプスの絶景を眺めながらの下山はあっという間でした。駐車場に到着すると、全国各地のナンバーの車が駐車しており、さすが人気の北アルプスと再認識いたしました。最終日の移動距離、約14km。3日間累計移動距離、約34km。

 リーダーのTIさんの適切なリードとご一緒して頂いた仲間の見守りが無ければ、きっと中途半端な山行になってしまっていたと思います。何日もご一緒させて頂くと、全てが勉強になります。皆さん、本当にありがとうございました。

<ルート図>

地理院地図

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